子どもと一緒に家のこと。―おてつだい12か月

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591097236

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  • ◆引用
    p57…子どもが「熱っぽい」、「お腹がいたい」、つまり、ちょっと具合がわるいと訴えるようなとき、「大丈夫?」と声をかけると,どうも、その気になってしまうようなのだ。その気になって、容体がわるいほうへと傾いていく。「大丈夫?」ではなくて、「具合がわるかったのに、きょう一日よくがんばったね」とか、「早く寝よ。よく眠れば、朝、きっと元気になってるからね」と声をかけると、子どもは安心して、回復方面に向かう。母たるもの、明るくすっくと立っていたいと、思わされる。
    p128…ことばには、命がある。「アイツ、ホントニムカツク。シンジャエバイイノニ」こころも凍りつきそうな台詞が、耳に飛びこんできた。電車のなかでまどろんでいたわたしは、はっとして目覚め、声の主をさがす。まあ。この台詞を吐いたのは、可愛い顔した高校生とおぼしき女の子。そのむかし、かく言うわたしも、相当不穏な台詞をまき散らしたおぼえがある。いまの女の子たちほどじゃない、とは言うまい。当時の大人たちを凍らせたことでは、たいしてちがいがないような気がするから。
    すごみのあることば、ひどいことば、わるそうなことばに憧れる時期というのがある。なぜだかわからないけれど、わるくて趣味のよくないことを好んでいた。ことばだけでなく、へんてこな格好をしていた。(中略)うつくしいとか、正しい、善良といったことが煙たくて、恥ずかしいとすら感じている自分が、暗いトンネルを歩いていく。高校生くらいかな。
    その姿を追いながら、いまの子どもたちのこと、決してかんたんには笑えない、とあらためて思う。軽蔑なんか、決してできはしない。
    トンネルを抜けて何年もたち、気がつくと、いつの間にやら、凍りつく側の役がまわってきていた。わるい時の
    (!)少年少女を見守る大人に
    あのころからきょうまでの間に、学んだことってなんだろうか。
    ええとそれは、おそらくことばには,命があるということだ。
    ことばに宿る不思議な力を,あなどってはいけない。「シンジャエバイイノニ」と呟いたあの子の耳元に、そっとささやいてみたい。
    「自分の吐いたことばは,自分の心を引っぱるよ。ことばひとつで、この先、少なくとも「方面』が決まる」と。
    p140…どうしても将来の職業と結びつけなくてはならない場合、何がなんでも
    結びつけたい場合は、親も相当以上の覚悟をして,子どもの習いごとを支え、導かなければならない。わたしにはそんな事情も、そんな気持ちもないので、ただひたすら見物を決めこんでいる。子どものやる気がどれほどのものかということに、親だってほんとうの意味ではかかわれないとも思うし。見物しながら、習いごとというのも煎じ詰めれば、出会いだと思わされている。自分というものとも出会っているらしいところが愉快。
    (中略)
    「お母さん、ピアノって、弾けるとどんないいことがあるの?」ある日、八歳の子どもに真顔でたずねられる。「どんないいことがあるか、それを見つけるために練習してるんじゃないの? ね、見つかったら、こっそりおしえて」
    p210…おっぱいとうんちの日々に突入。いろいろなことがすべて、おっぱいとうんちの合間のことになる。(中略)いたずらに情報にたよったり、ひとと自分を(どこかの赤ちゃんと、自分のうちの赤ん坊を)比べたくなったりするのも、にぶくなっている証拠だ。自分が腕に抱いている赤ん坊が、何を欲しているかを感じようとするのも忘れて、世のなかの平均値に気をとられるなんて……。おっぱいが足りているか。いつごろから食べものを与えるか。母乳はいつまでやるか。着るもののこと。外出のこと。風邪気味の日の入浴のこと。赤ん坊を観察しながら、自分たちのやり方を決めた。(中略)夏の扇風機、冬の灯油ストーブのときは、赤ん坊に、これこれこういうものなのだ、と説明。「近づき過ぎたり、さわったりしないこと。これでよし。
    家の者たちは赤ん坊のおかげで、本来もって生まれたものを思いだすように暮らすようになった。ひとつひとつの事柄をじっと眺める習慣ができたおかげで、備え過ぎることにあるあやうさを感じるようになる。先まわりして準備すると、困ることも、具合のいいことも、ほんとうにはよくわからないままになってしまう。
    ある日、誰かが言う。「困ることが起きたら、そのとき、みんなで困ることにしない?」赤ん坊が風邪をひかないように、虫にかぶれないように、(中略)こういうことを気にしているのはわるいことではないが、まずは、何が起きているか、赤ん坊が何を感じているか見てやりたいと思うようになった。判断は、すべて、観察のあとのことだ。備えることがあるとしたら、あまり急ぎ過ぎないでいこうという、決心かな、と思ったりする。

  • この本は帯も素晴らしい。食卓を背に、親子が語らっている帯。
    子どもと一緒の生活は娯楽と言い切る著者が羨ましくなった。我が子と一緒に暮らしてみたかったな。まあ、私にとっては夫が娯楽か。
    おうすを点てて干菓子を戴く、胡麻を焙烙で炒る、朝顔を育てる、球根を植え香り高い花を楽しむ、繕い物をする、タイムを計って家事をする…日々の生活を楽しみで真似したいことが増えた。作中に出てくるおすすめ書籍もバラエティーに富んで良かった。読んでみよう。

  • 家の仕事は、誰のためでもなく、ただ自分の気がすむように好き勝手やっていると、ふみこさんはいう。 そうやって言い切ってしまうって素敵だ。 みんなのためにやっている、なんて言われたら家族はありがたくも反発してしまうんじゃないか。 「誰もそこまでたのんでない」って。 素晴らしい家仕事もそれではかすんでしまう。 そこまで見越して(謙遜もあるだろうけど)きっとそう言っているんだろうな。 だからふみこさんは好きだな、と思う。
    この本は一年12カ月をタイトルにその月の行事や出来ごとなんかのエッセイが書かれている。 普通のエッセイとイラスト付きエッセイが交互にならんでいて、軽く読みやすいように作られています。 おてつだい12カ月と書かれていますが、お手伝いの記録は少なめ、生活の中のエッセイという感じ。 家仕事なんてのは繰り返しの仕事、それゆえにどうやって苦にならないようにしていくか、「あきない」ようにする努力が必要になります。 たとえばこんな努力はどうだろう、私がいいなと思ったところ。 「それがたとえ子供であっても、わたしも最初は身構えていた。いいところえをみせようとし思ったりして、くたびれる。 でも、「慣れよう」と決心し、かっこつけるのは一転限りという所に到達。あとは、ほおっておく。 本日のかっこつけは、フライドポテトをつくる一点。」 ね、素敵でしょう? こんなふうにこの本にはエッセンスが沢山含められています。 家事に疲れてしまった時なんかに読んでもらえたらいいな、勿論どんな人が読んでも面白いと思うよ!

  • とても良かった。この人の本をもっと読んでみたい。

  • 大事なのは、ちゃんと見せる、だ。
    してもらいたいことをして見せる。こんなふうなやり方がおすすめよ、というのを見せる。
    食卓を台布巾で力を入れて拭く。本を大事にする。ノートは最後まで使う。パンツや靴下はこうたたむ。上着にブラシをかける。洗濯ものを干すさおをきゅっと拭く。ほうきとはたきを使う……。

  • 子どものお手伝いについてがっつり書いてあるのかと思ったら・・・どっちかというと歳時記エッセイって感じでちょっと期待はずれでした。
    でも、味わいのあるイラストがあったかみがあって素敵でした。

  • 月ごとの行事や日常に沿ったお手伝いが描かれています。

    3歳の息子は季節や月を勉強中なので、
    「へ~、ふ~ん」という反応。ちょっと難しい気がしました。

    1,2年先にもう一度借りたいなーって思います。

  • 毎日の家のこまかい雑事や育児さえも娯楽のごとくにたのしむ姿勢が頼もしくうらやましいです。子どもとのほどよい距離感も見習いたいです。

  • 前半はこの題名の通りの内容で当たり障りがなかったのだけれど、後半は「夫婦、親子でも縁があって一緒にいるだけ、ほどよい距離感で」の考えが表に出てきておもしろい。

    言葉には命がある。「朝、元気になっているよ。」「一日、よくがんばったねー」と声をかける。

    基本的に「観察、のち判断。」備えすぎの危うさ。急ぎすぎない。

    子どもに価値を吹き込む。傘を直しにいく。子どもは見ている。母ちゃん劇場。
    できること→球根、乾物屋でおやつを買う、祝い箸袋。

  • 子どもといっしょに家のことをしているシーンは殆ど書かれていない。
    主婦の、子どもと生活することについての短いエッセイのまとめ。
    お母さんというより、母さんという表現が似合う人だ。
    自分の母がどう思って子供と生活しているのか、考える機会になった。
    いろんなところに連載したエッセイの寄せ集めなので、だらだらして統一感がない感じ。

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