聖なる戦い (P-club 1-3 エル・シオン 3)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591064849

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  • いよいよ、エル・シオン連合軍とヴォワザン帝国との戦い。
    だけども、これを薄い文庫一冊で書き切るにはどう考えても紙面が足りなかった。戦いのシーンをきちんと描くために、戦いに至るまでの道のり(本当はここにドラマがたくさんあるはず)を端折らなくてはいけなくなった。
    バルキスは、連合軍を作るためだけに幻の王国「エル・シオン」を作るのだけど、フップの魔法を利用しただけあって、ハリボテ感が半端ない……。もちろんバルキスだってそれは百も承知で、だから先頭を切って動き回ることに抵抗があるのだろうな。
    その代わりと言ってはなんだが、戦いの規模は思い切り大きくなった。互いにアルトロを投入するのはもちろん、ヴォワザン側が魔界から魔人を召喚すれば、エル・シオン側には仙人が駆けつける。魔術が錯綜し、うん。RPGみたいで楽しいぞ。
    もちろんバルキスはサシで皇帝ドオブレと対決。奪われたフップの心臓をきっちり取り返す。
    普通はここでめでたしめでたしだが、このあと、国づくりの過程まで書かれているのが興味深い。そしてフップの封印。いったんご主人様の夢を叶えると冬眠につくというフップ、新しい国が整い始めると、次のご主人様が起こしに来るまで冬眠態勢に入ってしまう。そのフップをバルキスは仙人に頼んで山の根もとに封印してもらう。理由は簡単。今後フップが極悪人を「ご主人様」に持ってしまったときの悲劇を防ぐためだ。
    まあ、自分がフップの力を使い倒しておいてそれはないだろ、という意見もあるが、使い倒してなお、力に溺れることなく、畏怖を失わない感覚は、人として健全だなあと思う。バルキスはよくわかっていたのだな、人間の分際というものを。

    そして100年後、新しい救世の旅が廃王女とさすらいの剣士によって始まるわけだ。

著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2023年 『妖怪アパートの幽雅な日常(26)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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