八本脚の蝶

著者 :
  • ポプラ社
4.20
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本棚登録 : 656
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591090909

作品紹介・あらすじ

作家、書店員、恩師、友人、恋人…生前近しかった13人による書き下ろしコラムと雑誌「幻想文学」に掲載されたブックレビュー7篇も特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 復刊時に購入したけれど、怖くて読めないでいた。感想、むつかしいな。本が大好きで、本ばかり読んで過ごしてきたけれど、彼女が超えた先の世界まで行きつけないで、ずっといる。渇望しながら、超えたら戻ってこれないよと、躊躇して足踏みしたまま、ずっといる。敵わないな、と思う。そんな私に、彼女を讃えたり、諭したり、咎めたりする資格はない。『二十歳の原点』を思い出したけれど、私は奥歯の方がずっと好き。賢くて、いっぱいいっぱい考えすぎるほど考えて、でもなによりもかわいらしい。崩れた心さえもかわいくて愛おしくて、悲しくなる。

  • 気になることがあり本書を読みました。
    気になることはより大きな気になることとして心に根付き大きく育ちつつあります。

    彼女の著作がある種の方々にとって聖書のようなものだというのが少し分かる気がします。何故なら彼女は彼女の中の絶対神だからです。
    絶対神は揺るぎません。
    彼女は彼女に対し常に決断者であり、要求者です。

    でも奥歯は虫歯になり易い箇所だということを僕等は知っているのです。

  • 化粧品や洋服などを愛する普通の女の子でありながら、本当に多くの本を読んでいた二階堂奥歯の日記。著者がもし今も生きていたなら、今はどんな本を読んでいるのか知りたかった。
    普段の自分の読書量がいかに少ないか恥ずかしくなるほどの膨大な本の数と引用に圧倒される。後半の、死にたいという感情と引用を書き連ねた転がり落ちるような展開は読んでいると渦に飲み込まれるかのような気持ちだった。
    著者に宛てた雪雪さんの文章も良かった。
    この本を持ち歩いていると、心強い思いがした。

  • 二階堂奥歯という存在は、どういう経緯だったのかは忘れたが知っていた。
    自分と同学年であり25歳のとき自ら命を断ってしまった女性で、読書量が膨大だったこと。
    3つほどしか彼女の情報は知らなかったが、彼女自身に興味が湧きWEB日記を読んでいた。

    しかし、恥ずかしながらその日記が書籍になっているということは最近知った。

    思えば私が彼女の日記を読むときは、自分の思考が揺らいでいるときだ。
    初めはコスメやファッションのことなどを楽しそうに綴っているが、だんだんと彼女の苦悩や葛藤、あちらとこちらの間で揺れ動く心情を吐露する内容が増えていき、それらが自分に突き刺さってくる。
    生きづらいと感じながらもがいてみるが、こちらでの居場所を見つけられなかったときの苦悩は少しだけだがわかるような気がするのだ。
    それが年代的なもののせいなのか普遍的なものなのか、はたまた個人的な問題のせいなのかはわからないが。

    本書は元が個人的な日記であり、その日記の文章や内容は彼女自身によって装飾されているところもあるかもしれないが、どの文章も生身の人間の思考であり感情であるがゆえに、こちら側の調子や状態、条件によってどういう風にもとれるし感じられる。
    そして本の向こう側に生身の人間が存在すると感じられるから、心にたまっていく澱のように綴られた言葉がのしかかってくるのだ。

    この本はブックガイドとしても秀逸なので、彼女の嗜好、思考をたどる参考にしたいと思う。

  • あまりに鮮烈な生の記憶。エッセイ? は普段読まないのだが、この本は食事の時間も惜しいほど熱中した。サイトも残されているらしいが、紙媒体で読むことをお勧めする。あまりに知に鋭敏過ぎたのだと感じた。そしてまた、彼女に学ぶのは構わないが、彼女を信じてしまうことは彼女が忌むところの盲従に他ならないのだとも。何度も繰り返し読みたいが、「クトゥルーの眼差し」めいた視線を感じるので夜は読めない。私は書くものだが尋くものでも守るものでもありたいと願う。

  • 読んだ本を人に話すのが苦手だ。本についての感想を話し合うのは好きなのに、話題はいつも相手が読んだ本についてばかりになる。「あなたは最近何を読んでいるの?」と聞かれても適当に濁してしまう癖がついている。理由はごく単純だ。今まで正直に告白して良い顔をされた覚えが無いからである。

    「読書傾向はその人の人となりを表す」という言葉がもし真実であるのなら、あまり一般には良い顔をされないのが私の本性ということなのだろうか。などといちいいち自虐に陥るのも癪に触るので、自然と好きな本については口を噤むようになってしまった。

    しかし先日、二階堂奥歯さん著「八本足の蝶」を入手し、その読書傾向に物凄い親近感を抱いてしまった。ほぼ同世代、見覚えのある誌名、ブランド、フェティッシュたち。読書の間、私は彼女となにも思い煩うことなく語り合っているような気持ちに浸っていた。そのコルセット、私も欲しかった。あの人形、あの絵、あの本、いつか手元に置けたらいいと思っていた。あなたが良いと言うのなら、今度その本を探しに古書店を回ってみよう。……できるなら、ずっとそんな会話を続けていたかったと思う。読み始める前から知っていた結末が、読み進めて行くうちに氷の上に置いた錘のように胸の中に沈み込む。

    心より二階堂奥歯さんのご冥福をお祈りします。

  • 私の大切な大切な本の1冊。Web日記から書籍になって、改めて読んでいるとそれまでうすぼんやりとしていた奥歯さんの輪郭がくっきりと浮かび上がってきて、その思考がなだらかに入り込んでくる。そして力強さを感じる。彼女を抱きしめるようにそっと本を抱く。ふと本から温度が発せられ温かなものが私の皮膚を肉を血液を通して流れ込むような感じを覚える。彼女の肉体はもうこの世にないけれど、精神と魂はこうして受け継がれる。(2006年2月読了)

  • ようやく読めた。図書館万歳。
    国書刊行会の編集者だった彼女がウェブで綴っていた膨大な読書日記と思考の軌跡の数々。
    書評読むたびに、(あたりまえだけど)作家だからか読書量すごいし聞いたことない作家がずらりと並ぶけど、二階堂さんの書評は質、量ともに群を抜いている。私はフェミニストではないから共感できない部分もあったけど、自分があまりにも自分らしいと感じる避けて読まない作家の本をたくさん読まれていて、揺さぶられた。(私はあまりにも私らしいと思うものはなかなか読まない)

    全開な人だったんだな、という印象。
    あけっぴろげではないけど、自分と物語にたいして全開な人。

    40代50代になった彼女の書評を読みたかった。

    彼女の青山正明さんに対する言葉をそのまま借りるなら、「死ぬ瞬間幸福に飛べたのならよいのだけれど。」

    図書館派というのもなんだかうれしい。
    そりゃ、この読書量じゃ全部買うのは無理か。

  • とても深い思索の糸に絡めとられてしまいそうに、なりました。
    生きていることの方が、死ぬよりも苦しいっていうことも、あるのかもしれないですね。死んでからのことは感じられないから、比較の仕様がありませんけれど。
    読んでいる最中、何度も何度も本も目も閉じて自分の思索の糸を辿ってしまいます。残酷なまでに増殖し続ける書物の世界に、たゆたいたい、そう感じさせられました。

  • 自分の好きな作家についての評文が載っているらしい、という事を知り手に取った。
    読み終えて既読、未読の本も含め、この方と自分は割と読書傾向が似ているらしい事が分かり、紹介された本の数々に改めて思いをはせると共に、その夭折を残念に思った。
    自分自身の感性をどうしても変えることができなかった故の結果だろうが……身の回りの好きなもの達を次々語る楽しげな口調が次第に変質していく日記文はとても痛ましく、結末が悲しい。

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著者プロフィール

1977年生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業。編集者。2003年4月、26歳の誕生日を目前に自らの意志でこの世を去る。亡くなる直前まで更新されたサイト「八本脚の蝶」は現在も存続している。

「2020年 『八本脚の蝶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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