- Amazon.co.jp ・本 (1152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591100035
感想・レビュー・書評
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富山のビジネスホテルの部屋に置いていたので泊まったときに少し購読。トルストイの死に対する観察眼はやはり鋭い。名作は子供だけでなく大人が読んでも充分楽しめる。
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○『盲目のジェロニモとその兄』 シュニッツラー/山本有三 訳
弟を失明させた罪の意識に苦しむ兄は、自分の楽しみを捨て、放浪する弟に寄り添い続ける。が、ある日、弟が兄を突然なじりはじめた。生じた誤解、心が離れていく哀しみ・・・。衝撃のラスト、兄弟の心は果たして結びつくのか?
この数行の紹介文が短い物語で描かれている。
ピンときた勘は外れちゃいなかった。 兄は自分が苦しいから、失明させてしまった弟と一緒に、 弟が放浪好きだから、物乞いしながら旅をしている。
旅先の宿屋の店先で、歌の得意な弟ジェロニモが歌を歌い、 おあしを稼いでその日暮らしをしている。 ある日、見目の良い青年が馬車から下りてきて、 兄カルロの帽子に1フランを入れる。 その青年は、カルロが聞こえていない所で、目の見えないジェロニモに 「20フラン入れた」と嘘を言う。
おまけに、ジェロニモに、カルロに騙されているんじゃないか、と言う疑惑を植え付ける言葉を吐いて去っていく。
まるで悪魔の囁きだ。
それから、ジャロニモは兄を疑いだす。兄は、失明させてしまった負い目を背負っているだけに、ジェロニモの疑惑に強く言葉を言い返せない。ジャロニモの疑惑は、青年の言葉がきっかけになっただけで、以前から抱き続けていたものなんだと気付き、弟に捧げた自分の一生はなんだったのかと自問する。
自分を信じてくれない弟を捨てて自由に生きるか。40歳のカルロにはまだそれが出来る。捨てられた弟はどうなるだろう。カルロは見えない弟の世界を思い、弟の疑惑を晴らす為に小さな犯罪を犯す。
恐らく、弟は自分を失明させた兄を口汚くののしったり、自分の目になれ、と強要したりしたことはないだろう。目が見えなくなった事を受け入れ、自分に寄り添う兄に寄り添い返すことをしながら生きてきたんだろう。それがたった一言、見知らぬ人間の悪意のこもった言葉一つで今まさに壊れようとしている。
読んでいて、何故かゴッホの映画を思い出した。ティム・ロスがゴッホを演じた映画だ。この兄弟も、狂人の様に芸術に取りつかれた兄と、それを底のない信頼と愛情で支え続けた弟の物語だった。
兄のやってしまった事を知り、弟は自分への兄の愛情を無言のままに理解し、疑惑を消し去る。弟が兄の所業の意味を理解した時のキス。それ以外何も欲してない事に気付く兄。こんなに短い物語の中で、書ききってしまう古典の成熟度に小説は長ければ傑作になるのでもなく、書き込めば立派になるのでもない事を再確認した物語だった。小説好きは勿論、BL好きも絶対読んだ方がいい。決して安くはない本だが、これを読みたいが為に買ったが後悔全くなし!!
こんなに偏った読書傾向じゃ駄目だ、BLしか読んでないなんて…人生はメリハリが大切だ、よし古典文学でも読もう、シュニッツラーの『盲目のジェロニモとその兄』を読むのだ、んん?これはひょっとして兄弟萌えってやつじゃ…と言う具合になるから結局BLを読むのと変わらないんだよ、無限ループ(笑) -
小説の力をじっくり味わわせてくれる、すばらしいコレクション。特に印象に深く残ったのは、シュニッツラーの『盲目のジェロニモとその兄』。つまらないいたずらをきっかけに、盲目の弟とその兄の間に生まれる猜疑心と苦しみ、奇蹟のように訪れる美しいラスト。ほんとにいい小説です・・・。シュティフターの『水晶』は、雪山で遭難して一晩を過ごす幼い兄妹の、たわいないともいえそうなお話ですが、彼らが目撃する自然の圧倒的な力と美の描写がすごい。フロベールの『純な心』もよかったなあ。すごく高いけどすごく手元に欲しい(図書館で借りました)。
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所収の短編「一人舞台」(ストリンドベルヒ著・森鴎外訳)
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ちょっとメチャクチャ欲しい。
でも高いからちゅうちょする… -
デカッ! ちまちま読んでます。
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児童書扱いだわ活字がデカいわで油断していたけど、読んでも読んでも読み終わらない読み応え満点の1冊。結局、まる2日以上読了まで時間がかかってしまった。 大好きで思い入れの強い作品、有名な作品ながらも未読だった作品、名前すらしらなかった作家の作品など21編が収録されていて、この1冊で読めてしまうのが素晴らしい。しかも新訳はちょびっと。二葉亭四迷や森鴎外による翻訳作品が読めて、大満足!!! 年齢を問わずに、楽しめる一冊かと。お値段がちょっとお高めだけど、一家に一冊、ですかね♪