わたしの美しい娘―ラプンツェル

制作 : Donna Jo Napoli  金原 瑞人  桑原 洋子 
  • ポプラ社
3.65
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  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591104941

作品紹介・あらすじ

わたしたちはずっといっしょ。このまま永遠に。娘の13歳の誕生日には新しいドレスを作ってあげよう。あの子の美しさを際立たせるすばらしいドレスを。小さな望みなら好きにかなえてやろう。わたしは幸せでたまらなかった。-どうしても子どもをもちたかった女は、魂とひきかえに自分の娘を手に入れた。だが、美しく成長した娘はひとりの若者と出会い、それを機に3人の運命は大きく変わり始める-。

感想・レビュー・書評

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  • 原題は『Zel』。Donna Jo Napoliによる1996年発表作品。

  • きのう読了。はじめての作家さん。
    グリム童話の「ラプンツェル」を下敷きにした作品。ラプンツェル視点やコンラッド視点のターンもあるけど、母の部分だけ一人称(わたし)だから、魔女視点で翻案し直したものかしら。ひたひたと迫る母子癒着の狂気から辛くも娘が逃れる話、だけれど、せっかく現代に翻案するなら、当然のように異性愛オチなのはやっぱり気になる。人里離れて(男にとられるのを警戒する母親のもとで)育てられたラプンツェルが、自分がいずれ結婚して母になるはずという認識をどこで得たのか少し疑問。
    もうちょっともとの話から離れた展開にしてもよかったような。

  • 最初から最後までおとぎ話でした
    下書きありにしろ、なかったにしろ面白く読めました

  • グリム童話の〝ラプンツェル〟を下敷きにして、書かれたファンタジーです。
    16世紀半ば、スイスの人里離れたアルムで暮らす母と少女。母娘が町に出向くのは、年に2度だけ。愛情に満ち、平和で牧歌的なふたりの生活が揺らぎはじめたのは、町の鍛冶屋で少女と伯爵家の息子が、偶然出逢ったことが切っ掛けでした。しだいに明るみになっていく、母親の暗い秘密・・・・・。
    善と悪は、紙一重で隣り合ってあるものです。善からから悪に踏み込むのは簡単なことですが、いったん闇に足を踏み入れた者が良心を取戻し、許しを得るのは、容易なことではありません。愛するあまり、心が歪んでしまうということもありがちです。
    これは、子供を授かることのなかった女性の哀しい物語です。あきらめなければ望みは叶うといいますが、人生はそうそううまくいくとは限りません。あきらめるのではなく、不運を受け入れることも、時には必要なことかもしれませんネッ。

  • 基本的にラプンツェルの本筋からそれていないような作品。
    唯一違ったのは、いうところの魔女がラプンツェルを深く愛していたことでしょうか。
    大事で大事な可愛い娘をとられちゃう不安が…という、
    考えてみれば随分とかわいそうな人だなあ、と思いました。
    そして王子様にあたるところの人物の良かったところは、
    塔の中にいるラプンツェルを見つけて、ではなくて、塔に入ってしまう前のラプンツェルに出会って恋をしてしまうところでしょう。
    これはきちんとドラマ性がある…! と妙に感心してしまいました。
    まあたった一度の邂逅であれだけ粘着するのは怖くはありますが…。

  • ほぼそのまま、いわゆるラプンツェルの話なのですが、おとぎ話というよりも、中世ファンタジー・ラブロマンス。ちょっと大人向け、でも、ドキドキしながら少女にこそ読んでほしい一冊です。心理描写が繊細で、また情景描写がとても美しい。ラストシーンも好き。

  • 娘の13歳の誕生日のために町へと買い物にでてきた母娘。贈り物を内緒にするため、娘のツエルを鍛冶場へ残し、買い物をする母。
    ツエルはそこで馬と仲良くなり、その馬の持ち主である男と出会う。その男、貴族のコンラッドは、娘のために鴨の卵を手に入れようと奔走する。

    娘ツエルを愛するあまり、塔にとじこめる母。
    「ラプンツエル、ラプンツエル、おまえの髪をたらしておくれ」
    そう、あの童話「ラプンツエル」を元にした物語。
    子供が産めないから、悪魔に魂を売ってでも手に入れた娘への痛いほどの母の愛の物語になっています。

  • ラプンツェルすきな方に、絵本ではなく
    小説としておすすめしたくなる素晴らしい本。
    ラプンツェルを育てたのは絵本では魔女となっていますが、
    このお話の育ての親はただ残酷な女性ではありません。
    こどもがほしくてたまらなかった
    母としての想いが痛いほど伝わってきます。
    心理描写の深さが他の大人向けに書かれた童話と
    格段に違って引き込まれます。

  • 童話ラプンツェルを題材にした物語。
    童話では描かれる事のない魔女側の物語に、とても切ない。
    魔女は誰よりも人間らしく、誰よりも魔女らしく、そして誰よりも母だった。

  •  童話ラプンツェルを、繊細な人物描写によって生まれ変わらせたおとぎ話の世界をこえる切ない恋愛物語。
     娘を愛するがゆえに塔に閉じ込める幽閉生活を強いているラプンツェルの母親は、原作とは違い深い悲しみと愛に満ちているので、読みすすめるうち感情移入してしまいます。本当の親子とは成長するまで知らないまでも、ほんとうに純粋な愛にめぐまれた少女、ラプンツェル(この物語ではツェル)。だからこそ彼女はどんな悲劇的な境遇でも、いつまでも純粋でいられるのでしょう。
     洗練された文章で綴られる、大人のための耽美なメルヘン。
     ラストは胸をひきさかれるような涙もののシーンです。

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