白いぼうし: 新装版車のいろは空のいろ1

  • ポプラ社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591064429

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは文庫版のほうですがなかったのでこちらに感想を失礼します。昔国語の教科書で読んだ「白いぼうし」が懐かしく、今読んでもいいお話でした。他にこの松井さん(運転手)のシリーズがあったなんて知らなかったです。動物が出てくることが多くほのぼのして良かったです。

  • 学期初めの掲載で、本の紹介まで依頼されることがなかったのだが、4年光村「白いぼうし」並行読書に加え依頼あり、再読。ひさしぶりに読むと、話によっては読書感想画にも向いているなぁと感じた。
    以下ネタバレあり

    ◆小さなお客さん
    パンク修理している松井さん、うまくいかないのに、なぜか小さな男の子二人きて、無事終了。お礼に乗せてあげると(すごく喜ぶ二人)、次のお客さんにシート汚れてるといわれ、金色のキツネの毛を発見。
    ◆うんのいい話
    金いろのすじが一本ついたピカピカひかる魚を釣った客を乗せた松井さん、車が闇に包まれてくると沢山の魚に囲まれ、かえせかえせ…。あたりが収まったあと、客と二人震える手で火をつけ、タバコを吸うのでした。タバコを吸う場面がとても多いのに、時代を感じたのと、杉みき子の「月夜のバス」を思い出した。
    ◆白いぼうし
    これは、レモンのにおいですか?
    いいえ、夏みかんですよ。
    関係のなさそうな夏みかんが帽子の中に入って帽子の持ち主の男の子をビックリさせ、モンシロチョウが客として乗ってくる(と思わせる)話はやはり画的にも春の国語に相応しく、面白かった。
    ◆すずかけ通り三丁目
    戦争中大空襲の中、3歳のむすこを抱っことおんぶで逃げたけど最後死んでいることを知った母がタクシーにのり、よく知っている白菊会館のそばの、すずかけ通りに行く(ないはずの通り)。二十二年まえのきょうなのです。おかげでかえることができました。たくさんの人にまぎれて見えなくなったおばあさんを千円にお釣りを返したくて、なにか言いたくて追いかける松井さん。
    ◆山ねこ、おことわり
    客の案内でグルグル回って林を走るとお客さんは山ねこになっていました。松井さんはおりてくださいよ、と言いますが山ねこおことわりとは書いてなかったでしょう?と降りません。しかも、医者で病気の母を診に来たというのです。送ることにした松井さん、しばらく待って大学病院に戻りました。代金と一緒に山ねこおことわりと書いてある読めない紙をもらいましたが、松井さんはまた、いつでもどうぞと言いました。
    ◆シャボン玉の森
    道路でシャボン玉を吹いていた女の子を抱いて退かしたとき、シャボン水のコップが落ちました。泣いた女の子に困っていると松井さんはどんどん小さくなってしまいます。笑い声したのでふりむくと、シャボン水の消えたところに小指位の男の子がぷくっと立っています。ナンバープレートも恐ろしく大きくなってしまい、今度は松井さんが泣きました。そしたら大きくなれました。女の子は泣いている松井さんを見て泣き虫ねぇと笑いました。そして、地面からシャボン玉がたくさんでてきました。一番上の金いろの玉に男の子が見えました。慌てて車に飛び乗り曲がる前にふりむくと、まるで七色のシャボン玉の森がうきあがっていくようです。
    ◆くましんし
    忘れ物のバックを届けに熊野熊吉さんのお家に行くと、わざと忘れたと言われる。なぜなら、松井さんがバックミラーでクマに気づいたから。くましんしはこたたん山から下りてきたのです。372匹になって、滅びるばかりだと。人の姿になり、汽車に乗り、子どもも大きくなりました(上は大学、下は高校)。ウイスキーを飲みながらの打ち明け話に松井さんがぼんやり考えていると、また、ドアの前で財布を持って立っていました。
    ◆ほん日は雪天(ゆきてん)なり
    雪の中お客さんを乗せていると、お客は公園でお金を払わずに降りてすたすたと行ってしまいます。松井さんが追いかけて行くとなんと何十というキツネが輪を作って歌っていました。さあさあしっぽをだしなさい♪キツネコンクールが始まります。みんな一部キツネです。おじちゃんのばんよ、しっかりといわれいつのまにやらステージの上に。わたしはばけておりません、わたしはにんげんのまついです。
    優勝した松井さんは商品の油揚げを断り、料金を回収し、雪でお客のない日に、公園の周りをみんなに本物のお金で1425回乗ってもらいました。

  • 1/29に読み終わった、活版印刷三日月堂シリーズ第二弾『海からの手紙』の第一話「ちょうちょうの朗読会」のお話しの中に出てきた本
    教科書に出てくる本・・・ 記憶にないので新しい本なのかな?と思いましたが、1968年出版
    とてもやさしい 懐かしい 安心できる 心が安らかになる 想像する気持ちが楽しいお話したち
    戦争中のお話しもありましたが、戦争中のお話しも、しっかり子どもたちに伝わるとよいなと思います
    ずっとずっと、たくさんの子どもたちに読み続けてほしい
    素晴らしい本に出会えて嬉しいです
    運転手の松井さんの本、あと2冊あるみたいなのでこちらもぜひ読んでみたいと思いました。

  • 「これは、レモンのにおいですか?」
    「いいえ、夏みかんですよ。」

    教科書にのっていた、こんな会話から始まる物語。図書館で見つけて、懐かしくて、手にとってしまいました。

    あの頃は、この物語を読んでもふ〜ん…って感想しか持てなかったような記憶があります。
    今読むと、こんなに温かくて素敵な物語だったのか…とびっくり。

    空いろのタクシーに乗ってくる色々なお客さん。
    楽しい物語、ちょっぴりドキッとする物語、戦争の傷あとを描いた切ない物語など、色々な味わいのある一冊でした。

    「よかったね。」
    「よかったよ。」
    「よかったね。」
    「よかったよ。」

  • 古き良き日本のファンタジー作品という感じ。
    日常の延長線にあるような不思議な世界がとても心地よく親和性が高い。
    解説?で海外作品の批判をしてるのはちょっといただけないが

  • 「空いろの車を町でみかけたら、きっとそれは松井さんのタクシーです。手をあげて、車のざせきにすわったら、「お客さん、どちらまで?」それが、ふしぎな旅のはじまりです。」

    お客さんのなかには、きつねやヤマネコやくまもいる。
    もしかしたら松井さんも人間ではないのかも?
    不思議で、時にはほっこり、時にはちょっぴり不気味な、いろんなお話が入っている。

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    戦争 満州 ファンタジーと真実
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    くましんし朗読 こたたんこたたん

  • 運転手の松井五郎さんが出逢った、不思議なお客さんとのストーリー。続きが気になる終わり方に少しの怖さと気味の悪さを残しながら、こんな出逢いあったら楽しいだろうなと思わせてくれる一冊です。

  • 空色のタクシーを運転する松井さんの不思議なお話の短編集。
    小学校の教科書にも載っている「白い帽子」は、いろいろな読み方ができる作品。

  • 不思議なお客を乗せて、発車!

    松井さんは、空色のタクシーの運転手。松井さんのタクシーには、不思議なお客さんが次々に乗ってきます。優しくて不思議な8つの物語。

    ■小さなお客さん

    松井さんは、タイヤの修理を手伝ってくれた2人の子どもをタクシーに乗せてあげます。子どもたちは初めて乗る車に大はしゃぎ。2人がタクシーをおりると、座席には金色の毛が散らばっていて…。

     車をおり、客せきのドアをあけたとたん、松井さんは、
    「なんだ? こりゃ……」
    と、つぶやきました。
     ほそいみじかい金色の毛が、みどりのシートにちらばっています。

    松井さんにできなかったタイヤの修理をやってのける子どもたちにびっくりしたり、子どもたちの正体を想像する楽しさに、むねがはずんだりするお話です。


    ■うんのいい話

    松井さんは、魚つり帰りのお客をタクシーに乗せて走っていました。お客がうとうとし始めると、車の目の前を魚たちが泳ぎ出し、お客の網の中からは、魚たちが出ていって……。

     まどというまどが、ぜんぶ、すうっとおりました。水が、ひんやりと、風のようにながれこんできました。

    松井さんとお客さんの指は、ふるえています。春ももう終わりの頃なのに、ふしぎですね。「かえせ かえせ かえせ」「きたよ きたよ きたよ」という魚たちの声も、ちょっとこわくて、でも楽しいです。


    ■白いぼうし

    松井さんが、もぎたての夏みかんをのせてタクシーを走らせていると、道ばたに落ちた白いぼうしを見つけます。車をおり、ぼうしをつまみ上げると、中からモンシロチョウが飛び出しました。ぼうしのうらには、赤いししゅう糸で、「たけ山ようちえん たけのたけお」と書いてあります。

     (せっかくのえものがいなくなっていたら、この子は、どんなにがっかりするだろう。)

    そう思った松井さんは、いいアイデアをおもいつきます。それは、夏みかんを……。

    魔法みたいなアイデアを思いついて心をおどらせる松井さんでしたが、松井さんにも魔法みたいな出来事が起こります。このふしぎを味わってみてね。


    ■すずかけ通り三丁目

    松井さんのタクシーに乗ってきたのは、40才くらいの女の人。行き先は、松井さんも知らない、「すずかけ通り三丁目」の「白菊会館」近く。22年前、戦争が終わるまではその家で暮らしていたそうなのです。そして、今日は、3才の双子の息子をなくしてから、ちょうど22年の日なのでした。女の人は語ります。

     「むすこたちは何年たっても3さいなのです。母おやのわたしだけが、年をとっていきます。
      でも、むすこをおもうときだけは、ちゃんと、このわたしも、もとのわかさにもどる気がするんですよ。……おもしろいものですね。」

    女の人は帰り際、小さなおばあさんになっていたのでした。

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著者プロフィール

1931年生まれ。児童文学作家。1968年にデビュー作品集『車のいろは空のいろ』が日本児童文学者協会新人賞および野間児童文芸推奨作品賞を受賞。以降、いくつもの文学賞を受け、多くの作品が小学国語の教科書に掲載されている。2001年に紫綬褒章受章。京都在住。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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