- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588010019
作品紹介・あらすじ
フランス現代思想でも特に、哲学、政治、経済、美学など多方面にわたる理論的・実践的活動で知られるリオタールが、大学教養課程の学生を対象にして行った四回の講義を収録。〈哲学とは何か〉という問いに対して、〈哲学する〉という実践から真摯に応答し、〈現代思想〉の最もラディカルな真髄に迫る。これから哲学を学ぶ人はもちろん、哲学を教える人にとっても、最良の哲学入門講義が、いま開講する。
感想・レビュー・書評
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リオタールは主に20世紀後半に活躍したフランスの哲学者であり、哲学、経済、政治、美学など多方面にわたり活動しました。
本書はそんなリオタールが、フランスの大学の教養課程の学生に向けて行った「なぜ哲学するのか」について語った講演です。
哲学の授業で扱われる言葉は、難しいあるいは哲学に固有の言葉で、自分が生きている現実と接点を持たないと思われ、敬遠されることは多いです。しかしそのような「固有で難しい」言葉を使う哲学者たちも、生まれて生きて死ぬということについて、一人の人間として真摯に向き合っていました。決して人生と離れたどこか別の世界について記述していたわけではありません。
大学に入って初めて哲学の授業を履修して、哲学って何なのだろうかと考え始めている学生にお勧めです。
ジャン・フランソワ・リオタール著、松葉祥一訳『なぜ哲学するのか?』法政大学出版局、2014年
中央館3F:図書 135.5//L99
OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB15030527詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジャン=フランソワ・リオタール『なぜ哲学するのか?』法政大学出版局、読了。哲学することと実践の架橋に悩むリオタールが40歳の時、パリ第1大学で新入生に行った、哲学と欲望、哲学の起源、哲学の言葉、政治など4つの講義を収録する。リオタールによる最良の哲学入門。訳者の解説は秀逸な伝記。
リオタールの膝下で学んだ訳者・松葉祥一さんインタビュー:神戸映画資料館
http://kobe-eiga.net/webspecial/bookreview/2014/03/%E3%80%8C%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%93%B2%E5%AD%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%E3%80%8D%E6%9D%BE%E8%91%89%E7%A5%A5%E4%B8%80%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC/
“ポスト・モダンとは「小さな物語」が並立的に存在する世界だと考える。これはとてもよく理解できる指摘です。確かに、現代は「みんな違ってみんないい」を肯定する社会でもあるでしょう。その一方でリオタールは、実はその社会が同時に「大きな物語」への強いノスタルジーを持っていること”を指摘。
今の日本を振り返ると「みんな違ってみんないい」の実存が許容される訳でもないのに、そのフレーズだけを「みんな」が言い、相互に同じ言葉を述べることで何かを確認している。「大きな物語」への強いノスタルジーの、しかも「いびつ」な形の立ち上がり痛感する。もう一度リオタール読むべきかなあと。