アパルトヘイトの子どもたち: ぼくたちは怒っている (ポプラ社教養文庫 7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591036563

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  • (1994.05.08読了)(拝借)
    ぼくたちは怒っている
    (「BOOK」データベースより)amazon
    今、南アフリカ共和国で起きていること、それは肌の色が黒いという理由での“人種隔離政策”。住居も、学校も、駅や郵便局など公共設備も白人とは別べつ。そのアパルトヘイトの長い歴史、仕組み、著者が南アでの取材を通して伝える過酷な現状、子どもたちの生活、廃絶と自由へのたたかいの日々、そして将来を鋭く追求する。

    ☆関連図書(既読)
    「南ア共和国の内幕」伊藤正孝著、中公新書、1971.02.25
    「南ア・アパルトヘイト共和国」吉田ルイ子著、大月書店、1989.02.20

  • 名誉白人といわれる日本人たちは、白人と同じように、プール、テニスコート、黒人メイドさん、庭師つきの大邸宅をあてがわれて住んでいます。そして、そのうえ、精神構造までが、すっかり白人。白人といっても、進歩的、あるいはアパルトヘイトに反対する言動や行動している白人たちではなく、黒人を劣等人種として軽蔑し、かつ使用人としての黒人にはたよりながら、友人としては絶対に黒人とつきあわない、もっとも保守的なアパルトヘイトをささえる白人たちと同じなのです。
     南アの黒人たちが、このような日本人たちを、なんとよんでいると思いますか。「バナナ」と呼んでいます。外側は黄色い(肌の色は黄色人種)けれど、中側は白いからだ、そうです。
     なんと悲しい、なさけないことでしょう。


    172頁からの引用です。「引用」機能では文字数オーバーだったので、こちらに引用させていただきました。申し訳ありません。問題があればすぐに修正いたします。

    私は現在中3ですが、この本を読んでいる最中に、大学生の姉に、中学生でそんなことに興味を持って読んでいる子を初めて見た、すばらしいことだと褒められました。ですが私の周りには、こういうことに興味を持ち、またこういう本を読んでいる友人らも数名おります。あまり何も考えていないようなクラスメートも、確かにいますが、英語の授業でこの問題が取り上げられた時、いつもは何も考えていないでくのぼうに見える男子が、やけに食いついて、一生懸命学ぼうとしていました。
    同級生をつかまえて、私はどれほど偉い人間なのだというようなことを言いますが、つまり私はそういう同級生らをとても頼もしく思います。

    自分自身のことなら、差別の問題、貧困の問題を常に知ろうとするのは私が自分に課した当然の責務です。

    こういう中学生を、嘘っぽいとかいう風に評価する大人もいますが、私は真実の気持ちで書いています。私は嘗てひどいいじめを受けました。痛みを知ったからこそ、人の痛みに敏感になれると思います。もちろん私は平和な日本に生まれたわけで、彼らの本当の苦しみなどわかるはずもありませんが、せめて少しでも知ろうと努力することができます。

    大勢の、同世代の人々が、このような意識を持ってくれることを願います。感受性の豊かな私たちには、素直に現実を見つめる力があるはずだと考えるからです。

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著者プロフィール

吉田 ルイ子(よしだ・るいこ):1934年北海道室蘭市生まれ。慶応義塾大学法学部卒。NHK国際局、朝日放送アナウンサー勤務の後、1961年フルブライト交換留学生として渡米。オハイオ州立大学とコロンビア大学で学び、フォトジャーナリズム専攻で1964年コロンビア大学より修士号を取得する。そのままニューヨークに滞在し、ハーレムに住んで写真を撮りはじめる。1968年ハーレムの子どもを撮った写真で公共広告賞を受賞。帰国後は北米、中米、東南アジア、中東、アフリカと世界を駆けめぐり、人々の生活、感情に思いを寄せた視点で、写真を撮りつづけた。2024年5月31日、89歳で逝去。

「2024年 『ハーレムの熱い日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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