恋愛小説ふいんき語り

  • ポプラ社
3.90
  • (4)
  • (10)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 52
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591100059

作品紹介・あらすじ

小説への愛と好奇心みなぎるゲーム作家3人が、読みも読んだり全20作品。女性作家による珠玉の恋愛小説に挑んだ、魂の読書会・全記録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゲーム作家のお三方、麻野一哉氏、飯田和敏氏、米光一成氏が人気女性作家の手による恋愛小説の名作を読み解いていき、その作品の‘ゲーム化企画’を立てるという一風変わった文学批評鼎談。

    ベストセラー本を‘ゲーム化’した『ベストセラー本ゲーム化会議』日本文学の名作を‘ゲーム化’した『日本文学ふいんきがたり』に続く人気企画本第三段です。
    前二作が面白かったので今作も読んでみた。
    今回は‘ゲーム化’の部分はだいぶあっさり。
    批評に多くページが割かれている。

    連載時アラフォーだった三人のおっさんが、(主に)女性向けであろう恋愛小説という‘おんなの妄想’を読んでどういう感想をもったか、どう読み解いたかをざっくばらんに話している。
    「面白い」「主人公に惚れた」というような好意的なものもあれば逆に「理解できない」「きもい」と拒否反応を示しているものもある。これは男女の性差っていうより個人差だと思う。けっこう辛辣なので、熱狂的なファンが多そうな作品(『キッチン』とか『ナラタージュ』とか)の章は怒られやしないかと他人事ながらヒヤヒヤした。もちろん、感情的な感想だけじゃなくちゃんと批評されている。興味深いのは三人であーだこーだ言いながら作品を‘解体’してくうちにその作品への評価が変わっていくところ。‘他人の視点’を知ることで「そーいう見方もありか!だったらこう解釈してみては?」
    と意外な着地点を見つけ出すのがスリリング。
    特に綿矢りさの『蹴りたい背中』の章は自分が好きな作品ということもあり楽しかった。

    三人の内のひとり、飯田和敏氏はなんと離婚調停中の期間にこの仕事をやっていたそうです。地獄だー。

    • fookbookboo14さん
      レビューを読んでついコメントしたくなってしまいました。本棚を拝見させて頂いたところ、読んだ本が被っていたり、ブックガイドが好きだったりと共感...
      レビューを読んでついコメントしたくなってしまいました。本棚を拝見させて頂いたところ、読んだ本が被っていたり、ブックガイドが好きだったりと共感できることが多くて嬉しくなりました。未読の本も気になるものがあったので、登録しました。
      2018/01/10
    • 5552さん
      fookbookboo14さん、コメントありがとうございます♪
      ブックガイド、いいですよねー。
      本を読みながら本の情報が得られて二重の喜...
      fookbookboo14さん、コメントありがとうございます♪
      ブックガイド、いいですよねー。
      本を読みながら本の情報が得られて二重の喜び。
      読みたい本が増えすぎて「一生の間に読めるだろうか...」と心配してます(^-^;
      でも読むのはやめられない!

      こちらの本の前二作もおすすめです。
      2018/01/10
  • 著名な恋愛小説20作について三人のゲーム作家が好き勝手語りまくる、という本。面白かった\(^o^)/正直、未読の作品もあったのだけど、それぞれあらすじ紹介漫画が添えられているので、それを読むだけでも楽しめると思う。

     たとえば、映画化もされた江國香織『東京タワー』に関する語りの、「透はのび太君だ! 詩史はあるドラマチックガスの使い手!」なんて、あぁなるほどなぁと頷いてしまった。こんな感じで、ドラえもんやちびまる子ちゃんにたとえたり、浜崎あゆみのようだと放言してみたり、とても俗的に語っているところが、よくある読書エッセイと違って面白い。ゲーム作家三人衆による語りというだけあって、サブカルな香りが漂ってくる。タイトルからして「ふいんき」っておちょくっているし。でも、さすがに有名なゲーム作家というだけあって、鋭い切り口で語っているなぁっていう感想を持った。理解し辛い難解な事も抽象的な事も、軽い言葉や喩えでもって噛み砕いて語っている。笑える一方で読み応えもあった。

     それにしても『恋愛小説人権委員会』とは天才! "物語進行上の都合で作中の人物が「自殺」「レイプ」「中絶」などの悲劇に見舞われるのは、作者による人権侵害なのではないだろうか? という問題意識から発足した監視団体"(p.267)らしい。少女漫画とか大抵アウトでしょうね。ちなみに本著で取り上げられている小説の内、島本理生『ナラタージュ』、村山由佳『天使の卵』、『恋空』に恋愛小説人権委員会から勧告が出ているらしい。そうそう、『恋空』についての語りは、秀逸だった。ゲラゲラ笑った。恋空(笑)と思わない人が読んだら、苛々するかもしれないけど、いや、やっぱり爆笑すると思う。
     同じメンバーによる『日本文学ふいんき語り』も読んでみるつもり。

     ちなみにとりあげられている小説は下記の二十タイトル。
    『わすれなぐさ(吉屋信子)』『夏の終り(瀬戸内寂聴)』『不信のとき(有吉佐和子)』『キッチン(吉本ばなな)』『天使の卵(村山由佳)』『恋(小池真理子)』『不機嫌な果実(林真理子)』『センセイの鞄(川上弘美)』『東京タワー(江國香織)』『本格小説(水村美苗)』『蹴りたい背中(綿矢りさ)』『博士の愛した数式(小川洋子)』『ツ、イ、ラ、ク(姫野カオルコ)』『夜のピクニック(恩田陸)』『袋小路の男(絲山秋子)』『ナラタージュ(島本理生)』『魂萌え!(桐野夏生)』『生きてるだけで、愛。(本谷有希子)』『恋空〜切ナイ恋物語(美嘉)』『無銭優雅(山田詠美)』

  • ふいんき語りといいつつ、結構しっかり読んでいるんだなあと思った。
    ここにでてくる恋愛小説、読んだことのないのが多かったけど・・。

    下についてる注?までおもしろい。

  • an・anのセックス特集片手に店員に在庫を聞きまくった甲斐がありました。

    物語について語り合うって楽しいそおやな〜 うらまやしいYo!!
    ふんいき語りめっちゃおもしろそう! わたしもやりたいヨォ〜!!

    最後に強引にこの小説をゲームにするならっていうオチのコント何だけど
    いいたくなるぐらい面白い。
    小説好き・ゲーム好き・語り好きみんな笑えて、ちょっぽり恋愛について考えさせられる名著です!!

  •  3人のゲーム作家が、20冊の恋愛小説を読んで、「作品をゲーム化するとしたらどうする?」かを協議するというスタイルの、書評集。日本文学の名作を扱った前作『日本文学ふいんき語り』もおもしろかったけれど、より進化というか、間口は広く、奥行きは深くなっていると思う。
     変化のひとつは、こさささこの「あらすじマンガ」(ひとつひとつが傑作!「要約というのはそれだけで批評である」というテーゼのすばらしい見本)によって、ネタになる小説について誰でもさくっとイメージできるようになったことが大きい。また、3人のキャラづけも微妙に変化。前作ではどちらかというと「ゲーム化」の部分に重きがあった印象だったが、今回はそれが「読み方」の部分で三者三様の個性を見せる方向へシフト。たとえば『蹴りたい背中』や『博士の愛した数式』の米光解釈の明解さ。その解釈を引き出すワトソン的立場で素直な読みを提示しつつ、鋭い一言を混ぜる麻野。『ナラタージュ』に「恋愛小説人権委員会」(ご都合主義的な自殺・中絶・レイプなど作中人物イジメに対する抗議団体)から出されたイエローカードに象徴される飯田的義憤。それぞれが、作品をより多面的に味わうために的確に効いている。
    「読み方」が進化した代償として、「ゲーム化」というギミックはいくぶん後退しているけれど、これは今回の場合、成功だと思う。正直、いままでの「ふいんき語り」のなかでいちばん好きだ。
     読書の楽しみが拡がる……という陳腐な言い方はイヤだなー。「人それぞれの読み方がある」というお題目を、すごい楽しさで目に見えるようにしてる本。それと、そうとう緻密に編集しないと、こういう楽しさは出ないよなー。著者3人はもちろん、「編集」にかかわった人たちの本に対する「愛」が、よくわかる本だなーと思う。

  • ふんいきじゃなく、敢えて「ふいんき」。
    「天使の卵」「ナラタージュ」「無銭優雅」「センセイの鞄」「博士の愛した数式」あたりは読んでたからほうほう、という感じ。

    ゲームクリエイター3人が読んで、ゲームにするならどうするって考えるのが面白い。
    あらすじが漫画になってるのも緩い感じでいい。
    姫野カオルコが高評価なのは分かるなぁ。
    エイミー先生もやっぱり高評価。

    読んだことない話も読んでみたくなったなぁ。
    吉屋信子とか、寂聴さんも怖くて手出せなかったけど読んでみようかなぁ。

  • ゲームクリエイターの三人が恋愛小説を肴にあーだこーだと論じ合い、
    最後はその小説をネタにしたゲームを考えるという趣向の本。

    扱う本は、瀬戸内寂聴から江國香織、山田詠美まで幅広いし、
    なにより、自由に言いたい放題なのが本当に面白い。

    男性目線の恋愛小説論というにはマニアックすぎるかもしれないけど、
    三人の感想を読んでると自分も読みたくなってくる魅力がある。

    プロの方々に対して褒めるのは失礼かもしれないけれど、
    小説をゲームにしていく発送の豊かさはさすが。

  • ゲーム「銃声とダイヤモンド」「アナタヲユルサナイ」などに関わっている麻野一哉さんに興味を持って購入。鼎談形式で20作レビュー+ゲーム化構想してます。
    自分の好きなあれとかあれとかはなんてレビューしてくれるんだろう、とかまったり妄想できます

  • 【図書館】
    いいなー、楽しそう。
    取り上げられてる中で未読の2冊
    『ツ、イ、ラ、ク』と、『夜のピクニック』を読みたくなった。
    そして、あまりの酷評っぷりに『天使の卵』。
    「A・RI・GA・TO」!・・・うーわー、時代よのう。

  •  20冊の恋愛小説をゲーム作家三人でゲーム化をこころみるシリーズ。もちろんゲーム化会議は引き続き行われているのだけれど、もう本について三人がわあわあ語るだけでもいいんじゃないか。深読みタイプの米光さんの存在で、話がすごくおもしろいところに転がっていって楽しい。 こういう読書会みたいなことしたいなあ。

全10件中 1 - 10件を表示

麻野一哉の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×