数学的思考の技術 (ベスト新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123188

感想・レビュー・書評

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  • 数学ではなくあくまで「数学的」思考のお話。一般的にいう論理的な思考をイメージすればよいかもしれない。数学的な思考を用いれば経済の話や環境問題の話も今抱える問題が少し明らかになる。本書の最後にある村上春樹の作品を数学的な見方で分析するのは面白かった。

  •  ブログを始めたものの、9月に上海に渡るまでの間、温泉に行ったり、実家に帰ったり、フェスに行ったりするので、今住んでいる下北沢のアパートの明け渡し準備等、いろいろ今のうちにやっておかなければならない。
    楽器を大学の後輩に譲ったり、家具家電の処分の手続きを行ったり、意外と時間を費やす。

     そのような状況の中、漸く読了できた本が、小島寛之さんという経済学者の「数学的思考の技術」。
     高校時代、因数分解レベルで挫折し、真っ先に私立文系コースへの道に突き進んだ私にとって、数学は鬼門鬼門。
    ところが、この本はタイトルにある通り「数学的思考」について触れるものであって、因数分解、方程式等の数式ズラーっていう数学本でない。
    この「数学的思考」とは、普段の生活で起こりうる問題等を簡単な数字や図形を使ったシミュレーションを行い、論理的に考察してみましょう、というものだ。

     例えば、ボーナスについて、社員が仕事に対し怠けず努力するための仕組みであるのは当然かもしれないが、ボーナスに限らず、人に対し本音を言わせるためには高コストがかかる、ということを簡単な数字を使用したシミュレーションにより解明する等、他にも様々な事象について数学的思考により説明をしている。

     途中、著者の経済論がダラダラと続き退屈であったが、最後に村上春樹の小説は、数学をソフトウェアとして機能させているという記載があり、これは興味深かった。
     その内容とは、言葉のみであるにも関わらず、とあるモノや物事等の相互の距離感などが組合わさった空間図形が頭の中に描くことができる、とのことで様々な小説のくだりを引用し説明をしている。
    こういうのとか、トポロジーというらしいがちょっと難しかった。

     とりあえず「1Q84」を読んでみたいと思った。

  • [初版第5刷]2011年3月25日

  • 大学教授の他に「数学エッセイスト」の肩書きを持つ筆者。数式はほとんど使わずに(ただし図形は出てくる)、日常にある数学的な思考について解説している。

    筆者曰くは「数学は苦手で」と言う人の中には数学的思考に向いている人は多数いるらしい。要は論理的に物事を考える人、ということか。数学的思考を持つ人は、個人差が出てくる感覚的思考よりも「答えが論理的に導きだされる」ことを求めるものなのかもしれない。

    後半で哲学が入り込んで来るので頭が混乱してくるが、村上春樹の小説を「数学的だ」と絶賛するくだりは分かりやすい。論理的な言い回しが多いので翻訳しやすく、それで海外にも村上ファンがつきやすいのだとか。

    やはり、この世には文系脳と理系脳の2通りがあるのかもしれない。数学者が「素数は美しい」と言う思考の根底の一端が見えた気がする。

  • 主に経済に関する事柄を数学的な視点で語っていた。
    僕にとっては難解な部分もあったが、興味深く読み進められた。

  • 数学的な観点を使って、経済問題から、人間の幸福、果ては村上春樹をも論ずる異色の本。
    不況からの脱出に、インフレ化や、ベーシックインカムは効かないとする議論は必読。この本を読んで、ドイツで実施されている、土地の国有化志向がデフレ下の日本でも有効そうであると思った。

  • ・社会的共通資本…自然環境や都市インフラや医療・教育・金融など社会制度を包括する概念
    ・「豊かであるがせわしなさのない世界」実現には社会的共通資本の充実が重要
    ※村上春樹文学と数学の話は唐突で何が言いたいのかよく分からなかった

  • 読んでおいて損はない

  • 数学に基づいた経済学で世の中の諸現象を見てみた

    まぁ、数学に基づかない経済学があり得るのか?というツッコミを受けそうだが、本書が一応「数学的思考の...」と銘打っているので、そう書いておいた。いくつかのアマゾンのレビューにもある様に、本書は数学の本というよりも、「経済学的な物の見方に基づくエッセイ」だ。

    詳細は下記
    http://critique.hatenablog.com/entry/2015/04/29/232109

  • 経済の景気についてやゲーム理論について、環境について、外部性について、物語について、トポロジーについて、哲学的ものなどを数学に紐付けて紹介してくれている。

    が、どれも色々な寄せ集めなので、「技術」と呼ぶには説明浅いし、ましてや「思考の技術」を教えてくれるものではない。もう少し何かを掘り下げてくれてればよかった。

    最後の「村上春樹」の小説に対する著者の数学的思考を通しての解説は面白かった。

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著者プロフィール

小島 寛之(こじま ひろゆき)
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。
現在、帝京大学経済学部経済学科教授。専攻は数理経済学、意志決定理論。
数学エッセイストとしても多方面で活躍しており、そのわかりやすい語り口には文系・理系の読者を問わず定評がある。
主な著書に『使える!経済学の考え方』『数学入門』(以上、ちくま新書)、『天才ガロアの発想力』『ナゾ解き算数事件ノート』『21世紀の新しい数学』『証明と論理に強くなる』『【完全版】天才ガロアの発想力』(以上、技術評論社 )、『無限を読みとく数学入門』(角川ソフィア文庫)、『数学的推論が世界を変える』(NHK出版新書)など多数。

「2021年 『素数ほどステキな数はない  ~素数定理のからくりからゼータ関数まで~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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