お母さん二人いてもいいかな! ?

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584136799

感想・レビュー・書評

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  • 語弊がないように書きたいのだが
    レズビアン=社会的弱者とは言い切れない。
    自由恋愛弱者とは言えるかもしれないけど・・・

    なのでこの手の本は
    普通の幸せを勝ち取るための私の悲喜こもごもが
    溢れすぎて
    胸やけすること多しだが
    この本は違う。
     
    私の暴論だがアイドルがみんなの笑顔が見たくて
    といわれると
    人の気持ちを先回りするなよと思ってしまう

    あなたが目立ちたい、踊りたい、モテたいは1mmもないの?そのためにファンを使いすぎるのは?と

    それに似ている。
    先回りして誰も傷つかない正論を吐く。

    だけど社会はそれだけでは成り立たないし、
    胸やけをしょっちゅう起こす。

    その胸やけを無かったことにしないで
    さらけ出してくれている。

  • 羣青の作者中村珍さんのエッセイ漫画。

    ご時世のせいかLGBTということが全面的に押し出された?ような売り文句だが、
    これは愛のある家族のお話だと思う。
    愛あるなんてありふれた言葉が適切かもわからないけど。

    それは、異性婚か同性婚か、そんなことではなく、
    子供やパートナーを大切に思っている人の物語だった。


    私は家族も友達も同僚も優しい人に囲まれているが、
    自分の性質のせいか、上手な距離感で人間関係を築けていない。
    周囲の人に悪意があるとも思ってないし、みんないい人と思ってはいるけれど、
    解消のしようのない孤独を抱え、病気のこともあって、つらい日々を過ごしている。


    この物語に登場する人たちはいろんな辛さがあると思うけど、
    サツキさんとキヨさんの関係性は正直羨ましく思ったし、
    困難はあるけど、二人に守られてでも一人の人間として大切にされている3人の子どもたちが眩しい。

    私は昨晩はらはらと涙がでたが、でも、周りにも生活があるし、
    心配もかけたくないし、誰にも助けを求められなかった。
    今まで周囲と深い関わりを避けてきた身から出た錆と思うとまた解はない沼にいて、
    息をするのも苦しい。
    この漫画にででくる家族が簡単にいまの生活を手に入れたわけでも、
    今は平和なわけでもないと思うけど、とにかく今の私には眩しい。
    でもそれは、強い嫉妬ではなく、本当にただ、眩しい。


    同性婚についてのサツキさんのコメント
    『万人に婚姻の権利を認めるのは大切ですが、
    婚姻が独身者と既婚者の生き易さを分断するものではあってはならないという議論が先にあるべきです。
    福祉の単位は個人!!人は一人ずつ守るべきでしょう?』

    なんか、同性婚や子育て政策ばかり話題に上がり、
    でもそもそも婚姻の外側にいる私は蚊帳の外だなーとおもっていたけど、
    こういうふうにそもそもの本質を思う人がいて、そっと作品として発信するひとがいるというのは、
    なんだか救われる気持ちになった。

  • 借りたもの。
    これはLGBTの問題に留まらない!
    義理の親子…ステップアップファミリーの在り方であったり、子供への性教育の回答の仕方であったり、無抵抗の女性をレイプした男行為が罪であること、その男が知らない、女性(犯罪被害者)側の苦悩が赤裸々に描かれている……
    多くは語られていないが、毒親・虐待サバイバーである著者・中村氏のたくましさやパートナーのサツキさんへの包容力のある接し方に、私はただ尊敬の念を抱く。

  •  羣青の作者、中村珍さんの別ペンネームの中村キヨ名義による、タイトル通りの本。

     中村キヨさんは、すごく軽やかに生きているように見える。
    (いや、周りの人に語る言葉から、その言葉が出るに至る過程を想像すると、考えに考え抜いて生きに生き抜いたからこその軽やかさなのだが)

     ゆえに、そう生きられない人から妬ましい……と憎しみのtweetを受けているような気がする。ごく簡単に人に石を投げられる時代に、声を上げるというのはそれだけでリスクがある。
     理想や大義がまっとうだとしても、身近にいる人に偏見があればそこは地獄。それは本当にその通りだ。隠匿する権利を守りたいという彼女が強い。

     レズビアンカップルというよりは、ある一つの家族の暮らしという気がする。

  • Kindle

  • LGBTQの本棚から
    第52回「お母さん二人いてもいいかな!?」

    今回紹介するのは『お母さん二人いてもいいかな!?』(中村キヨ)です。
    婦妻(ふさい)で育児をする作者のコミックエッセイです。
    (ちなみに中村さんたちは片方の連れ子を二人で育てるタイプのレズビアンカップルです)

    色々なことが起きますが、最終的にはこの漫画の軸は
    『愛ってなんですか?』
    という問いかけのようでした。

    さて、その色々なことですが、ざっくりいうと
    ・妻を拾いました
    ・産後うつとの闘い
    ・キッズシッターは "彼女"
    ・僕のお父さんは誰?
    こんな感じです。

    読みたくなってきませんか?
    妻を拾ったってなんだよ!?ってね!

    その辺は実際に読んで確認してください。
    さて
    僕がこの本を通して思ったのは
    「愛に溢れた」
    漫画だということです。
    正直泣いてしまうところもありました。

    特に心に残ったのは、中村さんの
    『子供は一人残らず身近な大人に徹ッッッ底ッ的!に愛されてくれ〜‼︎ と思う』
    ってところと
    『うつ病に対して中村さんが決して責めない接し方をしている』
    ところ
    『相手に対して真摯に向き合う』
    ところですね。
    LGBTQの本紹介なのになんか違くない? と思った人もいるかもしれないですが、なんというかこの本はセクマイとかそういう枠に当てはめきれなくて…
    まず子どもは愛されるべき!というところは、長男の持ち帰ってきた宿題が話の発端です。
    『自分が生まれた時の話を聞こう!』
    みたいな課題、覚えがありませんか?
    『みんながみんな
    生まれた時のこと
    聞ける親を持ってる
    わけじゃないですからネ』
    『親が居たとして
    家庭内が不和であれば
    聞きやすい話ではない筈ですし、こういう宿題は乱暴です』
    『お友達の中に今頃困って、眠れなくなってる子、いないといいですが』
    これはその場面のセリフです。

    あー、確かになあと……。
    大多数に当てはまるからといって、全員にやって当然だ、ということにはなりませんよね?
    ちなみにシングル家庭は(軽く調べた感じだと)クラスに1〜2人くらいみたいです。
    40人弱のクラスなら、セクマイの比率は13人に1人と言われてるのでセクマイのほうが多いかな?というくらいですね。
    13人に1人というのはAB型の人や左利きの人と同じくらいの割合らしいです。

    左利きの子には必要な場面で左利き用の道具を提供したりしますよね。
    誰の目にも見えることにはサポートがある程度期待できますが、具体的に見えないシングル家庭の子もセクマイの子もいるんですよね。

    子どもの抱える悩みって、大人からしたら軽いことなのかもしれませんが、本人からしたら一大事です。
    だって大人は自分で解決する手段がたくさんあるし、自分の世界も広いですから。
    でも子どもは基本的に家と学校が世界です。そのなかで、できることはかぎられてます…。

    そういう世界で、情報提供の場や逃げ場所に図書館はなりえるし、司書や先生はそれを提供できる力を持っている……。

    そしてそんな場を作るために必要なことのひとつが、相手との接し方を考えることでしょう。
    漫画の中で中村さんは産後うつに苦しむパートナーを決して責めず、寄り添っていました。
    それはもう、献身的に。
    子どもたちを責めず、守ってくれる大人が1人でも増えてくれたらと思います。
    子どもたちの話を紹介しましたが、それ以外にも本当にたくさんのことを教えてくれる本だと思います。
    子どもと接する機会の多い大人には読んでほしいですし、なんとなく暗く考えてしまうセクマイさんにも読んでもらいたいです。

    学校図書館に置くなら中学校から大丈夫だと思います。

    2018年06月11日

  •  レズビアンのカップルの育児の本かと思ったら、どちらかというと恋愛の方がメインであった。中村さんのパートナーに対しての献身振りがすごくて、改めて自分には恋愛で相手の全てを受け止めるようなことは無理だと思った。鬱の重い人の何でも悪く捉えて責められるような状況はケツをまくって逃げ出したくなるに決まっている。そんな大変な状況にあって、漫画を描き続けるなんてすごすぎる。

     相手がパニックのような状態にあってもきちんと向き合って言葉で解きほぐしているような作業を丹念にしていて、すごかった。

  • 絵も好みでないし、タイトルからして遠巻きにしていたのだけれど、読んで良かった。

    徹底して真正面から人間と向き合おうとする姿勢と、言語化しようとする意欲が暑苦しく感じる人は多いと思う。
    平和に育ってきた者にとっては理解しえない範囲だろう。

    “まずは独身者が個人単位で暮らしやすい社会がいい”

    強者は利権をもつ。だからこそ、そのうえで照準は弱者に合わせる必要がある。
    弱者に恩恵を与えるのではない。弱者でも暮らしやすい社会は、強者も暮らしやすい社会である。

  • 某女性物書きさんが亡くなって
    それから知った中村さん

    ツイッターだの、某炎上騒ぎでの発言を見てから知りたくて本読んでみた
    もうちょっと知りたくなったな
    多才なんですね
    きれいだし…あれ?もしかして年齢近いかな(読んだ癖に曖昧)

  • 読了。
    「保護者からの気まぐれのおしおき」は絵と一緒にみると、すごくあせる。レイプの話は、衝撃が強かった。今日、1日考えることになるなと思う。出産の話が、あった。こんなに大変なことだったのかと知った。娘が生まれたとき、奥さんは実家に帰っていた。毎日、仕事が終ったあと顔を見に行った。そのとき、どんなに大変だったか、あまり想像できなかった。この本を読んで、少し想像ができた。

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