他者のような自己自身〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス 530)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (538ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588099199

作品紹介・あらすじ

これまで、解釈学的現象学の方法論によって、言語の創造性を探求してきたリクールの〈倫理への回帰〉を示す思索。ハイデガーやアーレントの発する〈誰が〉の問いに答えるべく〈自己の解釈学〉を三つの段階──分析を経由する反省、自己性と同一性の弁証法、自己性と他者性の弁証法によって構築し、自己の中心に他者が現前することを明らかにしつつ、著者独自の主体の哲学の再建を目指す。【哲学・思想】

感想・レビュー・書評

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  • 言語行為論的研究を扱っている。人称について考えてみたい人は一読を。

  •  ポール・リクール初めて読んだが、文章がなかなか難解だった。「自己」なるものをめぐって思考が凝らされてゆく。最初は言語における「自己」「自己自身」等が分析されるが、当然ながらフランス語での話なので、フランス語の知識がない自分にはかなり理解が難しい。
     しかし苦労して読んでいくと、このスリリングな知的探究がおもしろくなってくる。
     ただし、最後の方、なぜか話題は「倫理」にうつってゆく。なぜそうなるのかよくわからなかった。先日読んだマイケル・サンデルの続きであるかのような錯覚に陥った。カントが道徳の根本的価値と断じた「自律」の概念をたどることによって、「自己」をめぐる本書のテーマに還ってくる点は理解できたが。
     ポール・リクールはもうちょっと著書を読んでみないと、立ち位置がよくわからないと感じた。

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著者プロフィール

(Paul Ricœur)
現代フランスを代表する哲学者。1913年フランス南東部ヴァランスに生まれる。35年教授資格試験に合格。マルセル、ヤスパースの実存哲学とフッサールの現象学の影響を同時に受ける。39年第二次世界大戦に動員され、捕虜となって45年まで収容所生活を送るが、その間にフッサールの『イデーンⅠ』を仏訳。48年ストラスブール大学の哲学史講座を担当。50年国家博士号を取得。56年よりパリ・ソルボンヌ大学で教え始め、66年からナンテール校に移る。70年からはシカゴ大学で教えるようになり、英語圏の哲学、神学界でも活躍。意志の問題を現象学的方法で考究しようとして「意志の哲学」の体系を構想し、『意志的なものと非意志的なもの』(50)、『人間 この過ちやすきもの』(60)、『悪のシンボリズム』(60)を発表するが、次第に解釈の問題への関心を深め、『フロイトを読む』(65)を含む数多くの論文を発表。現象学を解釈学として展開する解釈学的現象学の方法によって言語の創造性を探究し、『生きた隠喩』(75)、『時間と物語』(全三巻、83-85)を著す。さらに、「自己の解釈学」を目指した『他者のような自己自身』(90)と、壮大な「歴史的存在の解釈学」の試みとしての『記憶・歴史・忘却』(2000)という、自らの哲学の集大成的な著作を発表。2005年5月死去。

「2013年 『道徳から応用倫理へ 公正の探求 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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