陽気で哀しい音楽に

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591099162

感想・レビュー・書評

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  • 本がなかったら生きていけないが、音楽はなくても我慢できる……。そんな私に、この本は音楽好きな人の思いを言葉で橋渡ししてくれた。

    レコード店を中心にした若者の物語。

    作成日時 2007年11月30日 07:52

  • 175〜6ページの文章にグッときた。
    この小説の主旋律ではないんだけど、曲を聴いた後に残るリフやブレイクのような感触。

  • 主人公が新卒内定者の懇親会で吐き気がするほどに感じた違和感、自分がどこかに置き去りになってしまうような不安感、自分自身にも経験がある。

    いつも何かに喪失感を抱いてしまう。
    主人公にとっての「サニーデイサービス」の歌のように。

    2009年、今年、渋谷のHMVは閉店した。
    後継テナントはファストファッションのFOREVER21が入る。

    確かなものなんて、何もないし、全てが移り行くだけなのかもしれないけど、それでも、自分の意思で守りたいものだけは守っていきたい。
    世の中の流れに逆らうのも、安易な人間関係を否定するのも、そんなのはモラトリアムの戯言だと言われようとも、青臭いと言われても、何をブクログのレヴューで熱くなっているんだと思われても構わない。
    この小説を読んで、そう思った。

    ちなみに主人公はジャマイカン・レゲエのファンですが、読後の僕は爆音でジョイ・ディヴィジョンのライブ盤を聴きました。

  • 著者はレコード店勤務

  • 秋からクリスマスまで、レコード店で働く若者たちの話。自分との年齢のギャップはあるものの、音楽を絡めた話は楽しめました。


  • ゆるやかな感じが好き。大切なものが詰まった日々が、ちょっとずつ、スカスカになっていく、哀しさ。。じわじわ哀しい。。
    でも、最後のセリフが嫌い。所信表明みたい。。あの演説じみた話し方で、じわじわくる小説全体のリアリティや
    ささやかさのようなものが、壊されてるように感じる。

    あと、話している内容の意味がよくわからないところがあった。
    でもそんなに気にならない。

  • 渋谷の大きなレコード店でアルバイトをしているフリーターの聡史の季節の移り変わりとともに移ろっていく日々を描いた物語だ。哲学的なモラトリアムに、ほんの少しだけ村上春樹に似た匂いを感じた。

  • 雰囲気のよい作品
    モラトリアムの中で生きる気持ち、くすぶるだけで誰かに背中を押してもらいたがっているような、どこか頼りなく流されがちな青年が、文字から浮かび上がってきた。
    文章は上手いとは言いがたいけれども、晩夏から冬にかけて、何かが勝手に無くなっていくような、失われてゆくような季節と内容がリンクしていてよかった
    哀しいけれど陽気な喪失の物語でした。
    今はこんな時代なんですね。何十年か後に読み返したら、00年代後半に流れてた空気を思い出すことが出来るのだろうか。

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著者プロフィール

1961年、福岡市生まれ。百姓を志し、東京農大農業拓殖学科に進学するも、深遠なる「農」の世界に触れ、実践者となることを断念。側面から支援する側に回ろうと西日本新聞社に入社。2003年から長期連載「食卓の向こう側」の企画、執筆にあたる。

「2015年 『ながのばあちゃんの食術指南』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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