拝啓、本が売れません

著者 :
  • ベストセラーズ
3.55
  • (19)
  • (45)
  • (42)
  • (8)
  • (5)
本棚登録 : 462
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584138564

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 平成生まれの、ご本人曰く‘糞ゆとり作家’の額賀澪さんが、本が売れないこの時代に、自らの生き残りを賭けてその道のプロに教えを請いにいく本書。

    とにかくプロ達の本を売る事に対する情熱と工夫に感銘を受けた。
    著者である額賀さんのどこにでも飛んで行くフットワークの軽さと、自虐を挟みつつも明朗さを失わないキャラクターと文章も好感度大。
    「タンスの角に足の指ぶつけろ!」には噴いた。
    さて、彼女がプチ呪いを送った相手とは...?

    最後に未発売の小説の第1章を掲載するという面白い試みがある。
    ‘お試し☆額賀澪’ですね♪
    章終わりの怒濤の展開に小説への期待が膨らみます。

    楽しい読み物であり、お仕事インタビューであり、ひとりの新人作家の決意表明だと思った。

  •  作家,額賀澪さんによる,編集者,書店員,WEBコンサルタント,映像プロデューサー,ブックカバーデザイナーへのインタビュー本。

     出版不況で,とかく「本が売れない」と言われ続ける昨今。
     ゆとり世代の作家と自称されている額賀さん。元気のない出版業界を生き抜くべく,様々なところに出向き,様々な人と話をし,売れる本とはなんぞや?と模索する姿を描いた本です。

     編集者による本の出版の仕組み,宣伝の仕組みから,書店での販売促進の展開など,出版業界の実態を垣間見た気がします。

     また,映像化,メディアミックス展開など,いろいろな要素が重なって人気の作品になっていくのだということも感じます。

     ただ,インタビューに応じた人が,売れるために何が必要なのか,みな共通して語っていたことは。

     「いい本,面白い本であること」

     結局は本そのものの面白さ,作品の良さが決め手なんだなあと感じました。
     本を作る過程で様々な人が関わっていて,それらの人がチームになって一冊の本を売るために尽力しているのだなということをこの本で知りました。

     巻末には,『拝啓,本が売れません』のために取材をして,様々学んだことを活かし,額賀さんが書かれた『風を恋う(仮)』の第一章が載っています。
     未校正の部分がありますが,贅沢な仕様ですね。

     私,先に『風を恋う』読んでますが,個人的にはとても良い,実に良い本でした。

  • 出版業界の厳しさについての等身大のルポ。
    敏腕編集者、スーパー書店員、Webコンサルタント、映像プロデューサー、デザイナーにインタビューしまくって出した一つの結論がこの本だ。
    本好きとしては、何か打開策がほしいところである。

  •  言っているほど読まれてはない人ではないですね
     良い感じに人気はありそう。
     
     なんだかんだ言っても紙媒体の本がなくなるとは思えない。もっと言えばこれだけ情熱的に本を作っているのに何故読者が離れていくのか分からない。

     結局、楽ばかりする読者となんとか売ろうとする側との温度差が大きいんだね。

  • こんな一生懸命な本を書かれたら応援したくなっちゃうなあ。まだ「屋上のウインドノート」しか読んでいないけれど、さわやかなのに恋愛が出て来なくくて、けっこうシビアな話だったりして好感を持っていました。そんなまだ駆け出しと言ってもいい位の筆者が、どうやったら本が売れるのかを色々な人を訪ねて考えていく本です。
    小説を一生書いて暮らしていきたいという彼女の願いが痛い程分かります。売れっ子の手前で右往左往している彼女は、いつ世間から必要とされなくなるか不安で仕方がないでしょう。まだ20代の彼女がルームシェアをしてつつましく生きて、小説を書いて一喜一憂している姿はまさに青春。青春を小説に賭けてですわ。

    今、本を売るのに大御所の権威よりも、現場で実際に面白い本を紹介する事がとても重要になっていて、それが本屋大賞に結実していると思うのですが、サワヤ書店の松本店長が本書中で言っていた「褒めることが前提になってしまっている」という事には衝撃を受けました。そりゃそうですよね、サンプル貰ってPOPや帯に反映させるのにけなす人はいないからなんらか褒めますよね。そうすると折角現場レベルで嘘が無いお勧め本が分かるはずなのに、しがらみが色々出来て信用度が下がって来てしまうのがとても残念です。

    先日読んだ本のエンドロールと本書を読んで、本好きとしては胸が熱くなるやら本の行く末が心配で泣けてくるやらいろいろな感情が入り乱れました。若い書き手さんたちに是非とも頑張って頂きたいです。もちろん額賀さんも応援しますよ!
    ちなみにこれから売られる最新作の第一章が巻末に掲載されています。わくわくする始まりでしたので期待大です!

  • 最初は面白いと思って読み進めていた。だけど最後に掲載されていた小説の一部を読んで面白くないと感じてしまった。最初の部分は小説をどのようにして売ればいいのかと著者が葛藤して正解を見つけに行く。その中で学んだことを小説で生かしました!ということで特別付録として次回作の一部が掲載されているのだが、無理やり学んだことを詰め込みました感がすごい。著者はラノベの様にキャラを読者に印象付けるということを学んだ。それを生かした結果が「歌うお茶メガネ」。正直普通に小説を書いた方が面白くなる作品なのではと感じてしまった。ラノベと小説は別物だと思うし、小説なら小説ならではのキャラの良さもあるのではないだろうか。

  • 平成生まれゆとり作家の戦いはこれからだ!

    額賀澪という人は、大変面白い人だと思った。「本が売れない」時代に作家として生きていくのは難しい。でも、著者はあがく。書くことが好きなのだと思う。作家としてどうにか生きていきたい。「作家」に資格はないので、名乗るだけなら誰でも作家になれる。しかし、著者は自分の書いている物語を届けたいのだ。本が売れなければ生活できない。それ以上に、著者のエネルギーを感じる。そして、いろいろ考えたり、協力を募ったり、型破りなことをしてみたり、そういうチャレンジの中に、あまり悲壮感がないことを、平成生まれのゆとり世代、なのかな、と同世代的に思う。

    作家と二人三脚で作品を生み出す編集者。作品を読者に届けるだけでなく目利きの役も担う書店員。宣伝という目で見れば大きなヒントがあるWebデザイナー。売れると言えばメディアミックスの時代でプロデューサー。視覚からの作品との出会いを演出するブックデザイナー。インタビューで語られることに、自分の仕事へのヒントも得られる。そして、何よりも、楽しく仕事をしたい、という情熱。これもしっくりくるものだった。

    本が売れないことに対しては、決して著者一人の戦いではない。たくさんの人が様々な方策を練って、戦っているのだろう。でもその戦いは、必死ではあるけれど、この表紙のように、どこか楽しさを感じるものだ。好きなものを知らせたい、共有したい、という楽しさ。

  • これは額賀澪さん自身の「自分の書く本が売れるとか売れない」を含めて、今の出版業界全体に対する警鐘の意味もある内容だ。
    本が好きな人は、常に書店や図書館に通って本を手にしているから、それほど感じないかもしれないけれど、紙ベースの本は危機的な状況に進みつつある。
    そのような中で、作家が編集、書店、web、映像、装幀といった本に携わる人達を取材しながら、売れる本とは何なのかを模索しているところが面白い。
    基本は作家のクオリティであるにせよ、問題提起の意味でも面白い企画だし、楽しめる内容だった。

  • タイトルに惹かれ、また最近額賀澪さんの作品に出会って印象に残っていたので読んでみた。
    紙の本を取り巻く業界が縮小傾向であることは知っていたが、こんなに厳しいとは…しかし、それに抗うように闘っている人たちがいる!
    今岐路に立つ出版業界、おばさんにはよく分からなかったラノベのこと、変化する文庫レーベルなどの現状がよく分かった。
    額賀さんの13日に文藝春秋から出版された最新作の一章が、K Kベストセラーズの作品である本書に載っていることも大きな試みだろう。

    映像世代の中学生と向き合う毎日の自分には、ありがたい一冊だった。
    しかし、中学生はラノベ、ライト文学から先になかなかいかないのが、現実なんだよなぁ…250ページを超えるとなかなか手が出なくなる(西尾維新さんは読むけども)。その厚みを前にすると、厚い本一冊読むなら、薄い本何冊も読む方が、達成感あるのかな〜。現実に近い話より、非現実的な話を好むよな〜…と思いつつ、今日もポップ書き。2018.7

  • ルポです、
    本を売るために必死です。

    でも、結論は最初から分かっていたのです。
    面白かったら売れるのだと。

    私は小説は9割図書館派なので申し訳なく思います。

    「ゆとり世代」の活躍は
    「ゆとり世代」の母ちゃんの喜びでもあります。
    頑張ってほしい。

    巻末に新刊の1章が掲載されてました。
    ドドンと太っ腹に掲載ってことだったようですが
    私はこういうのはあまり。。です。

    ええーそうなの?どうなの?的なPOPのような、
    読メの皆さんのレビューのほうが、
    手にとろうかと思ってしまうタイプです。

    表紙は大事ですね、
    時代をあらわす感じもあって面白いです。

    イラストレーターの中村佑介さんも
    以前、自分のイラストが絶妙なデザインで
    本の表紙になるのはとても気持ちがいいと仰ってました。

    私はイラストを描く人が文字も自分で入れるのかと思っていたので
    驚きました。

    デザイナーってすごいんだ。

    世の中にはいろんな仕事があるのですね。

    そして、これだけ手間がかかっていれば
    本は高くなりますね。

    もどかしい。。

全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

額賀澪の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×