図書館情報専門職のあり方とその養成 (シリーズ・図書館情報学のフロンティア)

制作 : 日本図書館情報学会研究委員会 
  • 勉誠出版
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本棚登録 : 14
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585002895

作品紹介・あらすじ

先進諸国での図書館員のステータスは高い。日本では図書館法の施行後、制度的変革がなされず、図書館員の養成が十分に機能しているとは言いがたい。問題の本質を解決するためには抜本的な制度改革が不可欠である。日本図書館情報学会による「LIPERプロジェクト」の成果をふまえ、図書館情報専門職のこれからを考える。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館専門職の現状と制度改革具体案を提示

    読了日:2007.02.18
    分 類:図書館
    ページ:250P
    値 段:2800円
    発行日:2006年10月発行
    出版社:勉成出版
    評 定:★★★


    ●作品データ●
    ----------------------------
    テーマ:図書館
    形 式:複数著者の論文集
    ジャンル:専門教養
    対 象:図書館関係者向け
    雰囲気:学術的
    ----------------------------


    ---【100字紹介】-------------------
    日本図書館情報学会(旧・日本図書館学会)
    成立50周年を記念して2003年から成された
    科研費研究LIPERの成果を元に、
    図書館情報専門職の過去と現状、
    これからのあり方と養成、資格制度などを自由に論ずる。
    -------------------------------------

    職場(大学図書館)で、「是非」と渡されて読みました。複数人の著者で書く、論文集の形式なのですが、この著者のうちのお一人が菜の花にこの本を渡した人とゆかりある人物であるために回ってきたようです。

    名は体を表す、分かり易いタイトルがついていますので(論文やレポートはこうでなくてはいけない!)、内容はすぐにお分かりかと思います。図書館情報専門職の現状を踏まえた上で、これからのあり方、つまり方向性とその養成方法を模索する、というもの。

    この図書館情報専門職とは何か?ということがまずひとつ。まあ、司書とか司書補ですね、現状だと。しかし、それだと従来は「図書館専門職」だったはず。ここで新たに入ってきた「情報学」がとても重要です。つまり、社会が変わりつつあり、その流れに図書館も乗らなくてはいけない、ということですね。

    流れとしては、これまでの「司書制度」にどのような問題があり、そのせいで現状がどうなっているか?その問題は?ということをおさらいし、(第I 部 図書館情報学教育の今日的課題)、そもそも専門職制とは何なのか、現在の方向性と取り組み状況は?…ということを理論と実例で論じ(第II部 専門職制に関する動向)、資格制度と専門知識を持つ人材の養成について、大学の状況や他国の現状なども交えて紹介(第III部 情報専門職養成の現状)。
    そんな感じになっています。


    現在の司書資格は、一度取ってしまえば更新もありません。しかも容易に取れてしまいます。運転免許と同じです。いや、運転免許は持っていないのに運転したら違法ですが、司書資格はなくても図書館に採用されるところも多いのでもっと緩い。正直、何となくないと淋しいから作った程度にしか見えません。何しろ、元々の専門が物理学だった菜の花が、たった2ヶ月で取得でき、それで簡単に図書館に就職できてしまうわけですからいい加減なもの。

    その上、役に立つかどうかというと必ずしもそうとは言い切れません。何故なら、図書館には様々な館種があり、それによって、業務内容や方針がかなり違ってくるからです。例えば、レファレンス・サービス。公共図書館では読書指導や、事項質問が中心であり、事項質問に対しては「答え」の記述がある資料を提示して回答します。大学図書館になると事項質問に対して答えを提示することは殆どなく、答えを探すためにどのようなツールをどのように使うか?という利用指導になります。この違いは公共図書館は「知識」を求める場所であるのに対し、大学は知識を得るために入学するのではなく、「学ぶための、学び方」を身に付けるためにあるからだ、というのが菜の花の持論です。(ちなみに高校までは「知識」を得る場でしょう。)

    このように館種によりサービスも目的も異なってくるのですが、現在の司書資格は公共図書館で必要とされる知識に特化しています。この資格を持っていても、大学図書館で必要とされる知識を
    学んだことがあるか否かは判断できないのです。また、同じ司書資格所持者でも、いわゆる司書講習で取得した者と、大学の司書課程で取得したもの、更に大学の専門課程で取得した者では、かなり大きな差があるはずです。司書講習だと早いと僅か2ヶ月のスクーリングで取得出来てしまいます。専門課程で学んだ場合は、4年間しっかり学習し、更に卒論も修め、場合によっては大学院で修士論文も書いているかもしれません。これを一律の司書資格とするのはあまりに強引。しかし、日本では図書館情報学関連の資格は、現状ではこれしかありません。その価値はいかほどのものか?本当にこんなことでよいのか?養成方法と資格制度はもっと考えられるべきではないのか?そして具体的に、どのような養成が考えられるのか?
    本書では、そのために現場で今、どのようなスキルが求められているかを知るのに行なわれた、幾つかの調査結果を踏まえた提言も盛り込まれています。

    理論的でもあり、具体性も持ち、現状の問題を洗い出して将来の方向性を模索する。本作はそのような方向性を目指して編纂されているようです。個々の論文の文章構成などには不満があるものの、大枠は素晴らしい理想を持った人が考え、構成したのだろう、と将来への期待感の高まる作品になっています。ただし、一般の読者にはやや冗長に見えるかもしれません。

    これから図書館関係の職種を目指す人だけでなく、現在図書館に関係する人には是非、読んで頂いて何かを思って頂くとよいかと思います。特に他国の現状などは、なかなか興味深いかと。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
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    文章・描写 :★★
    展開・結末 :★★★+
    簡 潔 性 :★★
    独 自 性 :★★★★+
    読 後 感 :★★★
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