梅棹忠夫の「人類の未来」 暗黒のかなたの光明

著者 :
制作 : 小長谷有紀 
  • 勉誠出版
3.71
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本棚登録 : 95
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585230137

作品紹介・あらすじ

1970年頃、梅棹忠夫が構想し、ついに完成させられなかった書物がある。そこには、文明学者・梅棹が想定する"人類の未来"が描かれるはずであった。残された当時の資料、対談記録を現代の目で読みとき、幻の著作の全貌に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 梅棹忠夫の未刊の書、『人類の未来』の内容を探る資料、座談会、論考を集めたもの。

    河出書房版「世界の歴史」は、今西錦司ほか『人類の誕生』、宮崎市定『大唐帝国』、松田道雄『ロシアの革命』などの名著を世に出しており、その最終巻が梅棹忠夫『人類の未来』…、のはずだったが、刊行されずに終わる。本書の冒頭には、この未刊の書の目次案やアイデア(こざね)が収録されていて、梅棹の構想の一端を窺うことができる。刊行挫折に至る経緯を追った小長谷さんの論考も、臨場感に富んで、面白かった。

    設計思想ではなくプレイ・ボーイに、理性ではなく英知に「暗黒のかなたの光明」を見出した梅棹の発想は、今でこそ参照されるべきと思う。

  • CSLの暦本さんが梅棹さんがよいとtweetしているのでこの本を買ってみました。60年代の熱気が伝わってくるけど、たぶん他の本のほうが入門にはいいんだろうと思います。なんか、マニア向けな気がする。たぶん中沢新一的な考え方のオリジナル(まあ、いろいろと違いますけど)。竹内整一さん(鎌倉女子大学教授)のはかなさの感受性へってセクションがとてもよかったです。はかというのは、農業における刈り取りの単位のようなもので、要するに、剰余を生み出す計画みたいなものが「はかる」でありそれができないことが「はかない」らしい。これは、ストーリーから共時性、ビッグデータ、べき乗則の方向に進むという時代の流れのなかでああそうか。と感じました。まあ今がコロナだからな。

  • 『論理を突き詰めると狭い範囲でのみ閉じてしまい、より開かれた状況を柔軟に受け入れていくことができなくなってしまう』・・・なんとも深い。

  • 司馬遼太郎が好きで、対談の相手としての梅棹忠夫しか印象がなかった(涙)。
    今回、この本を読んで、梅棹忠夫の考えていた「人類の未来」の一端について、勉強することが出来たという感じである。
    第一部 梅棹忠夫の残した「人類の未来」
    第二部 梅棹忠夫の見つめていた未来
    第三部 「人類の未来」に迫る

    という内容で錚々たるメンバーでの談論風発が収録されている。
    戦後の経済成長時における日本が世界に発信する時代が感じられ、気持ちも明るくなるというものです。
    そして、梅棹忠夫氏は、情報時代、地球時代の到来をきちんと予想されていた先見性には感心いたしました。

  • 梅棹先生の著書は「文明の生態史観」と「知的生産の技術」しか読んだことがないが、“知の巨人”であることはわかる。
    そんな梅棹先生の「人類の未来」についての談論集を興味津々で読み始めた。
    「日本はちょっとむずかしい。(中略)一種の未来に対する不安みたいなものがやはりあると思うね。もうあかんぞという・・・・。」(p114)
    「文明の安定期に入りつつある日本が伸ばすべき一つの方向としては、ロマンチシズムがあると思う」(p138)
    3.11後のむずかしい日本を梅棹先生はどのように語っただろうか。

  • 梅棹さんについて語る最後の章。たくさんの著名な先生方が「なぜ梅棹さんは人類の未来について書かなかったのか」について語っている。語った先生は全員、「ある絶望があるのだ」と明言していたといえる。これに落胆してはいけない。なぜなら彼らは、絶望すると同時に「私たちに託された使命なのだ」とも明記しているからだ。歴史を作っているのは、「今」を生きる私たちなのだと。

  • 2012/09/28:読了。
    対談の内容がピントこない。

  • すごーい人がいたんだなー。ほんとに。予言者っているんだなー。
    政治、制度はどんどん遅れていく。

    プレイボーイのすすめ

    地球水洗便所観

    どうなる。どうする。

  • 現代ほど梅棹を必要としている時代はないのではないか。日本人は、今般の原発事故と一生向き合っていかなければならないことが明らかな今、多くの人が梅棹から発信されるだろう「英知」に頼りたいはずだ。もちろんこれまでの著書の中にも英知があふれ出でているが、ここでは本書の中での英知を引用しておく。引用は、梅棹の言葉だけでなく、対談者からの発言も多くある。梅棹と識者の対談は、まるで化学反応のようだ。

    29頁に『人類の未来』の「エピローグ」のこざねに「英知対理性→科学」とある。私は、ここで「暗黒の彼方の松明」が、人間の「英知」だと理解した。この英知を国レベルで具体化することが肝要だと思う。理性を究めるという大学・大学院の社会から与えられた権能も大切だが、これまでの多くの人類の英知を検証して、学生に涵養する大学教育の機能を、今一度見直して研究してみたい。

    対談の中で終末史観が語られる箇所がある(92頁)。梅棹は下の引用のとおり、決算が行われると表現した。現在は、人類の理性と英知のB/S、P/L、C/Fを地球規模で一旦締め切る決算期が来てしまったと考えなければならないのではないか。(経済学ということではなく。)さらに、締切後の決算整理仕訳ともいえるような国家同士の価値観の意見交換も多い気がする。経過勘定はそれはそれで認識し、次期に備えるべきだと思う。

  • もう何十年も前の対談が多く含まれていますが、本当に過去の対談かと思えるほどに現代の問題が語られています。やはり未来は来ていないのか、それともそのころから未来だったのか。二十世紀は封建時代の遺産を食いつぶしてなんとかやってきた時代だいう記述に、では二十一世紀はと悩む。答えはわからない。
    ヒントかどうかわかりませんが、壊すことを考えなければいけないという話があります。もちろん単にリサイクル・リユースを言っているのではありません。
    人類の未来は真っ暗だと梅棹は言うけれど、刊行されなかった「人類の未来」の副題候補の「プレイボーイのすすめ」に、人類が破滅をさけるヒントもある、のかも。

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著者プロフィール

梅棹忠夫

一九二〇年(大正九)、京都市に生まれる。四三年、京都大学理学部卒業。学生時代の白頭山登山および大興安嶺探検隊以来、調査、探検の足跡は、ひろく地球上各地にしるされている。京都大学人文科学研究所教授、国立民族学博物館長を経て、同館顧問・名誉教授。専攻は民族学、比較文明学。理学博士。九四年、文化勲章受章。二〇一〇年(平成二十二)、死去。著書は、『東南アジア紀行』『サバンナの記録』『文明の生態史観』『知的生産の技術』『地球時代の日本人』『日本とは何か』『情報の文明学』など。いずれも「梅棹忠夫著作集」(全22巻、別巻1)に収録。

「2020年 『女と文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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