大統領の料理人

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584130759

作品紹介・あらすじ

ホワイトハウスの住人=大統領の素顔。クリントンとブッシュに仕えたシェフの回想録。ホワイトハウスで出された料理13品のレシピ付き。

感想・レビュー・書評

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  • クリントン政権時代〜ブッシュ時代にかけて、ホワイトハウスで料理を担当したシェフの記録。

    栄養素としての料理、嗜好品としての料理、おもてなしとしての料理、アメリカを表現する手段としての料理…
    料理の役割(=魅力)すべてに、プロとしてのプライドをかけて、全力で楽しみながら職務にあたる様子が記録されています。

    この「楽しみながら」というところがとても魅力的。
    料理好きな人ならきっと楽しめる本だと思います。ところどころにレシピ付き。
    アメリカらしく、陽気にアレンジされた料理の数々は、読んでいるだけでワクワクしてきます。

    また、プレジデントファミリーの好みや、食にまつわるエピソードがたくさんあり、親しみを感じました。
    政治家としての職務に奔走しながら、料理にもこれだけこだわるってなんてタフなんだー!と思いますが、政治が人との交流そのものなんだ、と捉えれば、その重要なシーンを彩る食事にこだわるのは当然でもありますね。
    ホワイトハウスで催される各種パーティの招待客やプログラムなども興味深いところ。日本の官邸にロックスターはやって来ない…と思うのですが(多分?)そのあたりもおもしろいです。

    クリントン夫妻とブッシュ夫妻の対比も興味深い。
    食に対する態度は、その人自身を如実に表す、と私は感じているのですが、ここでもまさにそのとおりのようです。
    いかにもオープンで社交好きな大統領(どっちかというと夫人のほうですが)は、食に対しても前向き
    保守的で根暗そうなプレジデントは食に対してもその通り、のようでございました。^^

  • 著者のウォルター・シャイブはクリントン時代の7年間とブッシュ時代の4年間ホワイトハウスのシェフをやられた方。

    ホワイトハウスのシェフと言えば、映画「ザ・コンテンダー」。ここにでてくるジェフ・ブリッジスの演ずる大統領が、インターフォン越しに唱えるだけで、好きな物を、好きな味付けで、好きな時間に、お抱えの料理人がつくってくれるという、もの凄く羨ましいシーンが多々出てくる。
    そして、それら旨そうにかぶりつくジェフ・ブリッジスの姿が素晴らしい。映画では、来客に対して、「いっしょに食べるか?」と大統領がよく声をかけるのだけど、皆さん、これをことごとく断ってしまう。なんともモッタイナイかぎりと眺めていた。

    ただ、このシャイブさんの書籍にもあったが、なかなか大統領とプライベートな感じを共有するのは、緊張も強いられ至難のようだ。クリントン大統領にスポーツのテレビ観戦を誘われるも、やはり長時間2人で時間を共有するのは無理だったと書籍にはある。

    この本は、著者曰く「アメリカ人にとって食べ物が燃料の一種くらいにしか考えられていない時代」のホワイトハウスの調理場の改造から始まる。なぜなら、彼を雇用したヒラリーさんのゴール設定が極めて高かった為。

    以下のように課せられたお題が強烈。
    『アメリカのそれぞれの地方の料理と食材をうまく使うこと』、
    『誰の料理にも負けない味を保つこと』、
    『スタッフ用の食事も含めてホワイトハウスの食事全体を低脂肪で栄養価の高いものにすること』、
    『家族用の食事は一般家庭と同じように個々の嗜好を覚え、栄養のバランスが取れたカジュアルなスタイルにすること』、
    『ホワイトハウスでのレセプションをより国際色豊かでおもしろみのあるものにすること』、
    『ホワイトハウスの歴史でシェフがどのような役割を果たすのか考えること』等々。

    このお題故に、ヒラリーさんはレストランシェフではなく、ホテルシェフであるシャイブさんを雇う。この目利きぶりもヒラリーさんはすごい。
    個々の料理の腕前競うレストランシェフでは上記のお題をこなすのは無理だからである。なにせ大統領ファミリーの普段料理に始まり、突然の訪問客から野外での3500人分の料理や国賓をもてなす料理、大統領の訪問先では慣れないホテルスタッフを使っての料理を提供するのだから。
    やはり、トラブル対応なんかにも慣れたホテルシェフというのはあらためて凄いお仕事なのだな、と感心した。

    白眉はフランスの大統領がやってくるところ(笑)。本作では、いたる所で自国大統領を自由世界のリーダー、最高の権力者などと持ち上げているが、フランス大統領を迎えるとなると、かなりの緊張感がホワイトハウス内に走るのがおかしい。

    そのフランスの大統領とは、なんとシラクさん。「あんなまずい料理を作る国民は信頼できない」と英国料理と北欧料理をこき下ろした彼である。
    このシラクさんを迎えての晩餐会、シャイブさんの料理を前にクリントン大統領のスピーチ、そしてシラクさんの食後のコメントもちゃんと記載されているので、ここはお楽しみである。

    ヒラリーさんの料理観はなかなかで、好きかと言われると微妙なのだけど、とにかく何事も明確なビジョンをもって進めているのが素晴らしい。
    その為、働く者たちに迷いがない。屋外パーティの暑さからスタッフシェフを守る為に、陸軍からモービルキッチントレーラーを借りてくる話、クリントン大統領はヒラリーさんがいない時に、いつもの健康志向を離れてステーキなどを楽しむ(笑)ので、あらかじめそれを想定して食材を揃える話等々、個々のスタッフが生き生きと仕事をしている。

    赴任したばかりの著者が周囲の古参スタッフから疎まれている中、ヒラリーさんは厨房にわざわざ降りてきて45分も無駄な長話をする。その姿を見せて、暗にメンバー達は協力をするようにと示した逸話なども素晴らしかった。
    レシピも満載のホワイトハウスシェフの回想録、お買い得という他ない(笑)。

  • なんか、ホワイトハウスも割とぬるいんだな〜と。
    しかし訳者も苦笑交じりに書いているように、
    天皇が来たから、相手国に関係したものを出すぞ‼︎→北極産のイワナを出す→パンパシフィック‼︎
    その後アイスランドからお礼→いや、アラスカ産ですから(どやあ!)
    と恐らく天皇には全く通じなかったであろう
    アホ理論を繰り広げるなど、
    やっぱりアメリカ人てバカなんだな〜
    と思わされるエピソード満載。
    ヒラリーが大統領として戻った時
    呼ばれるといいね…
    アメリカ人らしいどや感がちょいちょい鼻につく

  • ホワイトハウスでこんなことが!
    こんなお食事が!
    こんな人間関係が!
    興味深く、おもしろい内容でした☆

  • 料理人ととりまとめるシェフとしてのリーダーシップ、雇い主とのコミュニケーションなど、組織マネジメントを学ぶ書としてもおすすめ。大統領がクリントンからブッシュに変わり、シャイブ氏のモチベーションが下がっていく様が、手に取るようにわかっておもしろい。たかが料理、されど料理。

  • 市図書館。

    9・11をホワイトハウスで経験した料理人。

    クリントンとブッシュのそれぞれの食事に対する思い入れの違いなど、面白いエピソードだった。

    「食べる事」は毎日するものだからね~。
    なんか、彼らも人間だったんだって改めて思わされた(笑)。

  • クリントン、ブッシュの両大統領に使えたホワイトハウスの
    シェフの回顧録。
    特にクリントン夫人がホワイトハウスのディナーを現代風のものに
    変革しつつ、世界中から訪れる何百人もの客を様々な形で饗して
    いた壮絶な現場に驚かされる。また、クリントン時代とブッシュ時代の
    料理についての考え方の違いは、仕える主によって仕事が大きく
    変わってしまう悲哀を実感。また、911の際のホワイトハウスの
    状況は実際にあった混乱状況がよくわかる。
    また、ファーストファミリーの日常も垣間見ることができる一冊。
    クリントン大統領の娘さんに料理を教える件はとても微笑ましい
    エピソード。クリントン夫人や娘さんの彼への直筆の感謝の手紙
    も見ることができました。

  •  クリントン政権の7年間とブッシュ政権の4年間、合計11年間にわたってホワイトハウスで総料理長を務めたウォルター・シャイブ氏の手記。ホワイトハウスというと権謀術数の最深部のようなイメージをもっていたが、厨房から見ると違った景色に見えるようだ。
     クリントン時代のホワイトハウスはまるで年中無休のパーティー会場のようで、料理長はシェフである一方で有能なマネージャーでなければ務まらない。しかし、裏方も大変だがホストファミリーもしんどいだろう。クリントン大統領はパーティーの合間に公務をしていたようだ。
     一方、ブッシュ時代はホワイトハウスが様変わりしてしまうが、食べ物に対する受容度と人間に対する受容度は相関性があるかもしれない。著者はよく4年間も働いていたなと思うが、この原動力になったのが9.11なのかもしれない。あの日ホワイトハウス周辺で漂っていた緊迫感が伝わってくる。3.11のとき首相官邸の料理長はどうしていただろうか?

  • ホワイトハウスの料理人をクリントンとブッシュの二代にわたり勤め上げたウォルター・シャイブという料理人の自伝。青柳の小山さんの本と重なる印象だ。与えられた課題に総合的に解決していく。料理と一皿一皿をつくりあげるものだが、食べ終わるまで、帰るまで徹底的に相手のためにサービスする精神につらぬかれているのだ。
    その中でヒラリーに求められてコンテンポラリーアメリカンをつくりあげていく様子はとても面白い。
    昭和天皇をむかえるために敬意を表してアラスカの魚を用意した件はアメリカからみるとそうなのかと新鮮な驚きを覚えた。

  • 内容は、そこそこです。
    一応、最後まで飽きずに読めます。

    ホワイトハウスの内部が垣間見られて良かったです。

    外国人、特にアメリカのエリート層によく見受けられる傾向ですが、
    自伝で、ことさら自分の功績ばかりを自画自賛します。

    おれは、こんなことやった。
    おれはこんな困難を自分の才覚で切り抜けたなど。

    とにかく、おれが、おれがが強いです。

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