クラウディアのいのり (絵本のおもちゃばこ)

著者 :
制作 : 小林 豊 
  • ポプラ社
4.20
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  • 本棚登録 :46
  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591104071

作品紹介・あらすじ

戦争後のロシアで思いもよらない出会いをした日本人男性とロシア人女性。40年もの歳月をともに支えあい、ひたむきに生きた二人の愛はかけがえのないものに…。人の悲しみのうえに自分だけの幸せをきずくことはできない。クラウディアの願いは国境をこえた-実話をもとに描く感動の絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争物を読むのはどこか気が重いが、ノンフィクションであることの興味深さと手ごたえの確かさはやはり圧巻。
    同じポプラ社から同名タイトルの単行本が出ていて、そちらは2009年中学・高校の部の読書感想文指定図書である。
    いわばダイジェスト版とも言えるのがこの絵本。
    小さな読者向けなのだろうが、大人でもじゅうぶん読める。
    タイトルになっている「クライディアの祈り」は詩であり、37年共に暮らしたヤコブ(日本名は蜂谷弥三郎さん)を日本に送り出すときに、クラウディアがしたためたもの。
    この世に、こんなにも辛い別れがあるものかと、何度読んでも涙があふれる。
    最後の見開きページに、その詩のロシア語の原文と訳が載っていて、文中にも詩の断片が散りばめられている。
    映画【ひまわり】を連想するひともいるだろうし、辺見じゅんさんの【収容所から来た遺書】を思い出すひともいるだろう。

    どれほどの境遇でも、ひたすら誠実に生きたひとというのはいるもので、そのことを知るだけでもふつふつと生きる勇気をいうものが湧き上がる。
    戦争反対をお題目のように唱えるのではなく、また引き裂かれた家族と言う部分にだけスポットを当てて感傷的になるのでもなく、ひとの魂の高潔さを感じ取ってくれたら良いなぁ、なんて。

    第二次世界大戦終了後、朝鮮半島の港から日本へ家族で引き揚げようとしていた男性・蜂谷弥三郎さんが、スパイの嫌疑をかけられて、妻子と引き裂かれてしまう。
    その後ロシアへ連行され、7年間シベリアの収容所に入れられ、日本へ帰ることを許されなかった。
    この男性と偶然出会い、互いの身の上を語り合い、帰国を諦めた男性の無実を信じ結婚したのがクラウディア。
    37年の結婚生活は、再逮捕に脅え、監視や嫌疑の眼差しを常に意識しつつも、二人の切望していた「家庭」を作った誠実な人生だったが、男性のふとした表情に心残りを感じ取ったクラウディアは・・・

    何度も言うが37年間である。
    それも、のほほんと安穏に生きた月日ではない。
    革命で両親を失い、幼い頃からひとりで生きてきたクラウディアにとっては、どれほどかけがえのない日々だったことだろう。
    また、弥三郎さんにとっても、そんな彼女をひとり残して祖国に旅立つのは、胸の張り裂けるような思いだったことだろう。
    【他人の悲しみの上に わたしだけの幸福を きずくことはできません】というクラウディアの詩の一行が、激しく胸を打つ。
    愛とはまさに、他者の幸福を願うことなのだ。
    過酷な境遇で捻じ曲がる人生もあれば、誠実なままの人生もある。
    その違いはどこから来るのだろう。
    クラウディアの深い祈りが、その後の弥三郎さんと日本の家族とを強く守り続けただろうことは、想像に難くない。
    後日、クラウディアと弥三郎さんは再会したというから、ああ良かったと、心からそう思った。

    余談だが、お話しの中で弥三郎さんが「ゆうやけこやけ」を歌う場面がある。
    郷里を思って、ひとりぽつねんとしている場面だ。
    自分だったら何を歌うかなと考えていたら「いとしのエリー」が浮かんだ。
    ちょっと違うな、これは。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      実話なんですかー、これ??
      もうnejidonさんのレビューを読んだだけで胸が苦しくなりました。
      クラウディアさん、すごい人だな。
      「ひまわり」の場合、帰って来ないんですよね??
      あれはあれで切ないし・・・。

      レビューを読みながら、「ゆうやけこやけ」かうんうん分かる分かるとジーンとしていたら・・・
      まさかの「いとしのエリー」!!
      思わずずっこけちゃいました(笑)
      私は何の曲かな~!?
      2014/06/18
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      そうなんです、実話なのですよ、信じがたいことに。
      【収容所から来た遺書】に比べればずっと優しいですが、これはこれでかなり切ないものがあります。
      【ひまわり】、再会は果たしたものの悲しい結末でしたね。
      ああいう家族って、きっとたくさんあったんだろうなと思います。

      【いとしのエリー】を子どもたちに歌ってあげたら、「昔はいい歌があったねぇ」なんて感動してました(笑)
      国籍がすぐに分かる歌を、仕込んでおかないといけませんね。
      vilureefさんは何の曲かな~?
      2014/06/18
  • 結末の別れが、文学性を高めている。まさか別れてしまうとは。誠実さとはなにか?胸に刻みました。

  • クラーヴァは幸せだったでしょう。ヤコブは本当に幸せになれたのでしょうか?

  • 歴史を知る絵本

  • 「人の悲しみの上に自分の幸せをきずくことはできない」
    クラウディアはそう言うわけですが、それはお互い様なわけで。結末の状況は、クラウディアの悲しみの上になりたつ幸せなわけです。

    そういう行為や思考、感情に折り合いをつける能力というのは、長く誠実に生きた人間のみが使える力だと思うのです。人間力だと思います。
    感動しました。

  • すこしかわいそうだった。

  • やっとみつけた暖かい家庭。
    支えあって生きてきた人が祖国に帰っていくのはとても辛かっただろうな。

  • 終戦直後スパイ容疑でロシア当局に逮捕され、
    シベリアへ抑留された日本人男性はあるロシア人女性と
    結婚し50年近くロシアで生活します。

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