楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】

  • ベストセラーズ (2022年3月22日発売)
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感想 : 28
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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584139837

作品紹介・あらすじ

「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編です。が、前の二冊を読んではいない方でも理解できるよう、分かりやすく書かれています。コロナ禍など前二冊刊行以後の世の中の変化も踏まえた内容になっています。しかし、本書には、それ以上に、前二冊にはない特別な点があります。それは、経済についての知識を学ぶためだけではなく、ものごとを「考える力」を磨くということを目的として書かれているということです。世の中には、たくさんの情報があふれ、いろいろな議論が日々流れています。しかし、政府の発表、新聞、テレビ、ネットなどのマスメディア、最近ではソーシャルメディアから流れてくる情報、あるいは大学教授や専門家による解説や主張について、普通の人々は、つい鵜呑みにしてしまいがちです。実は、経済についての専門的な知識がなくても、私たちが普通に持っている「考える力」を引き出しさえすれば、どの専門家が正しくて、どの専門家が間違っているかが、かなりの程度、分かってくるようになるのです。実際、大学教授や専門家といった人々でも、矛盾しているとすぐ分かるようなことを平気で言ったり、書いたりしていることが、たくさんあります。しかも、だいたい、同じような間違いをしています。そうは思えないのは、おそらく「経済学の教授」「経済の専門家」といった肩書に惑わされているからでしょう。しかし、専門的な知識がなくても、普通に「考える力」を使えば、専門家たちの間違いに気づくことができます。そして、自分は、同じような間違いをしないですむようになります。本書の本当の目的は、その「考える力」を使うコツを伝授することにあります。経済というテーマは、「考える力」を引き出すための題材に過ぎません。ですから、本書で身につけた「考える力」は、経済以外の問題について考える際にも必ず使えるものになるのです。」(中野剛志)

感想・レビュー・書評

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  • 「財政赤字は悪」という日本の大手メディアの偏った論調に違和感があり読んでみた。


    本書によれば、財政赤字とは単に、政府支出を通じて民間部門に通貨を供給しているだけに過ぎず、高インフレ(デマンドプル・インフレ)になっていない限り問題はないという。

    具体的な理由についても分かりやすく解説されており、読んでいる最中は全て腑に落ちる、いや、むしろ「目から鱗が落ちる」内容。でも、自分の言葉で要約しようとすると難しい・・・だからこそ、経済の話、特にマクロ経済は色んな論者がいて、世論も「赤字=ダメ」みたいに単純な論理がまかり通り、思考停止に陥りやすいのだろう。

    国家としての金融政策の難しさ(世論の理解を得ること)も痛感する。日本の大手メディアは米国だけでなくその他の経済先進国の財政施策についても調査・報道し、財政赤字という近視眼的な内容を超えて、長期的な視点で日本の在り方を国民に伝えてほしい。

  • 以前に発売されていた前2作が面白かったが、今作が発売されてることを知らず、今更購読。

    2021年に文藝春秋に掲載された財務省事務次官であった矢野氏の論文を題材に、主に現代貨幣理論観点から健全財政の間違いを批判する内容。

    一冊丸ごとこの論文に対する批判の嵐。
    もうコテンパン。
    前2作に比べると分かりにくい部分はあるが、この論文を批判する流れの中で現代貨幣理論の大枠を解説するとともに、現在の経済政策の何が間違っているのを説いている。

    また後半のデマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、デフレの記述は、2025年3月現在にコストプッシュ・インフレに悩まされている日本の課題を浮き彫りにし、その対策を示唆していると思う。

  • 貨幣や財政のイロハをある程度理解した上でも、論点を醸成させてくれる1冊。なかなかに読み応えあり。
    大論争編と基礎編は、現物買って保有しようかと思いました。

  • 奇跡の経済教室三部作の三つ目。矢野財務事務次官の「論文」を題材に、経済政策のあり方を考える本。
    インフレには2種類ある。コストプッシュインフレとデマンドプルインフレ。この2つの違いとコントロールの仕方を丁寧に解説していて、よく理解できた。

    しかし、どうやったら日本はプライマリーバランス黒字化至上主義から脱せるのだろうか…?

  • 当代きっての論客、中野剛志氏が「矢野論文」というプロパガンダを徹底的に批判してくれる。弱者切り捨ての現代政治に思うところがある人は必ず読むべき。
    我々にできることは①情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えること②有権者としての権利を行使すること、の二つしかない。
    本書は①を実行するための絶好の教科書である。

  • *****
     お金とは何かを分かっていない経済学者というのは,ウイルスとは何かを分かっていない感染症学者と同じくらい,危険な存在ではないでしょうか。(p.128)

     ですから,政府は,デフレは絶対に避けるように,経済を運営しなければなりません。一方で,インフレもまた行き過ぎないようにしなければなりません。
     こうして,経済運営は,適度なインフレの維持を目指すものとなります。
     実際,第二次世界世界大戦後の先進国では,戦前の世界恐慌という大デフレ不況の反省もあって,デフレだけでは絶対に避けるように国民経済を運営してきました。ですから,インフレが行き過ぎて悩むことはあっても,デフレになってしまった国は,一か国の例外を除いてありませんでした。
     その一か国とは,日本です。
     日本だけが,一九九八年からデフレになり,それから二十年以上にわたって,デフレ脱却を果たせずにいます。ちなみに,かの世界恐慌でも,アメリカは,四年程度でデフレから脱出しました。そう考えると,今日の日本経済がどれだけ以上であるかが分かるでしょう。(pp.138-139)

  • 経済、財政をめぐる言説は多く飛び交っていますが、その裏付けとなる根拠やデータに注目せねば本質を見失いかねないと感じました。

  • お金とは何か?この問いに答えられる人は恐らくほとんどいないということが本書を読むとよく分かる。貨幣論に基づくMMTの考え方を軸にして展開される議論は筋が通っており読みやすい。
    漁師にだって魚料理が苦手な人もいるだろうし、歌手の人が全員ネイティブな英語の発音が出来るわけでもない。きっと政治家≠経済をよく理解しているという図式も成り立つのだろう。
    大事なのは自分なりの理論軸を持って正誤の判断ができるようになること。いまそのような軸を持っていない人にはおすすめの1冊です。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    発売日 ‎2022/3/22
    ページ数 ‎384ページ
    読了時間 約150分
    寸法(縦・横・高さ) ‎18.8cm x 12.8cm x 2.5cm

  • 私には、合わない書き方。
    参考図書。

  • シリーズ前2冊を読んでいたので、主張自体にはそれほど目新しいものはなかったのが正直なところです。本書は、主に財務省事務次官の矢野さんの論文を中心に、緊縮財政派の主張をとことん論破しています。全著を読んでいても、それはそれで楽しめるものでした。レトリックばかりで結局理論的には何が言いたいのかさっぱりわからない矢野論文に対して、中野さんのツッコミは理路整然としています。

    権威の意見を鵜呑みにせず、自分で考える力をつけよう、というのが主なメッセージですが、それはつまり矢野さんを始めとする人々に考える力がないと暗にディスっています。最後の問題として、矢野さんは実は間違っていることを自分で分かった上で何か意図があってやっているのではないかという、読者が一番知りたい問いへの答えが示されます。それは、純粋にわかっていないだけだという、かなり絶望的な結論で救いがないです・・。

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著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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