検察が危ない (ベスト新書)

著者 :
  • ベストセラーズ
3.63
  • (7)
  • (18)
  • (9)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 144
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122747

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 第三者委員会と言えばこの人が出てくるイメージがあるけど、検察、特捜部出身にして歯に衣着せぬ物言いだし宗像氏のようにギャラで仕事を選んでいる印象もないので非常に好感を持ってました。
    タイトルで言うほど全体的な話ではないけど、小沢問題を契機にして検察への危惧が綴られており、結局その危惧は現実のものとなって明らかになったという点で慧眼でしたな。まぁこれを読むとやっぱりまだまだ根絶しているとは言い切れないですが。

  • 3章~4章、特に4章に指摘されている制度的問題が核心。
    第一に検察が自己完結する閉じたシステムであること(131-)。
    第二にそのシステムの意志決定過程が多くの段階を踏むために、実務レベルでは縮減のために事件のストーリーが単純化・固定化されること(136-)。
    第三にマスメディアとの関わりとして、政治的意図を持ったメディア上層部との複雑な関係とそれに反して検察の「従軍記者」と表現される司法記者クラブの現場記者との関係(148-)。
    第三の点は直接的に世論形成に関わり、世論に煽られ煽られる形で(3章)「正義の検察」の存在意義を知らしめ、自尊心を満足させるといった心性を強化させる。内実を知る著者によって検察特捜部のメカニズムが非常にわかりやすく描かれている。

  • 元検事の筆者が、検察が暴走している危険性を指摘している書。

    実際、小沢容疑者は無罪判決を受けた。合理的ではなくて、民衆に迎合して結果暴走している印象を与える、検察機構も組織が硬直化しているということなのだろうか。

  • ‎2011/1/27読了。著者は特捜の経験もある検察OBながら、特捜の事案などで見られる検察の問題点を指摘し、特捜が抱える構造的な問題や今日的な課題を明らかにしつつ、今後の検察のあるべき姿を提示しております。これは検察だけの問題ではなく、司法記者クラブなどのマスコミの問題、あるいは裁判官の証拠判断が検察に有利になる問題なども複雑に絡み合っていますが、単なる現状の否定にとどまらず建設的な提言をしているので、日本の検察という制度を深く考えさせられますよ。

  • 検察の問題点、マスコミが検察のリーク?を流してしまう問題、特に特捜部に対する意見はなるほどと思われた。しかしながら、可視化には消極的意見。少し残念。

    10.11.15読了
    箕面
    時間1.5H
    評価○△


    目次
    はじめに

    第一章 陸山会土地取得をめぐる政治資金問題
    捜査の最大の被害者/記載は存在していた/四億円不記載とは何だったのか/現職国会議員の逮捕/特定されなかった容疑事実/"前科持ち"の供述/霞んだ「石川氏の逮捕」/あり得ぬ小沢氏起訴/捜査が「公平公正」?/公開すべき「政治資金の収支」とは何か

    第二章 ガダルカナル化する特捜検察 
    「小沢代表秘書逮捕」をどう受け止めたか/表献金か、裏献金か/泥縄式の捜査態勢/不可解な「監督責任」議員失職論/ゼネコン一斉聴取の狙い/「大本営発表」による戦果/疑惑のNHKニュース/「国策捜査」という見誤り/西松建設側の「無条件降伏」/検察の敗北/大久保氏公判

    第三章 世間に煽られ、世間を煽る
    「贈収賄」への固執/投げつけられたペンキ/世論の波に乗る/金丸脱税事件に救われた検察/見送られた告発/期待を受けたゼネコン汚職事件/不可欠だった談合構造の解明/怒声、罵声、暴力/「不正行為の斡旋」か/事実無根だった梶山一〇〇〇万円疑惑/煽られた世論/中村喜四郎氏の逮捕/捨て石にされた公取委/負の遺産/異例の検事総長来訪/「天に唾する」大蔵不祥事/

    第四章 検察をめぐる「思考停止」の構造
    人間の生活ではない特捜勤務/「人生」とは言えない二カ月/「捜査現場が収まりません」/自己完結する検察/ストーリーの単純化・固定化/裁判所によるチェックはなぜ機能しないのか/人質司法/真実は法廷よりも取調室/本質ではない「検察リーク」/一心同体の司法クラブ/なぜ弁護士は問題を指摘しないのか/「検察の正義」と統帥権干犯/企業・団体献金全面禁止の問題

    第五章 検察革命
    「伝統的機能」と「社会的機能」/特捜的システムの限界/政治資金規正法の誤解/「指導」から「制裁」へ/制裁への四要件/行政としての役割/捜査手法の転換の遅れ/独自捜査をどうするか/取り調べの可視化の是非/検事を分配配置せよ/理想的な布陣/民主主義の最後の砦
     
    おわりに

  • 日本人の多くが「法令」が出てくると何も考えず「遵守」しようとする。検察のすることにもつべこべ言わず従っていればいい、そんな風潮が確かにあった。しかし、最近検察の正義の根底を揺るがす事件が相次いで起きている。検察とはそもそもなにをすべきところなのか。そうした疑問が世間を取り囲まっている。思考停止のまま「遵守」を行ってきた日本人の代償ともいえる。無批判的に「遵守」することの危険性を強く説いている。構成としては、最近取りざたされている小沢氏の政治資金の問題からそれに対する検察の捜査の仕方、特捜部という組織、検察のありかたはいかにあるべきか、といった形になっている。検察のありかたについて考えさせる啓蒙の書。

  • 郷原氏が公平な目で今現在の検察の疲弊を訴えている。
    過去の失策なども含め、今現在進行中の小沢氏関連の捜査のごり押し無理を細かく精査して、その問題点も含め書かれている。
    郷原氏はきっと、今のひずんだ検察を正しい姿の検察に戻って欲しいという願いを込めた著書だと思う。

  • 小沢氏と検察

  • 法治国家における「法」と言えども、運用するのは所詮、全知全能でない人間様である。

    そして、何より、完璧な法制度など人間社会で構築できないのである。

    人間そのものの存在自体が矛盾に満ちたものなのである。

    そのような中、国家権力の本家本元の「検察」が暴走している。

    従前は、何かしら、葉止めがかかったいたものが、「検察」組織そのものの劣化、その劣化した検察の手先と化したマスコミが一体となって、日本の民主主義を侵し始めている。

    検察に育ててもらった恩返しで、あえて、苦言を停止、長年、コンプライアンスの研究に携わってきた著者ならではの検察改革を提言されている。

    より多くの市民に読んで欲しい極上の書物である。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1955年生まれ。弁護士(郷原総合コンプライアンス法律事務所代表)。関西大学社会安全学部特任教授。総務省コンプイライアンス室長・年金業務監視委員会委員長。東京大学理学部卒業後、民間会社を経て、1983年検事任官。東京地検、長崎地検次席検事、法務総合研究所総括研究官等を経て、2006年退官。「法令遵守」からの脱却、「社会的要請への適応」としてのコンプライアンスの視点から、様々な分野の問題に斬り込む。

「2017年 『青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

郷原信郎の作品

検察が危ない (ベスト新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする