書店繁盛記

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 211
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591094334

感想・レビュー・書評

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  • 数々の書店を経てジュンク堂池袋本店副店長として働く田口久美子氏が書店の仕事について綴ったエッセイ。

    好みの問題ではあるが、語り口がよく言えば軽妙、悪く言えば軽薄で私には読みづらかった。また、アメリカや韓国の書店事情やアマゾンに代表されるオンライン書店の話など、興味深い内容であるにもかかわらず、「多分こうだったと思う」というあいまいな書き方が多いのも気になった。もとはブログに掲載していた文章を書籍化したものなので、そのあたりに原因があるのかもしれない。

    後半の新宿店開店準備や他の書店員たちを紹介するくだりはまずまず面白かった。以前働いていたリブロとジュンク堂の選書方針の違いや開店記念トークイベントの采配、分野ごとの選書方法など、書店を作り上げるというのはこういうことなのか、と興味深く読んだ。

    本書の刊行年は2006年。当時よりさらにオンライン化が進み、リアル書店は厳しい経営状況が続いているだろう。一購買者としては、オンラインの便利さも享受しつつ、書店員さんたちが一生懸命選んだ棚をながめながら、思いがけない本との出会いを楽しむ場がこれからも存在してくれることを強く願っている。

  • 以前から気になっていた一冊。

    著者の田口さんはジュンク堂池袋本店副店長。1973年に
    キディランド八重洲店で書店員としてのキャリアをスタート
    して、76年に西武百貨店書籍販売部門(現在のリブロ)入社、
    各店を経て池袋店店長。その後、現職に。

    一言で言ってしまえば、リブロ、ジュンク堂での内輪話。
    リブロとジュンク堂の運営方式の違い、「客注」に対する
    書店員の本音、本棚の作り方など、本好き・本屋好きには
    興味深い話がてんこ盛りで、おとぼけタッチな書き方とは
    裏腹になかなか読み応えがあった。

    本屋に行く楽しみが確実に一つ増えたし、本屋に行って
    店員さんにも話しかけたくなってしまった。

  • 本屋さんの裏側が見える本。おもしろいけど、大変だ。特に「本屋さんの事件簿」を興味深く読んだ。それにしても、本の置いてある棚の上に座って読む人って…あきれて、ものがいえない。どこにもかしこにも田口さんをはじめとする書店員の、ジュンク堂書店の、良い意味でのプライドが感じられて、それもまたおもしろく読んだ。手に本を取って内容を確認する楽しみは何にも代え難い。時には、書店員のオススメに惑わされるのも楽しい。自分が気がつかなかった視点に気づかされる、だから嬉しい。それにしても、私の好きな長野の平安堂書店にリブロ関係の人がいたとは…地方の書店にしておくのはもったいない、と思っていたけど、やっぱな!(笑)納得。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「書店員のオススメに惑わされるのも楽しい」
      判ります!
      実は当時、東下りした時には、必ずリブロに寄ってました、、、まぁお財布の中身が軽か...
      「書店員のオススメに惑わされるのも楽しい」
      判ります!
      実は当時、東下りした時には、必ずリブロに寄ってました、、、まぁお財布の中身が軽かったので、見て刺激を受けるだけでしたが。。。
      2014/03/18
  • 春に、久々に訪れたジュンク堂池袋店で棚を見て、「圧倒されるというのはこういうことか」というくらい圧倒されて帰ってきた。
    それほどまでにまぶしかった天下のジュンク堂だが、困ったお客さん、客注の大変さ、ジャンルわけの苦労…悩むところはどこでも同じなんだなと共感ポイント多数。話題本の在庫確保に右往左往するのはジュンクもなのね。
    そして、田口さんがかつていたリブロとジュンクの棚作りの違いをとても興味深く読んだ。個人的にツボだったのは、各章タイトル下のイラストにあるコメント。例えば、「きみたちが嫌いなわけじゃないよ」と言いながら返品作業、とか(笑)こんな細かいところにもさりげなく共感ポイントがあって、読んでいて嬉しくなった。
    またそのうち、刺激を受けにジュンク堂池袋店に足を運んでみよう。

  • <u><b>なぜ本屋さんにならなかったんだ!!</b></u>

    <span style="color:#cc9966;">本屋さんの棚には、私たちの未来がつまっている-。書店の店頭で日々奮闘する若い書店員たちの「右往左往」を書きとめた一冊。本屋さんの事件簿、大型書店オープンまでの道のりなど、書店の裏話が満載。 </span>

    この本を読んで、本気で本屋に転職しようか悩んだ。
    本屋さんのプライドや書店の裏側をたくさん見ることができる。本屋ってアツいな!かっけー!!「本」に少しでも興味がある人にはおすすめ。
    現在は、文庫化されてます。(ちくま文庫)

  • 前作は西武リブロ時代で、こちらはジュンク堂での話。
    のっけから、大学の先生(御厨貴!)と生徒の一日書店ツアー。「書店で」本を買わない学生達の為に、だと。永江朗がツアコンだって。コレが平成だ、あと少しだけど。
    客注システムがうまく機能していない背景はわかったけど、それでも、それはそちらがわの都合でしょ。個人的には本を買わずに図書館で済ますようになった一因でもあります。まあ、万引きがないお陰でオンライン書店が儲かるのだ、には膝ポンだったけどね。リアル書店は大変だ。少なくとも「情事OLの1984年」ってメモを見せられて、吹き出さない自信が私にはありません。

    青山ブックセンターの倒産騒動、あったなあと懐かしい話もあれば、イザベル・アジェンデの本が自国で買えないと嘆く、チリ人のおじさんが印象的だったり。
    養老孟司のトークショー、日本語の特性については目からウロコ。ジュンク堂新宿店のオープニング話、本好きにはとても興味深いと思う。「重複置き」をしないジュンク堂がクロスオーバー著者の扱いに困る話もね、ニヤリ。

    あと、書店員さんには申し訳ないんだけど、再販制度維持の重要性がピンと来ない。

    ジュンク堂って大分店もあるんだー。

  • 店長の著者が綴る書店、出版界の変化や販売の方法、書店員の奮戦記。 書店の日常や、その中で起きる小さな騒動などが、ユーモアたっぷりに書かれている。困ったお客様のこと、より魅力的な棚やPOPの作り方、デジタル化が進む書店業界の事・・・。書店の舞台裏をのぞいてみませんか。

  • 書店という商売は、何故か神秘的で崇高で不思議な魅力を秘めている。
    いつもお世話になっているジュンク堂の裏側・本音・秘密にちょっと触れられた気がする。

  • 本の流通や棚づくりなど書店のお仕事について面白く読んだが、この著者の語り口はあまり好きじゃない。

  • 書店員さんの仕事、業界ネタ、苦労、棚の作り方。一般人なので難しいところもあったけど勉強になりました。小売ならではの肉体労働と大変なお客さんなんかは共感しやすい。改めて、リアル書店含め書店員さんを応援したい!
    ただ、エッセイは文章に著者の人柄が出ますよね。内容は興味なかったけどこの人間味が好きだ!、って多い。この本はそこが…。 なんとなーく、文章のときどきに、高飛車?嫌味?な印象を受けました。

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著者プロフィール

白梅学園大学特任講師

「2021年 『女性の生きづらさとジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田口久美子の作品

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