禁煙ファシズムと戦う (ベスト新書 99)

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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584120996

感想・レビュー・書評

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  • 著作の多い3人の共著。
    残念ながら、まとまな議論になっていない。喫煙者が溜飲を下げたり、現実逃避する手段としては使える。

  • 「最近の禁煙ブームは一種のいじめです」と金美鈴(彼女は喫煙者ではない)がテレビで言っていた。これは、「どんな人にも、嫌いなものを排除する権利は与えられていない」ということを仰りたかったんだと思うが、今思えば実に慧眼。最近の禁煙ブームは、だれがどんな権利を持って、喫煙者の権利を不当に侵害できるのか明らかにしていないし、おそらくできない、という意味で、完全に原理主義といえる。また、新聞各社がこのブームの推進役であるということは、この本が主張するように、戦前、戦中のファシズムの様相すらある。このような極端化する世論は、何れ暴走する(すでに暴走している?)。そもそも、受動喫煙と、健康被害の科学的根拠は存在しないし、自動車の排気ガスはあれだけ空気を汚すのに、なぜトヨタや日産を攻撃せずに、JTやフィリップ・モリスを攻撃する?戦え、作者よ。禁煙ファシズムから、喫煙者を守るためだけでなく、人権とはなにかを明らかにするために。ちなみに、著者の一人は、嫌煙家です。

  • ばりばりの喫煙家が昨今の禁煙ブームはファシズムと変わりないではないか!分煙をすることでいいのではないか!という痛快な本。嫌煙家のいう副流煙についても科学的な根拠は少ないという理論を展開。面白い。しかし、私はたばこをやめたので、できれば公共の場では吸ってほしくないと思っている。最近では喫煙者のマナーが悪いのが目についてしょうがない。駅近辺の路上に吸い殻が落ちていない日はない。とはいえ、たばこを吸わない人が大きな顔をしている昨今にもなんともいえない違和感を感じている。昔と今では大きく変わったのは確かだね。

  • 小谷野先生がいたころの阪大はどうだったのだろう。今、全面禁煙にはなかなか踏み切れないらしいが、私のいる棟のそばには喫煙ブースはなく、少し歩いて山を登った先に小屋がある。こんな田舎の広大なキャンパスの人通りのない奥まった小屋を密室にする必要がどこにあるのか、「窓を開けるとタバコの煙が外に広がり、受動喫煙防止になりません」とか書いてあるが意味がわからない。こんなところ喫煙者以外誰も通らない。

  • 論理的・理性的に最近の禁煙潮流と戦うのではなく、どっちかっていうと「俺はとにかくタバコが吸いたいんだ」という気迫が全面に出てきた熱い内容のような気がする。少なくとも小谷野敦の主張は。

  • 210 キノコノクニヤ

  •  屁理屈を聞くのが好きだ。どんな屁理屈を聞かせてくれるのだろうとワクワクしながら読んでみた。

     いま喫煙場所が極端に制限されている。喫煙者にとって不自由この上ないらしい。喫煙場所がまずない。公共の場からはどんどん排除されている。ニコチンの禁断症状を経験したことはないが、たぶん猛烈にトイレに行きたいのにどこにもトイレがないくらい苦しいことなんじゃないだろうか。ファシズムとは大きく出たなと思ったが、読んでみるとそれほど大げさな表現でもなかった。禁煙場所を設定したのなら喫煙場所も指定するべきである。それなのに一方的に禁煙場所だけを広げるのは「ファシズム」と言って差し支えないと思う。
     受動喫煙の健康被害に関する医療データも、デタラメな統計に支えられているそうだ。喫煙と健康被害の因果関係ははっきりしていないらしい。でも全くの無害というデータを出せないのなら、反論としては弱い。
     常識的なところで「全面禁煙」ではなく「分煙」で両者落ち着くべきである。喫煙者が喫煙場所を要求するのは正しい。

     問題となるのは喫煙者も嫌煙者も通る公道での喫煙だ。
     喫煙者であるこの本の編者は別に煙がこもるわけでもないからいいだろうと言う。嫌煙者は受動喫煙の害があるからやめろと言う。そうすると編者は受動喫煙の害なんて研究結果はでたらめだという。
     この問答はタバコに害はあるかないかで争っているので結論がでない。
     従って論点を変える必要がある。そしてこの本の中ではなぜかほとんど取り上げない重要な点がある。
     
     「タバコは臭い」のだ。

     タバコの悪臭は吸っている人は全然気づいていないが、吸わない人にとっては相当臭い。編者は2メートルも離れれば副流煙なんて希釈されるからほとんど無害だと言う。仮にそれは認めてもいい。でも臭いは残る。大袈裟でななく10メートル先でもタバコの臭いはわかる。喫煙者は2メートル離れれば迷惑をかけていないと思い込んでいる、しかし嫌煙者は10メートル離れていても迷惑なのだ。体臭が自分自身ではわからないのと一緒だ。この距離感の隔たりこそ一番大きな問題だ。
     だから公道上でタバコを吸う人に言いたい。タバコを吸わない人から見たら、あなたは強烈な放屁をしながら歩いているように見えるのだ。あなたはガス抜きができて気分爽快かもしれないが、嗅がされるこちらは不愉快なのだ。

     それでも公道上で吸いたいなら吸ってもかまわない。でも吐くな!

     例えば缶ビールくらいの大きさで、吐いた煙を無臭化する小型フィルターとかJTで作ればいいのにと常々思う。そんな難しい技術でもなかろうに。それか吐いた煙を再び喫煙者の肺に戻す装置とか。これならすべて喫煙者の自己責任で完結する。そうしたらこの論争も無事解決だ。

     
     

  • 小谷野氏に狂気を感じる。面白い題材なだけに第一部が小谷野氏という構成は非常に勿体ないと思う。導入くらいはもう少し入りやすい文章にした方がよい。嫌煙・愛煙どちらにも寄っていない人からするとこの過激な文章は読むのが辛く、第一部を読む途中でギブアップする人も出てくるのではないか。

  • [ 内容 ]
    猖獗をきわめる昨今の禁煙運動の根源にあるのは、特定の集団を差別したいという心理である。
    現在の先進社会では、性別、人種などによって人を差別することは、たてまえ上とはいえ、許されていない。
    そこで、他人に害を与えるという理由のもとに、喫煙者を「汚い」ものと認定し、差別しようとしているのである。
    これは、かつて肺結核患者やハンセン氏病患者が受けた差別と、ほぼ同質のものだ。
    二言目には「喫煙者のマナーが悪い、国や自治体が規制してほしい」と言い出し、分煙さえ認めず、全面禁煙を主張する禁煙運動家は、再び全体主義を招来する、恐るべき国家依存症にかかっているのだ。

    [ 目次 ]
    第1部 禁煙ファシズム・闘争宣言(小谷野敦)(禁煙ファシズムとの戦い;マスコミにおける禁煙ファシズム ほか)
    第2部 「禁煙ファシズム」の狂気(斎藤貴男)(ザミャーチン『われら』の世界;一千万人が喫煙で死亡する? ほか)
    第3部 嫌煙と反‐嫌煙のサンバ―論争史、それから映画『インサイダー』について(栗原裕一郎)(寅さんが煙草を吸わない理由;嫌煙権の誕生 ほか)
    第4部 反・禁煙放談(小谷野敦×斎藤貴男)(分煙さえ否定される;「健康増進法」の欺瞞 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  私の問題意識にぴったりの本でした。
     時間を決めて禁煙。禁煙車があります。
    くらいなら,私もまあそんなもんだろう,と思っていましたが,ここのところ,様子が違ってきました。
     全席禁煙の飛行機は勿論,電車のホームも全日禁煙。学校の校舎の中も禁煙。挙げ句の果てには校地内も禁煙などと言い始めています。冗談に,直径30センチだけ土地を買ってそこに立って吸えばいいなんて話まで出る始末。これって絶対に行き過ぎです。
     副流煙なるものが,とても健康に悪い。これを吸えばみんなガンになる…とも言わんばかりの話にうんざりしていたところです。そんな話,どこまで科学的なんだろうって思ってもいました。
     だいたい政策としてどんどん突き進んでいくこのやり方が,正常なはずがありません。
     私は煙草を吸わないけれども,この本の題名通りファシズムってこんな風に民間の中に入り込み,こんな風に広がって少数派を差別していくのかも知れない…と思います。
     もし副流煙に,少しながら科学的な根拠があるとしても,それは車の排気ガスとどれくらい危険度が違うのか? そんなこともあまり明らかにされていません。
     「防犯カメラ」という名の「監視カメラ」の存在。あれは国家に自分たちの生活を守ってもらおうということで始まったのでしょうが,実は,吾々の権利さえも奪われているのです。でも,それに気づいてももう遅いのでしょう。私たちは,既にたくさんの監視カメラにのぞかれながら生活しているのです。もうプライバシーなど,ほとんどなくなっているのと同じことです。
     自動車事故による死亡者の方が,副流煙による死亡者よりも多いはずです。比べものにならないくらい…。それなのに「自動車の運転をやめろ」といわないのは何故なのでしょう。
     こんな簡単なことがわからないで,喫煙者を責めるのはやめましょう。単なる「私は煙草の煙が嫌い」という問題を政策にまで反映させてはいけないのです。好き嫌いは誰にでもありますから。
     健康増進法という気持ちの悪い法律も,禁煙運動に拍車をかけているようです。食育基本法といい,私たちの生活にまで干渉する法律はろくなことがありません。
     私たちには病気になる権利もあるのです。
     この本,ぜひ読んでみてください。お薦めです。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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