ジェルメーヌ・ティヨン: レジスタンス・強制収容所・アルジェリア戦争を生きて (叢書・ウニベルシタス 982)
- 法政大学出版局 (2012年9月1日発売)
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感想 : 1件
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- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588009822
作品紹介・あらすじ
アルジェリアの民族学者として出発し、第二次大戦中には対独レジスタンスに身を投じたティヨンは、ナチス絶滅収容所の地獄を生き延びた戦後も、母国フランスのおこなう植民地戦争への抵抗をつづけた。家族や仲間を失いながらも、全体主義・植民地主義のもたらした暴力と憎悪に尊厳をもって立ち向かった歴史家の断片的自伝を再構成し、二十世紀の人間的経験を伝える証言の書。
感想・レビュー・書評
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ドイツ占領下のフランスと、その抵抗活動の様子がよくわかる。逮捕者が牢獄に移送中の列車から小さく折りたたまれたメモを投げ出したりしたが、そういったメッセージの大半は宛名人に届いたらしい。沿線の人々がメモを集め、読み、必要な宛名にわざわざ切手を貼って届けてくれた、ということらしい。こういう形のレジスタンス活動もあったのだ。(p196)
民族学者、レジスタンス活動家、アルジェリア戦争へのかかわり、というそれぞれに過酷な状況下で、できることはすべてやる、という態度は感動的で、美しい。おそらく本人は現実的なことの処理に忙殺されていたのだろうが、行動によって世界の、人々のありようが決定されることを確信しているようだ。
フランス、いや、ヨーロッパの凄さを感じる書でもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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