崩壊する介護現場 (ベスト新書)

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  • ベストセラーズ
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584124178

作品紹介・あらすじ

暴力、セックス、洗脳-今、介護業界は非常に危険です。このままだと日本は姥捨て山国会になる。

感想・レビュー・書評

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  • 介護事業所を運営した経験のある著者による『愚痴本』のようなもの。レビューなどで賛同の声が多いことからも事実に近い部分が多いだろうけど、著者の主観に偏った本ともいえる。本書の中で出てくる『割合』は分母が50人以下のデータだったりして正確な情報としては言い難かったり。

    著者が過去に書いた本が『AV女優』『ワタミ』『中年童貞』などなのでその色が強い。介護士の売春とかワタミ式宗教経営とか、中年童貞の職員の質がどうとか・・悪く言ってしまえば著者の本の内容の寄せ集め。それに加えてサイコパス職員の話が新たに述べられていた。

    愚痴を言って終わり感が強く、著者自体が介護業界を諦めてしまっている雰囲気が全体から漂っているので、改善の兆しなどそういった部分についても考察して欲しかった。それから気にかかったのは著者が人のことをしっかり深く理解しようとしていないのでは?と思わされてしまった点。表現上そう書いているのかもしれないが、偏った見方をしているように感じさせられる部分も多々あり。

    丁寧に書かれた2ちゃんまとめのような本。全く知らない業界の片鱗を知れるという意味では、無意味ではない本。

  • 馬鹿げた個人的見解と偏見に満ちた描写が前半繰りだされていたが、著者の遍歴を知った上では別段不思議にも感じない。ハズレかなと思っていたが、読み進めて第4章「夢喰いが牛耳る介護業界の闇」で突然社会問題を鋭く捉えるルポライターとしての腕を見せてくれた。介護保険制度を軸に「福祉」を「ビジネス」に、「措置」を「契約」に置き換えたことにより生じる現在の介護現場の歪みと崩壊を客観的にあぶりだし未来を示唆し読む者に恐怖と怒りを感じさせる力は、じわじわと迫る2025年問題についてはっきりと危機感と制度の誤りに気付かされた。

  • 介護従事者・経営者の実態について。職員が売春をしていたり、メンタルが不安定で周囲を振り回したりなど、極端な例だと信じたい部分もあるが、可能性としてあるかもしれないと思ってしまう部分も。とくに生保受給者を受け入れてたりするような、格安有料老人などの実態はどうなんだろう。介護は資格なくてもできるしね。病院のヘルパー事情も似たようなところがあるのか。准看護師なども同じかもしれない。事務職は…など考えていくと恐ろしいが。

  • 2013/09/15 【新】

    だいたい合ってる。
    感想書く前に介護職の人にあげた。

  • 極端なところもあると思うが、概ねの業界の実情を知ることができた。

  • 崩壊する介護現場 (ベスト新書) 新書 – 2013/9/7

    介護の世界には夢や希望は何もなく、将来性もあるとは思えない。あるのは「需要」だけである。
    2016年9月11日記述

    中村淳彦氏による著作。著者自身が2008年より介護事業所を経営しはじめ、その経験からの介護業界の異常性を訴えている。

    中村淳彦は、日本のノンフィクション作家、ノンフィクションライター。
    1972年東京都目黒区生まれ。
    明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、専修大学経済学部卒業。
    編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。

    低賃金、重労働などのイメージがある介護業界。しかし現実はもっと厳しく複雑だ。
    人材が全ての資源であるにも関わらず高い離職率。
    知識、技能が蓄積しにくい構造にもなっており悪循環になっていると思った。
    元からの人手不足に加え他のL型産業との人材の奪い合いに勝てると思えず・・
    我が国の2025年問題(団塊の世代が後期高齢者になる時期)を問題なく乗り越えることは不可能となりつつあると思う。

    本書のそれぞれの章が興味深く、もっと掘り下げ一つの本にして良いと思えた。
    一章にあるサイコパスと思われる山田と著者との激闘はすごい。
    著者がサイコパスである松永太を取り上げた消された一家(豊田正義 2009)を
    読んでいてサイコパスという存在を知っていたことが問題解決につながった。
    中村氏の経験上、サイコパスの特徴に慢性的な愛情飢餓。過剰に同情を乞う。
    育った家庭の機能不全。刺青を入れている。
    数多くの転職経験。異性にモテる。
    同性の友達がいない、などを加えてもいいのではないかと指摘。

    ドイツの医学者エミール・クレペリン氏は
    「一見才能があり博学で、地理歴史技術医学など、何くれとなく通じていて話題が豊富であるが、よく調べるとその知識は他人の話からの寄せ集め」
    「好んで難解な外来語や人を脅かす言説をなす」
    「自己中心の空想に陶酔して、他人の批判を許さない」
    というサイコパスの特徴を上げている。

    サイコパスは一言で言えば
    「虚言癖があり良心がなく、他人を操ることに長けている」日本にサイコパスは250人に1人の割合で存在すると言われている。

    介護の世界は不規則勤務によって他の業種の人と交流する機会が少なく、出会いも少ない。
    この為、不倫などが他業種よりも多い・・売春、薬物、嘘ばかりの異常者。
    ネットワークビジネス・・・ワタミのような宗教的組織による洗脳、マインドコントロール。

    現場で働く介護職員はホームヘルパー2級や無資格未経験の人を中心に世間のイメージから大きく乖離した「異常な人」が多すぎる。
    重労働や低賃金の問題ばかりが報道されるが、本当にすぐ解決しなければならない異常な人材問題に触れている記事や報道は見かけない。
    ⇒これの解決の為にも低賃金は解決されるべきだろう。

  •  著者は多くの著書をもつフリーライターだが、そのかたわら、2008年にデイサービス施設を立ち上げ、経営者兼介護職員をしている。出版不況で増えてきた“兼業ライター”の一人だ。

     本書は、「介護現場で働くライター」という特異な立場を活かした衝撃的なノンフィクションである。

     介護の仕事が総じて「3K」(給料が安い・キツイ・汚い)であることはよく知られているが、本書が的を絞る「崩壊」はそこではない。介護に携わる人材の急速な劣化を、「崩壊」として語っているのだ。

     介護業界は離職率が高く、慢性人材不足である。そのため、フツーの企業なら採用されないような人でも採用される。その敷居の低さに、一部大手介護企業(「ワタミの介護」など)の急拡大志向が拍車をかけ、まともでない人がどんどん介護業界に流入してきている、という。

     仕事がまったくできないスタッフたち、安い給与を補うため売春に走る女性職員たち、日常茶飯事である職員同士の不倫、一般世間より格段に高いサイコパス率……。本書に描かれた人材崩壊の現状は、じつにすさまじい。

     内容の衝撃性に引っぱられて、思わず一気読み。
     ただ、本書の告発が介護業界の全体像を正確にとらえているかといえば、やや疑問。著者の目から見える「現状」は、かなり極端な気がするのだ。

     著者はもともと、AV業界や性風俗の世界をおもに取材してきたライターである。そのため、彼が目にする情報や接する人々にも、必然的に偏りがあるのではないか。
     本書を読むと、介護業界で働く女性の多くが副業で性風俗をやっているように思えてしまう。まあ、中にはそういう人もいるだろうが、まさかそんなに多くはないだろう。

     そのへんを割り引いて読む必要はあるが、介護業界の現状にホンネで迫った書として、一読の価値はある。

  • いくら何でも介護現場の描写がちょっと極端過ぎるんじゃないかと感じたけど、職員の質の低下が大きな問題となっていることは理解できた。私も母が介護老人保健施設におり、人ごとではなく興味深く読ませていただきました。

  • サイコパス山田は確かに甚大なダメージを筆者に与えたわけだが、介護との因果関係はそんなにあるだろうか。
    売春や中年童貞の問題も出ていたが給料が安いのが最大の難関。

  • レビュー省略

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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