冷戦史の再検討: 変容する秩序と冷戦の終焉 (サピエンティア 11)
- 法政大学出版局 (2010年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588603112
作品紹介・あらすじ
今年は「冷戦の終結」から20年を迎える。第二次世界大戦後、40年以上に及んだ米ソを中心とする国際政治の対立と緊張は、多大な物的・人的コストをともなうものだった。本書は、海外の筆者をまじえ、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、中ソ対立、米中和解、ベルリンの壁の崩壊など、東西対立からデタント、そして冷戦の終焉にいたる国際秩序の変容過程を実証的に再検討する共同研究の成果。 【国際政治・外交史】
感想・レビュー・書評
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中ソ同盟とは2つの共産主義大国が手を結ぶことによって、冷戦期にアメリカ主導の資本主義世界秩序に対して行った重大な挑戦であった。この対決は第二次大戦後の国際システムをどう組織するかにかかわる基本構想の衝突を反映していた。人類が直面する共通の社会的、経済的問題に対する最善の答えを米ソのいずれの側が提供できるかをめぐる競争であった。1950年代から60年代にかけての中ソ分裂は最終的には実現可能な社会的、経済的選択肢としての共産主義運動を破綻させ、信用を失わせることになった。
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2010年に出た、冷戦に関する論文集であるから、その記述の充実っぷりはなかなかのもの。
特にデタント期までが非常に良質で、古くあるようなアメリカの外交戦略にばかりスポットをあてたものでは決してなく、さまざまな国の視角を備えることで、豊潤な冷戦描写を可能としている。
ただし、冷戦とは米ソ二極の軍事力のせめぎ合いである、というような古典的な捉え方が不十分だとを思い知るためには、それまでの冷戦の議論というものを踏まえておく必要はあるだろう。