「空気が読めない」という病 (ベスト新書 320)

著者 :
  • ベストセラーズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123201

作品紹介・あらすじ

片付けができない、遅刻する、つい余計なひと言をいって場の雰囲気を壊してしまう、仕事などで凡ミスを繰り返す-。あなたの周囲の「困った人たち」。これまでは性格の問題とされ見過ごされていたが、実は「発達障害」という病気だった…。本書では「大人の発達障害」を、性格や個性と見なされがちだった様々な特徴から探り、原因と治療法、周囲のサポートまでを広く紹介する。数多くの実例や歴史上著名な発達障害者のエピソードなど読みどころも満載で、この「隠れた見えない障害」について知るための絶好の書である。著者は「決して治らない病気ではない」と言う。まずは「気づき、受け入れること」。本書はその第一歩である。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で手に取り、戻そうとして落とした。「読め」ということだろうと思って借りて読んだ。
    口やかましい人と聞く耳を持たない人、散らかす人と片付ける人、私と父か。

    精神科医になってから自分の発達障害に気付いた著者の主張、周囲はどうサポートすればよいかは「両者」にとって役立った。
    誰でも一つや二つは思い当たることであっても、いくつもいくつも一人の人間に現れると日常生活が困難になる、それはとても苦痛なんだなあ。
    周りからは神経が図太く見えることがあっても、心の中は不安や葛藤で一杯、それを表現できない苦しみ。

    チェックリストで自分の傾向がわかる。

  • 自分を含め周囲を見ても当てはまる部分を多く感じる。程度の差はあるから一概に障害です、とは言えないだろうが、幾つかの特徴は自分も「かなり当てはまる」と思う。読み終わった後は誰しも信仰の告白に近い心境になるのではないか。
    自分の性格や行動には誰しも完璧で完全な自信を持てないと感じていると思う。自分なりに悩み改善を試みある程度納得いくレベルまでは克服し、そして「普通」に出来てると思っている。そうでなければ悩みすぎて精神不調に陥ったり自暴自棄になってしまう。近年、個性という言葉でまとめてしまう事も多く、その言葉に自分の個性だから「これで良いよね」と甘えてしまう風潮がある。本書を読むと読まざるとに関わらず、自身を含め周囲にも「何で出来ないのだろう、何回言わせるのだろう」とフラストレーションを感じる機会は多かった。きっとそこには個性という言葉では括れない一種の病的なものはあるだろうと感じていた。発達障害という言葉自体もよく聞く様になり、歴史上の偉大な人物にも多かった事は知識にあったが、改めて本書を読んで体系的に整理して理解することができる。実のところ仕事上での悩みから読み始めた。週に何度も遅刻したり、コロナで在宅になってからは、姿も見えず以前に増して報告がなく仕事の進捗状況も不明、指示した期限を過ぎても終わらない、そして細かいミスが多い。これだけ書くとビジネスパーソンとしては落第点に聞こえてしまうが、完璧なまでに美しい資料、要点は見えづらいが十分過ぎるほどの調査内容、そして自らプログラミングして(通常は外注する様な作業)作り上げてくる技術力は際立っている。今日も朝のミーティングには参加してないが、きっと私が電話で起こす事になる。始めのうちは「またか!」と怒りに感じる事が多かったが、暫くすると「普通とは違う特別な何かがある」と感じ始めた。流行りの1on1を隔週でやっているのだが、2人で話しているとそれはやがて確信に変わり、今ではどこで活躍できるかを考える様に自分の思考が変わった。これだけ言うと良い上司にも見えるが、実際はまだ怒りも感じるし、良い答えも見つからない。
    そんな時に手に取った本なのでかなりの納得感や今後の自分のやり方に関する示唆が得られた。そして人を理解するつもりが、自分の理解にも繋がったのだ。
    私も長く人生を歩んで、沢山の人に会ってきた。会議の開始からごく僅かな時間で相手の要望を先読みしてしまう天才と呼べる一方で、意味のわからない物へのこだわりがあり、会議以外では全く理解出来なかったや問題児の様な人。指示すると徹夜してでも完璧なプログラミングで仕上げて文句のつけようもないのに、混雑した電車で足を組んでる若者(見た目は怖い)の脚をいきなり蹴り上げる様な乱暴者。物分かりよくプロジェクトは予定通り進めるのに、簡単な請求処理は毎回同じミスを繰り返す人。思い出せば完全な人など居ない。誰しも幾つかの感化できない問題と能力の高さが同居していた。多分私もその様な面は多いと感じられていただろう。
    本書を読めば対人だけでなく自己との向き合い方も変わる。筆者の言うとおり、一人一人はパズルのピースの様なもので上手くでっこみひっこみを組み合わせて社会は成り立つし、仕事もそうだ。これを個性と呼ぶか障害と呼ぶかでは随分イメージも変わるが、悪い所もあり良い所もひっくるめると「症候群」という言い方が1番しっくりくる。
    自分も周囲も理解し合うことで仕事も社会もより一層上手く過ごしやすくなる事は間違いない。

  • 「障害を理解できない、心が狭い自分」を責めないために、まず知ろうと思った。特性が分かればイライラすることも少なくなる。解決策を模索する決め手にはならなかったが、大人のADHDについて基本的なことを知る、特性を学ぶのに役立った。

  • 978-4-584-12320-1 206p 2011・3・20 初版1刷

  • 最近、よく耳にする「発達障害」。この本には、その症状が詳しく書かれています。面白かったのは「源氏物語」の登場人物である末摘花とその兄も、発達障害に当てはまると書いてあったこと。ピカソや太宰治、アインシュタインなどの天才もそう。社会での生きづらさを抱えている人にとって救いとなる本かもしれません。

  • 片付けられないのは本人の性格のせいではない。脳の機能障害によって引き起こされるという誰にでも見られる現象をあげながらADHDやパーソナリティー障害の症状を解説する。無自覚に思い悩むより病院を受診して速やかに自分の現状を認識し対処していく事が重要であると解く。小森がまさにそうだとは初めて知った。

  • 493.7

  • 人と会話をしている最中に、その時浮かんだ思い付きを場所、状況をわきまえずに口に出してしまう。あれこれ手を出しすぎてしまい、物事の優先順位がつけられず、最低限のやるべきこともやれない。ストレスに対する耐性や抵抗力が弱く、些細なことに怒り、感情を爆発させ情緒が極めて不安定。自分の思い通りにならないと腹を立てるため、他者には短気でストレスや欲求不満に耐えられない未熟な人と映ってしまう。自分のことで精一杯で相手のことやその場の雰囲気まで考える余裕がない。人とうまく接することができないから、悪意はなくとも周囲の人には自己中心的とみられてしまう・・・・・・・。自分の身近にもいるこんなヤツ。見かけが普通だから一つ一つの行為が頭にくるし腹も立つ。終章ではこういう彼奴達との向き合い方が示されている。が、そもそも彼奴は病気。憎むべき対象というよりは寧ろいたわるべき存在。それが理解できただけでも気持も広やかだ。優しくもなれるし寛容も示せる。豁然開朗の爽快感を味わうことができた。

  • 立ち読み。
    今、よく言われる発達障害の話。
    なんでも障害にするなという視点もあるが、
    そうかもしれないという視点は大事かと。

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著者プロフィール

1973年、福島県立医科大学卒業、神経精神科入局。79年、医学博士。84〜85年、アメリカ・エール大学児童精神科留学。93年よりロマリンダクリニック心療内科勤務。2001年、福島県立医科大学神経精神科助教授。03年、福島学院短期大学福祉学部教授。06年、福島学院大学大学院附属心理臨床相談センター所長。1990年に大腸ガンを発症し、切除手術を受けるが、7ヵ月後に再発(肝転移)。ガンの食事療法「ゲルソン療法」を簡略化した「星野式ゲルソン療法」を考案・実践し、克服した経験を持つ。また、自らが発達障害の一つであるADHD(注意欠陥・多動性障害)であることを公表している。

「2017年 『ガンを食事で治す星野式ゲルソン療法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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