以下5編を収録。
おきなぐさ
めくらぶどうと虹
双子の星
ひかりの素足
銀河鉄道の夜
どれも「いのち」の尊さを、植物や星などの自然に例えながら繊細に描写している。
個人的には「双子の星」が一番好き。
空や星の描写が想像力をかき立てるし、双子の星が身を削りながらそれでもさそりを助ける姿に美しいと感じた。
解説の堀尾青史さんが書いているように、宮沢賢治の童話集は「人のために尽くす」という考えが深くある。
人のために尽くすことで、どうしても見返りを求めてしまう自分がいるのは事実だ。でも、銀河鉄道の夜のジョバンニが言っていたように「みんなの幸せのためなら僕の体を百ぺん焼いても構わない」と、人のために尽くすことが自分の望みになればきっと人徳のある人間になれるのだろうと思った。
題名ばかりが先走っている自己啓発本等よりも、こういった文学作品を読む方が私には合うのかもしれない。