首都デリー

制作 : Khushwant Singh  結城 雅秀 
  • 勉誠出版
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本棚登録 : 9
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585053989

感想・レビュー・書評

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  • デリーを中心に、13世紀半ばから1984年のインディラ・ガンディー暗殺までの700年間を一望できる歴史小説。腐臭と芳香が同時に漂うインドの、手で触れるような時間の集積を感じることができる。小説のパワーを感じる本だ。

    インドの歴史入門かデリーのガイドブックを読んでからの方が楽しく読めそうだけれど(モスクや寺院がたくさん登場する)、いきなり読んでも面白い。というのも、一人称で語っていく、不可触賤民から皇帝まで様々な立場の登場人物それぞれの造形がとてもしっかりしているのだ。地名も人名も覚えようとしなくても、各章の主人公が何者なのか、彼らに何が起きているのか伝わってくる。「その人にとっての本当」が人の数だけあって、その集積がインドの歴史なのだというようにも読める。

    インドの人に「これって普通なの」という質問をすると「人によるね」とさらっと返されることが多くて、ずいぶん「人は人」が徹底しているんだなあと思っていたのだけれど、そのわけが少しわかったような気がする。多くの民族と宗教が混在するインドでは、何百年もの間様々な対立が起き続けてきた。今の日本で生まれ育った者にはあまりにも激しい歴史であり、それを歴史の教科書ではなく小説で実感させてくれる点で、本書はすばらしい一冊だった。

  • 本書は21章で構成されている長編小説である。
    そのうちの半分の章題は、「バーグマティ」。
    「バーグマティ」とは、主人公の愛人の名前なのだ。

    バーグマティは、ヒジュラ(両性具有者)で、顔に痘痕がある貧しく、礼儀などは何も知らない娼婦で、ひょんなことからバーグマティと知り合った主人公は、彼女と長い関係を続けている。

    バーグマティと主人公のことと、デリーの歴史が実際の人物の語りで交互に行われる。
    デリーが年を重ねるように、主人公とバーグマティも月日を重ね、物語もいつのまにか成熟し厚みを増していく。

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