- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591069226
感想・レビュー・書評
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中学時代の親友にもらった一冊。時々読んで、心に太陽を持つようにしている。
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この本、1935(昭和10)年に発行された本を、編集者の山本有三が1956(昭和31)年に再編集した本だそうです。
収録されているエピソードは、軍国主義的なものではなく、世界市民的な、今でも通用するというか、今となっては清く正しく美し過ぎるお話ばかりです。
1935年版と1956年版にどのような違いがあるのかよく分かりませんが1935年の段階でこの収録作品だったとしたら、かなりリベラルな内容だったのではないでしょうか。
(追記)
ブクログのレビューを読んで気付いたのですが、文庫版には収録されている
大西洋横断海底ケーブルの話「海底電線と借金」
が、ポプラ社版には収録されていません。
本書には、キティ・シーワード(キティ・ウィルキンソン)という、ヘレン・ケラーやマザー・テレサのような方のお話が掲載されています。
検索してみても、出てきません。
この方の人物像を後世に継承できただけでも、本書の意義はありますね。
動物好きのトマス・エドワードの少年時代からの活躍を描いた後で、最後に学問に志した結びの言葉が
「この年になってからでは、もう遅うございました。生まれながらの動物ずきで、そのほうの天分は十分にありながら、少年時代にきちんとした勉強をしなかったために、このトマスは、これという業績をあげることもなく、さびしく世を終わりました。「すきこそ、もののじょうずなれ。」ということわざもありますが、ただすきなだけでは、大きくのびません。」
というのはブラック。
本書には、立身出世の成功談だけではなく、失敗談も収録されているわけです。
私としてはこのトマス・エドワードや、最後に全滅してしまった南極探検のスコット隊が心に残りました。私が人生に失敗し続けているからでしょうか。
フリードリヒ大王と風車小屋のエピソードは、報道機関や憲法や国家を私物化して独裁体制を築いているどこかのバカ殿首相に読ませたいですね。
最後のパナマ運河物語は、なかなかの長編エピソード。
パナマ運河の開通には、黄熱病との戦いも大きなテーマでした。
黄熱病研究の過程では、志願者による人体実験も行われていたとは、壮絶な話です。
しかし、パナマ運河開通の物語に心躍らせていた時代は良かったのです。
現在は、パナマ文書の公開を独裁政権が阻止している時代なんですから。
“パナマ文書公開物語”、この先困難が待ち受けているようです。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160411/p1 -
中高生に向けた人生の指南書。タイトルになっている『心に太陽を持て』は、好きな詩のひとつ。正統派すぎて、今どきの中高生には好まれないのが残念。いくつかの話しの中で好きだったのは、『製本屋の小僧さん』の話し。詩を含めて、隠れた名作のひとつだと思う。
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吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」などが編纂された「日本少国民文庫」の第一巻であったものを再編したもの。
世界の人々の、ちょっといい話から人類に貢献した偉業まで、様々な話が子供向けにつづられている。
古い本であるが、人の生き様を考えるとき、時代は変わっても大切なものはいつも同じなのだなということを改めて思わされた良書。