([か]1-1)古本道場 (ポプラ文庫)

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本棚登録 : 307
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591103494

感想・レビュー・書評

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  • 古書店を巡りながらの読書ガイド本だが、構成がたいそう興味深い。
    岡崎武志さんが古書及び古書店の師匠。
    その弟子の角田光代さんが、師匠のミッションを達成しながら古書道にまい進していくというのが、この「古本道場」。岡崎さんの解説と角田さんのレポートは書体が変えてある。
    写真も随所に配置され、「猫ストーカー」の浅生ハルミンさんの地図で目指す古書店の位置も分かるようになっている。

    楽しくてたまらないのは、新たなミッションの旅が新たな発見の旅にもなっていて、まさに自分もその場にいるかのような感覚で読めるところだ。
    およそ古書店に足を運んだことのある方なら、何度も頷かないではいられないだろう。
    最初の指令は「神保町で、子ども時代に愛読した本を探せ!」である。なんと粋な指令だろう。
    達成後は、訪れた古書店と入手した古書について岡崎さんが解説するという構成だ。
    造詣の深い岡崎さんの語りが、なんとも面白い。
    思わず笑ったのは、渋谷に行くという指令のあとの角田さんの言葉。
    「ああ、なんという試練だろう。渋谷は、私が世界中で最も苦手な町である」
    おお、私もですよ、角田さん。でもちゃんと行ったのはさすがです。

    銀座で方向音痴の苦しみに遭遇し、早稲田通りでノスタルジーを味わい、青山・田園調布で昭和初期の豊かさを再発見し、ホームの西荻窪で均一台を狙い、鎌倉まで足を延ばして(ここでは米原万里さんのお宅にお邪魔している)再び神保町へ。二度目の神保町は「もう、こわくない」のだ。
    約一年かけた道場での修行で、いつの間にか師匠超えを果たした角田さん。
    特別編では海外の古本屋さんにも足を運んでいる。
    「ガープの世界」をガイド代わりにウィーンの街を散策するなんて、羨ましくてヨダレが出そうだ。(映画版はロビン・ウィリアムズだった・・涙)

    特に印象的だったのは、早稲田通りの「平野書店」での一場面だ。
    最底辺の無知に甘んじていた頃の不安と心もとなさを、棚の前で述懐する。
    知識の分厚い壁の前で無力さに打ちひしがれていた頃。
    そして、何を読んだら良いか分からないときはここへ来ればよいと語る。
    ここが、とてもとても良く分かる。まさに私もそうだった。今もさして変わらないが。

    もうひとつ。青山の「古書日月堂」でのこと。
    古書店に売られている古書以外のもの。昔のぽち袋だの包装紙だのポスター、パンフレット、黄ばんだ絵葉書などにたまらなく魅了される場面。
    ああ、ここもすごくよく分かるなぁ。
    見知らぬ誰かの大切な歴史の一片に触れたかのようで、素通り出来ないのよね。

    誰かが一度は読んだ本たち。だからこそどことなく親しみがあって懐かしくて、「おいで」と手招きされているような感覚になる古書店と棚の古書たち。
    誘われるがままに出向きたいが、今はその時ではない。
    規制が解除されても問題は山積みだろう。真の解決はいつのことやら、だ。
    でもどれほど先であろうと、そしてその時私がこの世にいようといなかろうと、この本をガイドにどなたかが古書店を訪れて下さることを願っている。
    それまで、古書店には大きなエールをおくりたい。
    その先にある幸せのための、先行投資のレビュー。

    • nejidonさん
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。
      いえいえ、いくら何でも褒めすぎです。
      「図星だ!」にはつい...
      hiromida2さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。
      いえいえ、いくら何でも褒めすぎです。
      「図星だ!」にはつい喜んでしまいましたが・笑
      私の方こそ、hiromida2さんのレビューをいつも楽しませてもらってます。
      私も映画ブログというものを運営していたのですが、ブログサービス停止と共にやめてしまいました。
      ブクログの存在さえ知らなかった頃の話です。
      こちらでは読んだ本だけ載せていますが、映画好きであることに変わりはありません。
      これからも、楽しい作品に出会いましたらどんどん紹介してくださいね。
      必ず読みますから!! ありがとうございました!
      2020/04/24
    • hiromida2さん
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      あたたかいコメントありがとうございます。
      こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。こんなご時世ですが...
      nejidonさん、こんにちは(^^)
      あたたかいコメントありがとうございます。
      こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。こんなご時世ですが、何とか人間の良き知恵を信じて乗り切っていきましょう。nejidonさんもお体に気をつけて……ありがとうございました。また本棚覗かせて頂きます(^O^)
      2020/04/24
    • nejidonさん
      hiromida2さん、再訪して下さってありがとうございます!
      人間の良き知恵を信じて・・素敵な表現ですね。
      嫌な気分になることばかり意...
      hiromida2さん、再訪して下さってありがとうございます!
      人間の良き知恵を信じて・・素敵な表現ですね。
      嫌な気分になることばかり意図的に取り上げるメディアには日々うんざりしています。
      世の中を混乱に陥れて、そしてそれに迎合する人たち。
      これでは戦争中と変わらないではありませんか。
      せめて私たちは賢くありたいものです。
      やるべきことをやって、穏やかに過ごす。今は忍ぶときです。
      共に頑張りましょう。お身体大切にお過ごしくださいね。
      2020/04/25
  • nejidonさんのレビューを読んで古本の世界が知りたくなり、借りてみた。

    角田光代さんが、岡崎武志さんからのお題をクリアすべく、都内近郊の古本屋を訪ね歩く。
    「古本」というとなんだか通な響きがして、年を取るほど敷居が高く感じてしまうのは、私だけだろうか。
    そんな人には、角田さんの素人目線の語り口が、敷居をグンと下げてくれる。

    米原万里さんのお宅を訪ねた話も出ていて、すごく得をした気分になった。

    古本と言えば、神田界隈と思っていたが、高級住宅街の田園調布や荻窪などにも個性的な古本屋さんがあることが分かる。
    本の窓口は図書館、の私だがコロナが落ちつたら古本屋巡りもしてみたい。
    2020.4.26

  • 古本の世界に足を踏み入れたくなった。
    直木賞を受賞する前の若かりし頃の角田光代さんが、弟子という立場で東京と鎌倉の古本屋さんを巡る様はどことなく眩しく、キラキラしている。

    『古本屋が媒介となって、縦横無尽に広がる知識の糸』とは、何とまぁ素敵なフレーズ。

    それにしても、本書にはたくさんの文豪が出てくるのだけど、全然知らない。初めて名前を聞く人はがり…。自分の無知さを痛感した。

    わたしも古本道場に弟子入りするかな。

  • 図書館で偶然手に取った。角田さんの作品にハマり込んでいたから。

  • なかなか楽しい本でした。

    確かに古本屋がある町は素敵だと思う。暇な1日、ぶらっといって半日くらい棚を眺め時間を潰せれば最高。最寄りの駅に二件くらい有ればなお良い。

    自分の住んでいるまちの駅には、古本屋どころか、まともな新刊書店もない。本書で紹介されている古本屋も、自分がかなり利用した、東京駅、銀座界隈の古本屋も粗方無くなってしまった。寂しい限りだ。

    学生の頃は、もう30年以上前たが、古本街に毎日通っていながら、本好きだったにもかかわらず、殆ど利用しなかった。今思うともったいない事をしてた。

    現在は日々増殖する本と、妻との戦いに明け暮れているが、また、この本を片手に知らない町を歩きたい。

  • 「師匠」岡崎武志が「弟子」の角田光代へ、各地の古本屋街へ行くように指令を出す。角田は鋭い感性で次々と岡崎の意図を見抜いていく。角田の鋭さと岡崎の懐の深さが絡み合っていてなかなかスリリングだった。これをもって古本屋街を巡ってみたい。

  • 書きたいことがまとまっていないけれど、まとめる余裕もないくらい書きたいことがたくさんあるので、もう書き殴ります。

    昼下がり、自宅にて、紅茶を飲みながら読んでいた本…

    だったのだが、気付いたら(世界不思議発見!(今日はメキシコだった)などを見ていたら)

    もうすぐ夜中(朝?)の4時を過ぎそうじゃありませんか。あ〜お腹空いた。

    でも、本の続きを読みたくって、夜更かししてしまった。

    まずこの本は、サンフランシスコの紀伊國屋で見つけて、

    すごく欲しくなったけれど高かったので泣く泣く諦め、(日本から輸入されていたので高かった)

    帰国して池袋のLIBROでやっとこさ買った本である。

    神保町からはじまり、恵比寿、渋谷、代官山、東京駅、銀座、西荻窪、鎌倉など、様々な場所の古本屋を紹介している。

    特に恵比寿、渋谷、代官山あたりの古本屋は文面からして非常にお洒落そうで、若者も入りやすそうな古本屋であり、行ってみたくなった。

    ところで、神保町には、絵本専門の古本屋があるそうだ。

    私には、ずっと探している絵本がある。

    小さい頃に読んでいた絵本で、クリスマスがテーマの絵本であり、絵本の内容はあまり覚えていないのだが、描かれている絵がそれは本当に綺麗で素晴らしい。

    だが、もう一度見たい、と本屋に行った際はいつも、絵本コーナーには足を運ぶのだが、この本を見つけたことは一度もない。

    神保町の絵本専門古本屋に足を運んでみようか。

    また、本書の中に出てきている、アメリカの中産階級の家庭がテーマになっている写真集とか、とても面白そうだと思った。

    今まで写真集を買ったことはなかったが、この本の中で引用されている、片岡養男さんの文章を読んで、写真集を買いたくなった次第である。

    「写真集のなかの何枚かの写真、そしてすでに何冊あるとも知れない膨大な数の写真集は、より多くの視点から世界を見て、理解をより正しくし、より深めようとする無限に近づく試みだ。」

    狭い視野を写真集が広げてくれるんですね。狭い視野の私にはぴったりである。写真集、買おう。

    古本屋には、古本以外を売っている店も少なくないらしい。

    例えば、絵はがきだとか、紙だとか、コインだとか。

    一見近づき難いかもしれない古本屋だが、古本以外の物も置いてあると、多少は、古本屋を近付き難く思っているお客さんも入りやすくなるのかもしれない。

    最後に、本書の「実践編」に載っていた本たちを見つけて、制覇するぞーと心に決めた。

    知らない作家さんの名前ばかりだったけども、読んでみよう。それらの本を探してみよう。

    一緒に古本屋街を歩いてくれる友を見つけなければ。

    街歩きをしながら古本屋に入り、何冊かじっくり選んで買い、喫茶店に入って、購入した本などをゆっくり眺めながら、紅茶を飲みたい。

    読書の秋、芸術の秋ということで、読書や写真集にとことんハマってみようか。

  • ラストの世界古本屋巡りが好き(´ε` )
    各国を飛び回る角田さんの古本力は師匠越えしてると思うんだ。

    師匠の文章やノリがキッチュで頂けない。キッチュな古本屋たちがキッチュに紹介されていて、ぜひ寄ってみたくなる。
    一体どういう意味何だろう?・・・調べたら負けかなと思ってる。

    渋谷が皆に嫌われていて悲しい(´;ω;`)

  • 古本めぐりはここで学べ!
    といっても人からあれを探せ、これを探せと言われるわけではない。自分の感性で本は探すものなのです。これこそ古本修行。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。著書に『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)、『紙の月』(柴田錬三郎賞)など多数。

「2020年 『自転車に乗って アウトドアと文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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