アドラーに学ぶ よく生きるために働くということ (ベスト新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584125205

作品紹介・あらすじ

本書の第一章では、「なぜ働くのか」という根本的な問題を考え、第二章では、「働かない」「働けない」という事例をもとに、「働くことの意味」をどう見るかについて考察します。続く第三章では、職場での対人関係の問題を取り上げ、風通しがよくなるための具体的な方法を提案します。最後の第四章では、幸せになるためにはどんな働き方をすればいいかについて考えてみます。どの章においても、働くことの意味を職場で働くという狭義ではなく、活動、さらには生きることと同義で考察します。

感想・レビュー・書評

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  • アドラーに学ぶ。よく生きるために働くということ

    【著者】
    アドラーの「嫌われる勇気」の著者、岸見さんの執筆です。

    【関心深い内容】
    岸見さんが、岸見さんの人生を振り返りながら、執筆されていること。
    1.40歳まで定職につけなかったこと。
    2.哲学者として歩むも、哲学を通じてどう生きるのか?のカウンセラーに進んだこと。
    3.アドラーとの出会えたこと。
    4.心筋梗塞で手術し、入院されたこと。

    多くの文献を学んだ岸見さんが、その文献を引用しながら展開しています。

    一ページで、ワンメッセージと読みやすい展開でした。

    【学び】
    ①アドラーの共同体の概念。
    自身は、多くの関係のなかで成り立っていること。
    仕事も仕事以外も。

    ②働くは社会貢献
    社会貢献とは、Social Interest、そう社会への興味、関心と訳すこともできます。

    コンビニで働く
    →深夜、早朝に用事のある人に役立つ場所で働いている

    ③貢献感
    他者から与えられる貢献感、納得感ではなく、自ら探し、見出すこと。

    ④横の関係
    対等。仏教でいえば、同時ということ。

    ⑤プライベート
    プリヴァーレ(ラテン語)=奪うと訳す。
    そう、自ら自らの時間を奪う感覚で創るものだということ。

  • あなたの「価値」は、あなたが決める❣️「働くということ」を、狭い意味ではなく、歳を重ねたり、 病気になったりして働けなくなった時のことまで視野に入れて考察
    そこまで視野を広げて考えた時、働くことは生きるということと同義であり、生きることが幸福を目標にしているのであれば、働いていて不幸だと感じるのであれば、
    それがたとえ巨万の富をもたらすものであっても見直さなければならないのです。 アドラー心理学の見地から、なぜ働くか?という問いを見つめ直し、「働くこと」そのものの意味を考え、 最終的には幸せになるためにはどんな働き方をすればいいかについて言及します。
    *自分に価値があると思えない仕事に意味はない
    *経済的優位は人間関係の上下には関係しない
    *自分の価値は仕事以外でも見出せる
    *成功は人生の目標ではない *明日は今日の延長ではない
    *自分に価値があると思える勇気を持とう etc. 【目次】
    第一章 なぜ働くのか
    第二章 あなたの価値は「生産性」にあるのではない
    第三章 職場の対人関係を改善するために
    第四章 幸せに生きるためのこれからの働き方

  • アドラー心理学における第一人者、岸見一郎氏が働く意義について書いたものです。
    アドラーをはじめとする心理学者や哲学者の教え、そして著者の実体験を織り交ぜながら話は展開されています。
    仕事をする上で大切なのは、その仕事で自分が貢献できているという感覚を持てるかどうかにあります。勇気を持って臨む、すると勇気は伝染していくのだ。現状と向き合って行動することが大切なのである。
    また、人間関係を上下で捉えるのではなく、横並びで考えるところもポイントになっており、職場での人間関係を考えるうえで参考となる一冊。

  • 「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」を熟読し、岸見一郎先生の解釈によるアドラー心理学にとても興味を持った。岸見先生の本は、いろいろと読んでいきたいと思っている。まずはこの本を読んでみたが、これもとてもよかった。「仕事」がテーマ。生活するうえで、働くことは避けて通れないので、いろいろと有意義な内容だった。これからも、読み続けていくつもりだ。

  • 働くとはどういうことなのか、改めて考え直してみたいと思い、読んでみました。一番共感したのは、働く=貢献感という話です。
    これに照らし合わせれば、家事や子育て、自宅介護もれっきとした仕事です。
    会社勤めだけが仕事ではないんですよね。
    アドラーの教えの重要なポイントととも言える、人間関係を上下で捉えるのではなく、横並びで考えるところも押さえられていて、仕事上の人間関係を考える上でも参考になります。

  • 現在、働かないと人は経済的に暮らしていけないため、働くか働かないかという選択肢は事実上ない。したがって、なぜ働くのかということを考える意味はあろう。
    アドラーは、「誰かが靴を作るとき、自分を他者にとって有益なものにしている。公共に役立っているという感覚を得ることができ、そう感じられるときにだけ、劣等感を緩和できる」と述べている。すなわち、人は働くことで他者に貢献すれば貢献感を持つことができ、そのことで自分に価値があると思えるため、働くことは自分のためでもある。その意味で、自分から働くことに意味はあり、働くことは生きることと密接な関係にあると言えよう。
    自分が仕事をすることで共同体(職場)に役立っていると感じることは、自分に価値があると思うことになる。上司は部下に〇〇すべき、〇〇すべきでないという様々な主張がなされているが、そのことを踏まえれば、上司は部下が貢献感を持てるように援助することが大切なのである。この貢献感は、誰かから与えられるものではないので、部下に貢献感を持たせようとするのではなく、あくまで自発的に持てるように援助すべきである。
    一般に、仕事が楽しくないと考えられるのは、第一に、自分が取り組んでいる仕事の遂行に必要な知識・技術が十分に身についていないとき、第二に、その仕事に貢献感を持てないときである。自分には不向きと思うような仕事でも、その仕事を極めることで、自分の力に自信を持てるようになったり、貢献感を持つことができるようになったりする。一見、自分に向いていないような仕事であっても、全力を尽くすことで、自分に価値を生み出すことがある。したがって、まずは、目の前の仕事に前向きに全力で取り組むことが大切なのである。

    全体を通して著者は、働くことを通じて、貢献感を持つことの大切さを説いている。貢献感を持つことができれば、自分に価値があると思うことができ、価値があると思うことができれば、対人関係の中に入っていく勇気が持てるし、その分プライベートも豊かになるという流れである。
    確かに社会人として働いてみて、自分がその組織に役立っているという満足感が働くインセンティブになっているときもあるが、著者はその貢献感を絶対視しすぎているようにも感じられた(その意味で本書の内容は、理想論のようにも思われた)。
    また、儲かる仕事か好きな仕事かどちらかを選ぶという問いに、著者は当然、好きな仕事を選ぶべきであると主張している。しかし、仕事は、自分に合っているか合っていないかで決めるべきであり、その仕事の好き嫌いを気にしすぎない方が良かろう。好き嫌いだけではなく、自分の性格、能力、得意不得意に適合した仕事を選ぶべきではなかろうか。

  • アドラー心理学は身にしみる
    他社貢献を考えて生きていきたい

  • 最も印象的だったのは「人生の課題に優劣はない」です。ワーカーホリックで家庭を顧みないのは、家庭を顧みないために仕事に熱中している。それが良いわけではない、というのは納得でした。ただ、人生のあるシーンにおいては、特定の課題を優先するのを妨げないことは頭の片隅に置きたいです。人生の調和を重視したいと思っていたので、その考えを言語化してもらったように思います。

  • <22年04月>
    【狭義に捉えがちな言葉「働く」を広義に魅せてくれて、仕事だけでなく人生も含めて希望を持てる一冊】
    定価: 780円+税
    独自カテゴリ:自己啓発 働く意味 モノの見方 貢献感 アドラー心理学 幸せ 人生
    こんな時に読みたい:「働く」という言葉がマイナスにしか感じないとき(違う視点でみれます)
    好き度:3.5/5(22年04月時点)

    ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
    [刺さったポイント]
    1.ご自身の過去(≒失敗談)が含まれていることで寄り添った提案になっている
    2.狭義に捉えがちな「働く」を広義に魅せてくれることでやる気が出る
    3.「焦る必要はない」ということを体感させてくれる
    ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

    1.ご自身の過去(≒失敗談)が含まれていることで寄り添った提案になっている
     ・40歳になって初めて常勤の仕事に就かれたり、それまで思っていたように進まなかったり、心の病に罹ったり、大病で入院されたり…と、ご自身の経験をちりばめてくださっています。普通に就職して独立してなどとは異なるものの、決して、順風満帆ではない中でも一歩ずつ幸せに向かって歩まれた軌跡は、「よく生きるために働く」という提案の主軸を共感しやすくしてくれます。「こういう形でも一歩ずつ幸せに向かって歩まれていて、このように書籍を多数出されているんだ」という希望が、決して遠すぎない未来のように感じられるところが素敵でした。

    2.狭義に捉えがちな「働く」を広義に魅せてくれることでやる気が出る
     ・アドラー心理学で大切とされている「貢献感」。詳しくはありませんが、自分自身が他者や世の中にとって貢献している満足感=貢献感を持てることが最も重要であるという発想。確かに、世の中、自分以外の人間がゼロなら何をしても楽しくない。誰かがいて、その関係性の中で喜怒哀楽が生まれるからこそ、人生は面白い。特に気楽(喜楽)に生きれたら何とも素敵な事でしょうか。それを得るには、外側(人から褒められる、人から評価されること)に求めるのではなく、あくまでも「自分自身が」人の役に立っていると思えることが重要。その通りだと思いました。そんなことを感じさせてくれるように内容が構築されていました。

    3.「焦る必要はない」ということを体感させてくれる
     ・1と似ていますが、本書は「明日からガラッと行動を変えて人生を変えよう!」ではなく、「今を楽しむ」ということを大切にされているように感じました。今の仕事、今の生活、今の家族…それらとどう向き合うことで今を楽しむか。今を楽しむことは、昨日とも明日とも無関係で、とにかく「今」が大切。それを積み重ねて行く事で、ゆっくりかもしれませんが、幸せが訪れる。そんなことをぐっと噛みしめさせていただきました。

    9.総じて…
     ・200ページほどあります。今回は割とざざっと読ませていただきましたが、それでも心に響くものがありました。本書の終盤のタイトル「自分に価値があると思える勇気を持とう」とも通じますが、現状の自身がどんな状況であれ、「私が」今を愉しんで貢献感を感じる毎日を送る=自分の人生に価値があると信じる、ことが大切だとひしひしと感じました。そして、それを繰り返していく先に「幸せ」があるのかなぁと。
     ・「働く」という狭義に捉えがちな言葉を、非常に俯瞰して論じてくださっているので、仕事だけでなく、人生そのものに対して希望が抱ける一冊かと思います。ご興味を持たれましたら、是非、一読されてみてはいかがでしょうか。ありがとうございました。

    #読書感想文 #アドラー心理学 #岸見一郎 #働く #思考 #姿勢 #自分に価値があると思う勇気 #貢献感

  • アドラーが言う、三つの人生の課題「仕事の課題」「交友の課題」「愛の課題」
    地球から生活を勝ち取る。
    自分でなくても代わりに仕事をする人がいるという現実を見つめるのは難しいかも知れないが、この現実を知っていれば、現役で働いている時も、他の重要な人生の課題を犠牲にしてまで、仕事に精を出す必要は無いことがわかる。
    職質の上限が人間関係の上下とみなされる組織の中で生きてきた人にとって、職を解かれるということは、もはや自分には価値がないと宣告されたのも同然と思えます。そのように思った人は退職後の日々を失意のうちに過ごすことになる。

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著者プロフィール

1956年生まれ。共著書に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)、訳書にプラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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