風待ちのひと

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 446
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591110218

感想・レビュー・書評

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  • 仕事や妻の浮気で心の風邪をひいた主人公が休職し、三重県の海沿いにある亡き母の故郷へ。ある女性に夜の海で溺れているところを助けてもらい、食事から母の空家の片付けまで面倒になり、次第に心を癒していく。そしてその女性から「生きる喜び」を教えてもらった主人公は。。。これは大人のファンタジー。妻子ある身で等、細かい箇所にケチを付けては身も蓋もないだろう。

  • ハッピーエンドになりますように、そう祈りながら読んだ。
    読み終えて、思わずモーツアルトのピアノ協奏曲を聞きたくなった。
    そして岬の家。どんなにすばらしい家なんだろう。想像するだけで、心に気持ちの良い風が吹く感じがする。

  •  この本を読み始めてすぐに、心の中に心地よい風が吹きわたりました。
    残念ながら途中で風は止んでしまいましたが、エピローグを読んで、さらに爽やかな風が心を満たしましたo(^∀^*)o
     「海沿いの町」という紙を掲げて、ヒッチハイクしている中年女がいたら、必ず乗せて丁重に扱え。不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの美容師で、乗せるとその礼にかならず髪を切ってくれる。
    そうして男ぶりが上がったドライバーには決まって福が舞い込むらしい。
     そんな素敵な噂を持つ、ペコちゃんこと福井喜美子と、東京から母の亡くなった家の片づけに来た、須賀哲司は知り合う。
     うっとうしがる須賀には構わず、家の中に入り込み、どんどん彼の心の中にも入っていくペコちゃん。
    片意地を張って、心に風邪をひいていた須賀の心を溶かしていく、美鷲の人々。
     途中須賀の奥さん等の障害はあるけど、最後のハッピーエンドが良かった。

  •  いい話でした。
     ただ、あそこまで頑なな人が意外とあっさり心開いたなと。きみちゃんが下品なのか上品なのか。話がうまくいきすぎかなと。ちょっと気になります。

  • トラックドライバーの間でこんな噂がある
    『海沿いの町』という紙を掲げた中年女がヒッチハイクをしていたら、
    必ず乗せて丁重に扱え。
    不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの理容師で、乗せると
    そのお礼に必ずドライブインで髪を切ってくれる。
    そうして男ぶりが上がったドライバーにはその後、
    決まって多くの福が舞い込むらしい。

    母を亡くし、妻の不倫を知り、仕事にも行き詰まっていた
    39歳のエリートサラリーマン須賀哲司
    〝心の風邪〟で、休職中
    亡くなった母の家の整理と療養を兼ねて美しい港町美鷲へやって来た。
    そして、ペコちゃんこと福井貴美子と偶然知り合い
    母親の遺品の整理を手伝ってもらう事に…。
    疲れ果てていた哲司は、貴美子の優しさや町の人達の温かさに
    触れるにつれ、自助に心を癒していく。
    少しずつ距離を縮め、次第に二人は惹かれあうが
    哲司には東京に残して来た妻子がいた---。


    貴美子は、地味で自分をオバチャンと言いお喋りで軽い下ネタを言う
    全てに疲れていた哲司にお節介をやく…。
    放っておいてくれ、自分に関わらないでくれ、うるさい…。
    哲司が最初貴美子を鬱陶しく思う気持ちは凄く良くわかりました。
    私も、開けっぴろげで、ずうずうしい正真正銘のオバサンだと思ってた。
    でも、貴美子がお節介なくらい哲司にかまったのには理由があった。
    貴美子自身が癒せない辛い思いを抱えていた。
    だから、哲司の危うさに気付き、温かさで包み込む。
    自分を『知ったかぶったか』と、悲しげに言い
    何度も言ってた『すまんねえ』
    その言葉の裏に隠された貴美子の傷を知ると…たまらなくなりました。
    全然『知ったかぶったか』で、ないのに…。
    癒えぬ悲しみを抱えたまま、明るく振る舞う貴美子だったけど
    哲司と接する事で、次第に自分の思いや諦めていた事に気付いていく。
    二人は結ばれるって思ったのに…
    世界が違うと離れてしまった
    でも、最後は大どでん返しのハッピーエンド(〃'▽'〃)

    人と人との心が解け合っていく過程を丁寧にじんわりと描いていて
    読んでいるこちらの心も優しい気持ちになっている。
    やり直せない人生なんてないんだなぁ。
    素敵な笑顔を持つ貴美子が最高に魅力的
    美しい港町の街並みや風を感じられました。
    美味しそうな料理も…。
    クラッシックに詳しかったらもっと楽しめたのかも…。

    素敵な言葉も沢山
    ・踏み外したんじゃないよ。風待ち中
    良い風が吹くまで港で待機しているだけ
    ・心のバランスが崩れるなんて…モヤシだな。
    モヤシでも雑草でもバラでも、へたれるときはへたれるよ

  • 仕事に疲れ、家族に疲れて心を病んだ哲司は、亡き母が最後に過ごした場所で、同じ年の喜美子と出会う。いつも明るく振る舞う喜美子には、家族を失ったという過去があった。

    暖かく、優しいお話。
    以前手にした「四十九日のレシピ」とは違い、大人の恋愛模様も含まれていて、しっとりとした素敵な本でした。
    美鷲の岬の家や、景色が目に浮かぶようで、読み終わるのがもったいないような気持ちになりながら読み進めていた気がします。

    著者の本は2冊目。
    他のものも、是非読んでみたいと思っています。

  • 「ねえ、あなた。あの人にも何かごあいさつを贈っておいたほうがいいかしら。何が良い?レトルトのカレーとかどう。一人ならそういうの便利でしょう」
    「おれはやっぱり‥‥君とはもう暮らせないよ」
    人の別れはこんなことがきっかけだと思う。
    哲司が矢の花峠から喜美子の店に向かうところで二人は寄せ付けられるように出会う。この奇跡がなかったら再び寄り添うことはなかったろう。神様はいるかもって思う瞬間だ。出会いも別れもちょっとしたことから始まる気がする。まるで小学生のような夏を過ごした二人を「その次の季節も一緒にいさせてあげて」と願うように読んだ。気が付いたらマダムたちのように二人を応援してた。

  • またしても一気読みした。全く違う生育環境の二人が心を通じ合わせて行く物語だが、人物造形の端々にリアリティがあって感心する。小説家の観察力ってやっぱり凄い。登場人物に良識があるので安心して読める。

  • 最後がちょっとドタバタした感じがあったが、後悔しない生き方を選べてよかった。

    こうしたら良かった、って2人とももう思わないで生きて行かれそう。

    周りの人が皆魅力的だった。そして毛の話は、笑えた。

    幸せな気持ちになれる話。

  • なんて素敵な物語を紡ぐ方だ。ハッピーな気持ちになれる。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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