人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの (精神科医からのメッセージ)

著者 :
  • 勉誠出版
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585052852

作品紹介・あらすじ

いま、自殺者の90%近くが、うつ病、統合失調症など、自殺時に精神障害の診断がつく状態である。その一方で、純粋に心理的な要因で起こる自殺もある。先天的あるいは後天的な生物学的メカニズムとの関連も解明されなければならない。詳細な実地調査に基づいて、多元的な要因をもつ自殺という複雑な現象に光を当て、その実態と予防策を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 帝京大医学部附属溝口病院の精神科医・医学博士の張氏による“自殺論”。
    人はなぜ自殺するのか?という難題に張氏はライフワークとして取り組んできた。
    その足跡と歳月への回顧を交えながら、自殺に関する最新の研究や学説、統計データ等を幅広く解説している。

    張氏は日本で初めて『 心理学的剖検調査 』 を実施した研究者でもある。
    東京都監察医務院の書庫で、死体検案調書をめくる日々。
    そして、東京・板橋区での自死遺族への聞き取り調査…。
    遺族の複雑な悲嘆感情に向き合いながら、試行錯誤を積み重ねつつ困難な調査を行った体験が、生々しくつづられている。ノンフィクションとして興味深い一節である。

    著者張氏は、この心理学的剖検調査の途上においても、また、英国留学中も、親友の自死のことを繰り返し思い出していたという。
    かつて学生時代に、親友の“SOS”を受け止めることが出来ずに自死させてしまった、という自責の念が研究の原点であり、動機であり続けてきたという。

    自殺に関する書籍は数多あり、そのいずれも著者の人生観が強く反映している。そして本書もまた著者の人生と人柄が色濃く滲んでいる。
    親友への想い、そして、自死遺族の悲嘆に触れて遺族へのグリーフケアの必要性を痛感するなど、張氏の人間的な優しさが行間から伝わってくる。

    その他、SSRIs(抗うつ薬)の処方量と都道府県別自殺率の相関関係を示した論証(処方量の多い地域では、自殺率が低下していた)など、興味深い情報・記述もある。
    また、著者の私見としながらも、自殺における「遺伝的な要因」、「生物学的本能」の可能性を示唆する一節もある。
    このふたつの論考は衝撃的であった。

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