チャーリーとの旅

  • ポプラ社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591097267

感想・レビュー・書評

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  • 問答無用の名作なので名前は良く見ていましたが、図書館を舞台にした小説に出て来たのを切っ掛けにとうとう読んでみる事にしました。
    時期は詳しく書いていませんが多分1950年代頃のアメリカなんだと思います。
    老犬チャーリーと愛車ロシナンテでアメリカ一周をした旅行記です。国民的作家でありながら祖国の事を知らないのではないかと考え、旅に出るという男としては憧れのシチュエーションです。
    晩年にこういう旅行をしてみたいと思う人は多いでしょう。キャンピングカーで愛犬と共に各地を巡る、なんともワクワクするし、歩きや自転車程大変ではないというのもポイントです。
    色々な人々との出会いを繰り返しながら、アメリカ南部で黒人に対する差別を目の当たりにした彼の嘆きがこの本の一番突き刺さる所だと思います。
    公民権運動が実を結ぶのは1964年。ビートルズデビューその時です。わずか56年前の事です。それまでは黒人の権利等無きに等しいものだったし、それ以降も綿々と消える事なく未だに差別、対立は続いています。
    未だに黒人への差別が続いている事を氏が知ったらさぞ嘆く事でしょう。

  • スタインベックが、愛犬のチャーリーと二人(?)で米国横断の旅に出る。スタインベック58歳、フランス生まれのプードル、チャーリーとトラックを改造したキャンピングカーでニューヨークから北へ行き、ナイヤガラの滝を通って西へ。途中シカゴで奥さんと落ち合い、旅は小休止。その後またチャーリーと西を目指す。
    カーナビなの無い時代の一人(人間が)旅は、道案内が大変。時々迷って地元の人に聞いたり、モーテルに泊まったり、キャンブをしたり。触れ合う人々との会話が面白い。アメリカの地理や州の特性が分からないので、想像しながら、時には地図で確かめたりしながら読んだ。

  • 居住空間を持つ車で、犬と一緒に旅をする。憧れだ。が、規模が大きい。アメリカ合衆国を北から南、西から東へと、一人で運転して移動していくのだ。アメリカの州にも都市にも疎くて、地図を用意して読めばもっとよくわかったのに、と悔やまれた。今よりもっと人種差別が激しかった時代だろう。南部の旅でぶち当たる、黒人奴隷に関する話や、今目の前で起こってる教育をめぐる衝突が、リアルだった。

  • アメリカ全国を美しい描写と様々との人との会話で回る 最後の方は一気に社会派になる 現代の差別主義者も大っぴらにここまで言うことはないと思うが、思うところは一緒なのだろうと、スタイベックが出会った差別主義者の話を読みながら

    チャーリーが可愛いのは勿論だが、スタインベックは1人格(犬だから犬格?)として扱っていて話している様子も楽しい スタインベックは今のアメリカをどう描くのだろうか 晩年の作品なので懐古的なところもしばしば見られるけど 訳も古臭くなくとても読みやすい 絶版なのが残念

    しかし旅の最中でこのように深く話せるというのは、良いよね…好きなくだりは、あるモーテルの親子の話で都会に憧れ美容師を目指す子と宿の主人として燻っている父、そして間に挟まれるスタインベックのところ

    知っている場所が出ていると嬉しいものだ しかし大分今と様子は異なるだろう(1960年代の話なので) でもゴールデンゲートブリッジとサンフランシスコの都市を眺めているところで見える風景は今とそう変わらないのではないだろうか

  • 著者1902年生まれ。58歳の旅。1960年の話でしょうか。衣食住の場を兼ねたロシナンテ号を運転し、スタンダード・プードルチャーリーとアメリカ1周16000kmを4ヶ月かけて移動。自然に圧倒されたり、土地の人たちと交流することもあれは、黒人蔑視の出来事にひどく気落ちしたり、モバイル住宅を称賛しつつ街のインフラのための税金逃れの矛盾を憂いたり、チャーリー急患やロシナンテ号パンクににてんやわんやしたり、ところどころ飛行機でひとっ飛びでロシナンテ号に行追いつく夫人と再会したり。旅の全記録ではなく、気持ちが高まって書きたいところだけ書く行為で面白くなっている本に感じました。

  • 半世紀以上前に、アメリカを自動車で一周した大作家の旅行記です。

    一緒に旅したプードルのチャーリーについては、あまり触れられていません。
    それにしても、このような人にチャーリーはよく付き合ったと思います。

  • 「怒りの葡萄」のスタインベックのロードノベルをあの竹内真が翻訳してるのか!と、そんなことすら知らずに手に取った本書。そして本書は小説ではなく紀行文だった、全く無知未知は汗顔の至りだが、そんだけ自薦知識のないまま読めるのも読書の醍醐味。

    ノーベル賞受賞の小説家が、4か月をかけて一番勢いのあった時代のアメリカを、犬を相棒としてキャンピングカーで旅する。面白くないわけない!で、実際これはもう相当に面白い。俺もリタイヤしたらオンボロ中古車でも買って旅に出ようと真剣に思ったくらいに面白い。
    アメリカを車で旅する文学と言えば「オン・ザ・ストリート」だがあんなクレージーな旅に疲れを覚える歳になったら、絶対こっちをお勧めする。

    スタインベックと愛犬チャーリーの自然体がいい。長時間の運転で目が疲れるし、荷物を積みすぎて走行中にバラバラ散らかるし、挙句の果てに重量オーバーでパンク…。
    孤独の旅と言いながら、道中面白そうな人とは社内のキャビンや地域のバーやカフェで呑んだり食ったり親交を温め、時には奥さんを呼び出し、時には旧友を訪ね…。
    チャーリーの期限が悪いと旅を中断して散歩をしたり、一緒に寝たり、体調を崩すとオロオロしたり…。

    のんびりとほんわかとにぎやかにずっこけムードもありつつ旅は続くのだが、テキサス篇あたりから少し空気が変わってくる。それでもテキサス篇はリスペクトを感じさせる文章なんだが。

    南部篇で、スタインベックの文体が変わる。黒人差別の現状を目の当たりにするのだ、折しも1960年代のアメリカ、キング牧師の台頭のほぼ同時期である。スタインベックは差別の現状、ヘイトスピーチの現場を見て怒りを爆発させる…これもアメリカの現実なのか!

    そのスタインベックが恥じたアメリカはいまだに残っている、そう彼らはトランプを選んだし、BIM運動を批判する連中はたくさんいる。

    いやいや人のことなどいえやしない、この国にも在特会だのネトウヨだの週刊誌だの人権をないがしろにする連中がうようよいるじゃないか。

    人生半分以上リタイヤ決め込むような歳になったら、旅に出るのもいいなぁと思えた1冊。だが人生経験を積んでいても情けなく恥ずかしくなるような光景をいくらかは見る旅になることを覚悟しておかねばならないんだろうな。

  • 展示テーマ:犬と旅する本

  • 4

  • 時代は少し違うけど,当時のアメリカでの黒人差別の現実にぞっとした。

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