アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584103128

作品紹介・あらすじ

日本ではフロイトやユングの名前はよく知られていますが、同じ時代に生きたオーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーの名前はあまり知られていません。本書ではアドラー心理学の見地から、どうすれば幸福に生きることができるかという古くからの問いにアドラーがどのように答えようとしているかを明らかにし、どのように生きていけばいいのかという指針を示しました。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は日本のアドラー心理学研究の第一人者。2013年出版の共著『嫌われる勇気』が100万部を超えるベストセラーとなっているが、本書は著者がアドラー心理学について最初に一般向けに著した(1999年)ものである。
    アドラー(1870~1937年)は、フロイトやユングと同時代に生き、かつ一時は交流もあったものの、心理学者としては両者ほど知られていない(『嫌われる勇気』がベストセラーとなった今では、そんなこともないかも知れないが)。しかし、著者が「どう生きたらいいのか―アドラー心理学はこの問いかけに明確に答えることができる」と言うように、心理学というよりも、現代社会を生きるための人生論・幸福論・上達論としての側面から、非常に有用な考え方を示してくれる。
    本書では、アドラーの生涯等も紹介されているが、アドラー心理学から学ぶべきこととして強調されている点は概ね以下である。
    ◆育児・教育の目標は、行動面においては、「自立すること」と「社会と調和して暮らすこと」であり、これを支える心理面においては、「自分には能力があるという信念を持つこと」と「人々は自分の仲間であるという信念を持つこと」である。
    ◆育児・教育(更には一般的な人間関係)で大事なことは、縦(上下)ではなく横(対等)の人間関係において接することであり、具体的には、「勇気づけ」をする際に、評価をする(褒めたり叱ったりする)のではなく、喜びを共有する(「ありがとう」、「うれしい」、「助かった」などの言葉で自分の気持ちを伝える)ことである。また、自分の人生の課題を明確に認識させ、本人に立ち向かわせることである。
    ◆精神的に健康であるということは、自己受容(今の自分のままで自分を受け入れること)、他者信頼(他の人を信頼すること)、他者貢献(自分の存在が他の人に貢献していると考えること)ができることであり、その3つが揃って人は幸福になれる。
    ◆アドラー心理学の基本前提は、「認知論」(人は自分が意味づけした世界に生きている=人は自分の関心に従って世界を認識している)と「目的論」(人は原因によってではなく、目的によって生きている)である。即ち、「私」の行動を決めるのは「私」自身であり、すべての責任は自分自身にある。
    ◆人生を生きるための指針・・・「人生の意味は自分で決める」、「他人を気にしない」、「失敗を恐れない」、「私は他の人の期待を満たすために生きているのではない」、「今したいことをしているか」、「自分の思いを貫いた結果の責任は自分が引き受ける覚悟をする」、「他の人は私の期待を満たすために生きているのではない」、「できることは自分の力で解決し、できないことは助力を求める」、「言葉を重視する」、「他人はわからないと思って付き合う」、「自分が人生を創っている」、「何が起こってもできることをやってみる」、「できることから始める」。
    アドラー心理学の全体像を知るには物足りないのかもしれないが、その中で現在注目されている考え方をピンポイントで掴むには十分な一冊と思う。
    (2016年3月了)

  • オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーを知っていますか。彼は育児と教育を重視した学者で、この本でも子供との関係を題材にしている場面が多くあります。諸説あるとは思いますが、個人的には対人関係において「自分の力ではどうしようもないこと」に傷つき一々くよくよ悩んで困っている人におすすめの一冊です。「入門」というだけあって簡単な文章でわかりやすいので気軽に読めます。

  • アドラーの人となりや背景、アドラー心理学の基礎的な部分を理解するのには良い本。
    具体例も多く、わかりやすい文章で読みやすい。
    さすが「嫌われる勇気」の著者!

    目的論、課題の分離、横の関係、自己受容・他者信頼・他者貢献、共同体感覚

    赤信号をなんで渡ってはいけないか?という質問をアメリカ人にした結果が印象的だった。

    70% 警察に見つかると捕まるから
    25% 私が怪我をするから
    5% 私も怪我をするだろうけど、他の人にも被害を及ぼすかもしれないから

    ある状況が自分にとってどういうことかをまず考えるのではなく、皆にとってどういうことなのか考える。その中で自分がどう貢献できるか考えていくことが、幸福につながっていく。誰もやっていなくても自分から始めること。

    わかっているができないというとき、実はできないのではなく、したくないのです。

  • ギリシア哲学の専門家によるアドラー心理学の概説。詳細にはわからないが、雰囲気は伝わる。

    アドラーの言い分:
    (教育)
    ・原因論ではなく目的論で人の行動について考える。(何かのせいでそのように行動に出るのではなく、何かを達成するために行動している)
    ・性格(ライフスタイル)は変えられる
    ・教育の目標は、「自立する」「社会と調和して暮らせるようにする」こと。そのうえで、「自分には能力がある」「人々は自分の仲間である」という意識を持てるようにすることが重要。
    ・問題はすべて人間関係上の問題である。
    ・適切な行動に注目するが、ほめはしない。
    ・普通でいればいいのに、普通のままでいる勇気がない者(劣等コンプレックスのある者)には「勇気づけ」をしないといけない。
    ・課題を分離し、適切な過程を経なければ他人の課題を手伝わない。

    (個人の性格形成)
    ・全て人間は対等であり、横の関係にある。
    ・自己受容、他者信頼、他者貢献の三つが必要であり、健康なパーソナリティには共同体感覚(要議論)が必要。

    (アドラー理論の特徴)
    ・目的論
    ・「法則定立的」でなく「個性記述的」。人は自分で意味づけした世界に生きていることの理解。
    ・決定論に与せず、自由意志による選択を信奉。

    (その他人生論に関すること)
    ・人生の意味は自分で決めるのであって、他人は関係がない。自分自身が人生を創り出している。だから、失敗を恐れず、今、したいことをせよ。ただ、自分で自由に選択することは構わないが、自分の選択したことには責任を持つこと。また、他人も自分と同じような権利を持つ人間として尊重すること。その意味で、個々人は社会の中で自立してそれぞれ生きていくべきであり、必要なときに必要な言葉による(よらなくても)意志表示をするべき。
    ・現実をありのままに見据えて、とにかくできることをやろうと思ってできることから取り組んでいくこと。

    _____________
    文章が下手だと思う。主語、目的語がなかったり、なぜ挿入したのかわからない文などが散見され、あんまり校正していない…?みたいな気持ちになった。個々のそれっぽく良さげな小話を無理やり入れたいがために前後の接続がなんかわかりにくくなっているところがある。

    他人がそもそも分かり合えないことを前提に生きていくと、波風が立たない、というのはその通りだなぁと思う。わからない他人と共同して生きていけることが感動的。

  • 「(1)自立する(2)社会と調和して暮らせる。心理面の目標として(1)私は能力がある(2)人々は私の仲間である 」
    「自己受容、他者信頼、他者貢献はどれ一つ欠くことができない。」

    アドラー心理学の入門として
    わかりやすいのかよくわからん

  •  ちょっと前にはやったアドラーを、筋道立てて読みたくなって。
     ちょうどよいさじ加減の入門書でした。
     多分、いきなりこの本を読んでも、右から左に流れていったと思います。けど、主なキーワードは既に知っていて、端切れとしての知識があったので、さらさらっと読めました。点と点で知っていた知識を、面にして、大まかな球にできたのは大きな収穫。

     アドラー先生の生い立ちや、アドラー心理学の成り立ち、発展の流れが説明されていたのはありがたかったです。どういう必要性でつくられたものなのか、知ることができました。アドラー心理学って「何」だろう、っていうのが疑問だったので。
     この本を読んで思ったのは、アドラー心理学は学問というより、宗教と哲学の間にある、よりよく生きるための知恵っぽいなあと。既存のものでいえば、仏教哲学みたい。
     もとは子育て論だっていうので、すごい腑に落ちました。鬱の人が回復するための理論としては、要求がハードだなぁと思っていたので。今でも、アドラー心理学は、自己価値観が低い人にとっての劇薬だと思っています。でも、親が子を育てる時に「子にどう育ってほしいか」を考えるための理論だっていうのは、とてもしっくりきました。

     『嫌われる勇気』の抜粋をチラ見した時は、アドラー理論は私には厳しすぎて、根本的に合わないなぁって思いました。でも、この本で、自分がしっくりくる形のアドラー心理学に触れることができて、楽しかったです。これはこれで、ありな考え方かなぁとは思うようにはなりました。

  • 嫌われる勇気を借りて読んでみたら意外と面白くて
    岸見一郎さんの本2冊目です。

    理解しがたいところもありますが
    読んだら読んだだけ理解できているような気がするので
    また他のアドラー心理学について読んでみたくなりました♪

    「働く幸せ」にあった究極の幸せに通じるところが
    好きなんだと思います

  • どこからではなくてどこへ 目的論を重視する。
    勇気付け げんきをだして、しっかり死んでください。
    誰の課題か? 課題の分離
    進化をめざして人は 前 へと進むのであって 上 へと進むわけではないのです。広い道路を並んで歩いているのですから、別に誰が先に歩こうと構わない。
    人生の嘘
    楽観主義
    というところが印象深い内容だった。

  • 「嫌われる勇気」を踏まえて読んだため、分かりやすく読めた。

  • アドラーの心理学と教育論をわかりやすく解説している本です。

    アドラーは、意識の構造についての明確な理論をつくりあげたフロイトとは異なり、個人をいくつかの部分に分けることなく全体として把握する見方を正面に掲げました。彼がみずからの立場を「個人心理学」と呼んだのは、こうした彼の姿勢を示しています。

    また、アドラーは個人のライフスタイルにはコンプレックスがかかわっていることを認めますが、それは原因論としてではなく、現在の問題に向きあう際の行動の目的にかかわっていると考えられます。

    このようなアドラー心理学の立場では、子どもを上の立場から「ほめる」ことや「叱る」ことを戒め、対等な立場で子ども自身の課題を承認し、それに取り組めるように勇気づけることが重要だとされます。

    アドラーには、フロイトの精神分析学のような理論的な関心は希薄ですが、人間関係についての実際的で深い洞察があるように感じました。

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著者プロフィール

岸見一郎 (きしみ いちろう)
1956年生まれ。哲学者、心理学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。奈良女子大学文学部非常勤講師などを務める。専門のギリシア哲学研究と並行してアドラー心理学を研究。ベストセラー『嫌われる勇気』(古賀史健との共著、ダイヤモンド社)のほか、『アドラー 人生を生き抜く心理学』(NHKブックス)、『生きづらさからの脱却 アドラーに学ぶ』(筑摩選書)『一七歳の特別教室 哲学人生問答』(講談社)など多数の著書がある。

「2020年 『人生は苦である、でも死んではいけない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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