トランプ革命で復活するアメリカ 日本はどう対応すべきか

著者 :
  • 勉誠出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585230502

作品紹介・あらすじ

MSM(メインストリーム・メディア)の執拗な情報操作に抵抗勝利し、世界の再編成へと舵を切った暴君トランプ。
その核心は何か。
MSMの受売りに終始した日本のマスコミ。
どうする日本!

感想・レビュー・書評

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  • 「あとがき」に書かれていますが、2015年春からの米国大統領選挙を詳細にウォッチングしてきた著者の分析が著わされている著作です。
    そして、所謂トランプ現象なるものがなぜ、現代のアメリカで起こってきたのかについて、著者の主観も入れながら書かれている。
    第1部 アメリカ大統領選挙の内幕
     第1章 2015年8月の共和党候補者討論会から
         2016年3月スーパーチューズデイまで
     第2章 トランプ現象の本質
     第3章 トランプの外交政策と内政政策
     第4章 共和・民主両党党大会
         トランプの指名受諾演説と
         民主党サンダース支持者の反乱
     第5章 古い経済常識と新しい経済現実
         トランプの主張を裏付ける新しい常識
     第6章 スティグリッツ教授の提言
     第7章 第1回テレビ討論と、ヒラリーの庶民差別
     第8章 第2回、第3回テレビ討論のインパクト
     第9章 アメリカ国民が直面した本当の選択
         無国籍企業的グローバリズムか、
         庶民的ネオ・ナショナリズムか
     第10章 国務省をクリントン商事に変えたヒラリー
          eメール問題とダーティ・マネー
     第11章 ヒラリーの健康問題
    第2部 トランプ現象を招いたオバマ時代
     2011年
      分裂するアメリカ帝国
      アサンジとザッカーバーグとオバマの妖しい関係
     2012年
      米大統領予備選
      ビッグデータが創りだう新農奴制
      エネルギー革命で転換するアメリカ外交
     2013年
      米国発シェール革命が塗り替える世界覇権地図
      いよいよエスカレートする米中サイバー戦争
      映画「ロボコップ」の予言が的中した
       デトロイト市の惨状
      シリア攻撃を推進する米リベラル派
       その裏に金融ワンワールド派とチャイナの影
      レームダック化するオバマと分裂するアメリカ
     2014年
      アメリカでなくなるアメリカ
       白人がマイノリティになる日
      ウクライナで大敗北を喫したアメリカ外交
       オバマはアマチュア、プーチンはプロ
      拡大する反オバマ反乱
       草の根保守の市民的不服従運動
      米欧金融戦争
       アメリカの金融規制強化とヨーロッパの反発
      集団的自衛権から憲法9条改正へ
       独立を再び達成し、アジアの平和を守る自覚を!
      FATCAで金融資本に勝利したアメリカの草の根
       デモクラシー反米論者の誤りを正す
      2015年のアメリカを展望する
       オバマ政権の機能不全で南北戦争以来の危機
     2015年  
      アメリカ発FATCA新体制に抵抗する者達
       原発とタックスヘイブンとISと対露冷戦の深い関係
      米民主党の反TPP運動と
       ヒラリー・クリントン大統領候補の危機
      21世紀のナチスと化した中国共産党と
       アメリカは戦えるのか?
      米国で荒れ狂う左翼ファシズム
      「南部軍旗」追放運動に見る集団ヒステリー
      トランプ旋風はどこまで続くのか?
       共和党の候補者討論会でも同氏中心の激論
      日本は第三次世界大戦の戦勝国である自主憲法を
       復元し、自由・繁栄のアジアの主柱となれ

    アメリカの所謂エスタブリッシュメントの利権と結び付くメディアから発せられる情報を旧態依然として受信し、日本で発信するワンパターンの日本のメディア。
    色んな角度・視点で分析された情報をとにかく見てみるということは大切です。
    正しいか、正しくないかは、後世の歴史家がまた判断するでしょう。
    それもまた、正しいか正しくないかは不明ですが(笑)。
       

  • ・共和党 大企業的な保守(多国籍企業的グローバル志向)と、草の根保守(反グローバリズム、直接的な国益の擁護)の2つの勢力が連合して成立している政党。

    ・共和党予備選投票者が4年前比60%増(トランプ現象がもたらしたポジティブな結果)

    ・問題解決能力がない既成のスローガンを繰り返す政治家への幻滅(民主党支持者でも共和党支持者でも)

    ・ポピュリストー中間団体、マスコミに頼ることなく、直接大衆に働きかけて、その支持を得る指導者。

    ・新しい経済常識に裏付けされたトランプの経済政策~IT、技術革新は期待された経済成長を生み出さない。チャイナのような膨大な低賃金労働者を抱える国との自由貿易は永続的ダメージを与え、得るところが少ない。FRBの経済調整能力は減退してる。

    ・ヒラリー・クリントン選対本部による少額政治献金者への金融詐欺、クリントン財団のハイチ被災者寄付金98%詐欺。

    ・クリントン・ファミリーの犯罪歴~93年ビンス・フォスター次席大統領法律顧問不審死、民主党全国委員会職員セス・リッチ氏殺害事件等48人の不審死。

    ・親中オバマ政権~異母弟、異父妹のチャイナ人脈

    ・腐敗極めるクリントン財団~収入の40%は外国、サウジ、チャイナとの関係

    ・オキュパイ・ウォール・ストリート(OWS)運動~失業が増大し、貧富の格差が拡大するアメリカ社会を改革、大企業優遇に対する抗議、『左派=リベラル派』から生まれた。
    ・ティー・パーティー運動~増税と規制強化を画策するオバマ政権誕生に反発して誕生、小さな政府への復帰訴え、右派(保守派)から生まれた

    ・オバマケアの問題点 既存契約が解約される公約違反、企業の従業員用保険制度縮小による負担増、企業がフルタイムをパートタイムに格下げするオバマケア負担逃れ、保険料割高で払えず無保険者増。

    ・海外での口座が自動的に通告される仕組み、タックスヘイブン潰し=2014~FATCA外国口座税務規律順守法

    著者による紹介
    https://youtu.be/0m1lU0CnnsI

  • 今年の海外のビックニュースは、前半が英国の国民投票によるEU離脱派が過半数と取ったこと、後半が米国大統領選挙で、共和党トランプ氏が当選したことです。

    ニュースや新聞報道を見ている限りでは、英国EUは残留で、米国大統領はヒラリー氏が優勢であると伝えられていたような気がしますが、本当のところはどうだったのでしょうね。

    この本では、著者である藤井氏は、米国大統領に選ばれるのは、トランプ氏であると、かなり前から言い続けてきたと記しています。テレビで伝わってくるトランプ氏の映像は「過激な発言ばかり」でした。しかし、テレビには編集の自由があるように、メディアの思いのままに映像を加工することができます、私はトランプ氏とヒラリー氏のテレビ討論を見る機会はありませんでしたが、この本によれば、実際の討論の様子と、その後に新聞やテレビ(少なくとも主要なもの)では、ヒラリー氏を擁護するものであったそうで、とても公平は報道とは言えないようでした。

    いずれにせよ、トランプ氏が大統領になることで、米国は今までから違う姿になっていくでしょう、もしかしたら第二次世界大戦前のような形に戻るのかもしれませんね。外資系企業に勤務する私にとっても、大変興味ある部分でもあります。2017年は今年同様に激動の年になりそうですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・2016年の米大統領選挙は、MSM(大マスコミ)の情報操作とねつ造に対して、アメリカの大衆・庶民が徹底的に抵抗した政治闘争でもあった。(p12)

    ・イランですら、反ISという文脈で、トランプに寧ろ好意的である。彼らは中東民主化を掲げて、中東各国の安定を乱すクリントン政権を歓迎していなかった(p15)

    ・世間調査といっても、非常に多くの種類がある。2016年は大手マスコミが絡んだ世論調査は全く信用ができなかった。過去の選挙において実績のある世論調査を注目してきたが、今回、それらの予測はほぼ正しかった(p22)

    ・マイノリティ優遇政策により、逆差別を受けていると感じている白人中産階級と、貧困層は、トランプに大きな共感を覚えている(p29)

    ・ルビオ候補は、ジェフブッシュのスポンサーを受け継ぎ、大量のテレビコマーシャルを放映したが、地元フロリダ州ですら勝てなかった(p35)

    ・トランプは、政治的エスタブリッシュメントの全くのアウトサイダーとして存在し、人々に単純明快な問題解決の方向を占めしたのが、トランプの人気の最大の秘密であろう(p36)

    ・トランプはロシアとの冷戦復活は望んでおらず、むしろロシアとの新しいビジネス展開を支持する立場にある。ロシアとの事業展開に積極的な企業とは、エクソン・ボーイング・IBM・GMなど(p42)

    ・1ドル札から20ドル札までに描かれている5人の政治家(ワシントン、ジェファーソン、リンカーン、ハミルトン、ジャクソン)は、アメリカの政治と経済の形を根本的に形作った人である(p48)

    ・法人税率を15%の低率にして、タックスヘイブンを利用しようというインセンティブを無くすことが大道であるとトランプは主張する(p69)

    ・共和党予備選挙では、1400万の人々が投票し、これは共和党史上最高、4年前よりも60%以上多い。民主党の予備選挙では、8年前の20%減少(p74)

    ・日本やメキシコとの貿易摩擦よりも遥かに大きな打撃をチャイナとの貿易自由化はアメリカに与えている。(p90)

    ・1999-2011の間に、チャイナのせいで失われた雇用数は、製造業とサービス業を合わせて240万に達する。このため、自由貿易推進に反対するトランプやサンダースは、勤労者階級の強い支持を獲得した(p96)

    ・過去40年間を振り返ると、自由貿易推進による一番の負け組は、アメリカを初めとする先進国の勤労者階級・中産階級であった。一番の勝ち組は、多国籍・無国籍企業の経営者、エリート層、株主。第二の勝ち組は、低開発国(チャイナ、インド)の中産階級である(p102)

    ・中産階級を重視するといいながらヒスパニックや黒人への福祉政策ばかり強調するクリントンは、彼ら(白人中産階級)の選択になりえなかった。彼らの閉塞状況がトランプ支持に向かわせた(p109)

    ・嘆かわしかったのは、日本の主要紙がCNNの数字を重点的に引用し、テレビ討論会はヒラリーの圧勝と報道したこと、CNNだけが日本語の同時通訳をつけていて放送していた(p112)

    ・今年の大統領選挙では、クリントンは、規制支配層と、グローバリズムとエリート主義を代表している。一方、トランプは、反既成支配層とナショナリズムと大衆主義を代表していて、今までとは全く違った図式となっている(p118)

    ・ベンガジ事件において、国務省の監察官は、「法律違反ではないが、規律違反」と結論づけたが、これはおかしい。国務省職員が同じことをやれば、ランクの高低にかかわらず直ちに禁固刑を含む有罪判決となる(p156)

    ・ヘッジファンドに分類される金融会社7社のみで、ヒラリー支持団体への献金総額は4850万ドル、トランプ氏は1.9万ドルのみ(p160)

    ・ロン・ポール議員は、「日本の真珠湾攻撃の大きな原因となったのが、対日石油輸出禁止であった」と主張している(p201)

    ・世界のデジタル化したデータの90%は、この2年間に蓄積されたもの(p203)

    ・ビックデータ社会では、情報を操作するものと操作されるものの階層秩序化(差別化)が現在より、はるかに激しい形で進むだろう(p206)

    ・大量の天然ガス、石油が発見され、現状の消費を続けても、約200年分の石油、400年分の天然ガスが存在している(p211)

    ・現在の天然ガス革命は、シェールガスの他にも、非在来型とよばれる、1)コールベッドメタン、2)タイトサンドガスがあり、3種の埋蔵量は、在来型の7倍に達している(p213)

    ・ノースダコダ州にある、バッケン・シェール油田の推定埋蔵量は、4000億バレルに達している。サウジアラビアの2646億バレルより多い、日本の秋田には500万バーレルのシェールオイルが確認された(p215)

    ・イスラエル国内にも、世界最大級の天然ガス田と油田が発見されていて、エネルギー自立に向かっている(p217)

    ・アメリカは2017年以降は、天然ガスの純輸出国、2030年には石油もそうなる、貿易赤字の半分が石油輸入であるので、強いドルが復活するのは必然的である(p221)

    ・ウラン鉱山の環境汚染問題は、大量の放射能を環境にまき散らし、多くの鉱山労働者の命を奪ってきた(p258)

    ・ロシアにとって、欧州への2つの海洋への出口は黒海のセバストポリと、バルト海のペテルスブルクであった。クリミアは元々ロシア領土であったにもかかわらず、1954年ソ連の指導者であったフルシチョフ(ウクライナ出身)が、ウクライナに帰属させた(p261)

    ・プーチン大統領は、遺伝子組み換え食品(GMO)を、ロシア国内で一切禁止する方針を打ち出した(p263)

    ・英国シティでは、LIBOR問題の暴露が金融界に巨大な衝撃を与えた。このときの罰則の対象になったのが、英バークレイズ、ドイツ銀行であった(p272)

    ・アメリカでは、多国籍企業、特に多国籍金融資本の横暴を真っ向から否定して、それを規制する極めてデモグラティックな法案がアメリカ議会で成立、2014年7月1日から施行されている。外国口座税務順守法である(p287)

    ・タックスヘイブンが、宗主国と植民地の関係を基礎にして繁栄してきたという事は、シティとイギリス系のタックスヘイブンの関係を見れば一目瞭然である(p308)

    ・南北戦争が奴隷制をめぐって戦われた戦争であったという神話がある、奴隷制度の可否は南北戦争の原因の一つ、直接的な原因は、南部諸州がアメリカ合衆国を離れて別の国家を形成しようとしたことにある。リンカーン大統領は南部11州の国家分離もしくは連邦脱退を容認しなかった(p329)

    ・リンカーンは1862年9月に奴隷解放宣言を出したが、解放されなかった。北部では戦争後も奴隷制度は残った。1870年になってようやく黒人参政権を認めて実現した(p330)

    2016年12月24日作成

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著者プロフィール

1952年、東京都生まれ。国際政治学者。早稲田大学政治経済学部卒。クレアモント大学院政治学部(修士)を経て、ハーバード大学政治学部大学院助手、同大学国際問題研究所研究員。1982年から近未来予測の会員制情報誌「ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート」を発行。インターネット上でもYouTubeを中心に世界政治や経済情勢について発信している。現在、呉竹会アジア・フォーラム代表幹事、一般社団法人日本クルド友好協会理事も務める。主な著書に、『米中新冷戦、どうする日本』(PHP研究所)、『アングラマネー』(幻冬舎)、『国連の正体』(ダイレクト出版)、『世界恐慌2.0が中国とユーロから始まった』『希望の日米新同盟と絶望の中朝同盟』『国境ある経済の復活』(以上徳間書店)などがある。

「2020年 『米中最終決戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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