- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584125915
作品紹介・あらすじ
平成が終わりを迎えるのに、今の社会問題は100年前と変わっちゃいない!
保育園不足、ブラック校則、女性の労働問題、騒音などが、なぜちっとも改善されてこなかったのか? それは間違った伝統観による理不尽な差別にあるとパオロさんは述べる。
さらに恵方巻きの発祥は、「日曜日の我が家はカレー」といったローカルルールだったり、祝日の国旗掲揚は右翼の一時的なものだったなど、都合よく利用され、間違って伝わり続けていく伝統ブームに一石を投じる一冊。
感想・レビュー・書評
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10年あれば伝統になる、とはどこかで聞いた言葉。その言葉を一種立証しているのが本書。
まぁ、いかに「昔はよかった」がいい加減なのかがよく分かる。結局イメージ先行で、それに酔っているだけなのだろう。
特に、目黒もらい子殺人(20人以上)事件とそれに群がる群衆という構図は、人の業の深さをまざまざ見せつける。まぁ、古来からのコロッセオや公開処刑の見世物という系譜に照らすなら、人の変わらぬ部分と言えようか…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物事を判断するときに「伝統」「普通」「常識」で思考停止せずにちょっと疑おう。史料をあれこれひもとけばそういったことばの不確かさ、底の浅さ、うさんくささにびっくりさせられることを「保育園と共働き」「こども観」「伝統(という言葉の使われ方)」「祭」「頭髪」という5章仕立てでわかりやすく教えてくれる。こういう話をひととおり知っていれば、SNSやマスコミなどから流れてくる有象無象の「けしからん!」系のニュースに反射的にあれこれ反応する前に「待てよ」と一呼吸置けるようになるのでおすすめ。
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1938年の農業雑誌に当時の沢庵について
「今日一般に食されているものは黄色い塩水に溺死させる大根の土左衛門に過ぎない」
と書かれていたとのこと。
無添くら寿司の企業理念は「食の戦前回帰」なのですよね。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/486668717.html -
●電車での化粧が最初に社会問題になったのは大正時代のこと。
● 80年代に保育園不足が一旦解決したかのように見えました。しかしそれはバブル好景気によって共働きが減ったことと、少子化の急激な進行と言う要因が重なった結果起きたこと。
●少子化対策は不要。保育や乳幼児医療に回すのが良い。生まれてきた子供のケアが充実すれば、自ずと子供は増えるはずです。
●気軽に養子をとっていた江戸時代の伝統は明治時代になくなった。子供は生みの親が育てるべきと言う考えが、大正昭和と時代を経るとともに強まっていく。社会や地域全体で子供を育てようと言う寛大さは、江戸時代まではかろうじて存在していた。
●日本の一般家庭が祝日に国旗を掲揚していたのは、日中戦争・太平洋戦争下の8年間位だけのこと。それ以前にはそんな習慣はありませんでした。 -
「昔はよかった」とか「伝統」とかがいかに嘘くさいものであるかをデータをもとに解説していく本。■保育園や子どもに関するテーマが多く、興味深かった。保育園や共働きといった制度を伴うものは少しずつ変化しているし、これからも変化していくと思うけど、「今どきの子どもは~」という声はいつの時代も変わらないんだろう。■面白かったけれど、タイトルとはいまいち合っていない気がする。
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昔何作か読んでいた人の本に、久しぶりに手を出した。
相変わらずの芸風だが、相変わらずさらりと軽く楽しめた。こういうものは続けて読むと食傷するので、たまに少量摂取するのが吉である。
2019/9/7読了 -
いつも通り、資料にのっとったまともな主張である。濫作していないから、クオリティが落ちないのでしょうね。
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東2法経図・6F指定:210.6A/Ma99r/Ishii
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伝統を疑ってみること
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今時の若いもんは……って言葉が昔むか~しからあるのは知ってたけど、まさか今時問題になっていることも「今時」じゃなかったとは!
「伝統」もそうだけど、自分が成長する過程で刷り込まれた周辺事項を疑わずにいたことに気づかされる。