風待ちのひと

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591110218

感想・レビュー・書評

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  • 伊吹さんのデビュー作
    こちらも伊吹さんらしい空気感の作品でした


    心の風邪をひきかけている哲司が
    ヒッチハイカーの喜美子を乗せるところから
    物語ははじまります


    喜美子と丁寧な生活を送るうちに
    哲司がよくなっていく話かと思いきや
    2人の恋の物語でした
    (もちろん哲司もよくなっていきますが)


    喜美子の方も自分に自信がなく
    哲司と出会って救われていきます

    最初はガサツなイメージの喜美子の
    艶っぽい展開になかなかついていけませんでしたが
    2人が惹かれ合うのも自然なことかもしれないですね


    でも哲司は家庭があって
    そっちの家族のことも考えてしまったりもしました
    実際は再生するのは難しい関係だったけど。。


    頑張ってる奥さんの気持ちが
    逆に辛くなっちゃうんですよね
    でも奥さんの気持ちもよくわかるんです。
    浮気はやだけど。
    うーん。なかなか辛い展開でした。

    奥さんと別れてから惹かれあってくれたら
    もっと純粋に楽しめたのかも。。


    また終盤、喜美子が別の生活を手にしてるのにも
    ちょっと心が追いつかなくて、、

    もちろん当たり前のことなんだけど
    なんというか咀嚼するのに時間が必要でした


    なんとなくついていけないところもあったんですが
    でもラストがよかったので星は4つで。


    私は舜くんが好きだなー

    この物語の若い子達が、いい子すぎ。
    一番大人だなと思いました

  • 朱夏から白秋へと移ろう季節の、暑いばかりではない恋物語。途中まで理香はいい面の皮と思えたけれど、そう簡単な話でもなかった。戸惑いながらも心を寄せていく感じがとてもステキ。母親 (実塩先生) の趣味のよさと、それに気づくことのできるようになった喜美子の心の変化がまたかわいらしい。

  • 39歳という微妙な年齢の恋。2人とも心に傷を抱え、なかなかそれを乗り越えられずにいる。オペラと美鷲の美しい景色と亡くなった哲司の母が2人を結びつける。伊吹有喜さんの作品は読むと気持ちを前向きにさせてくれる。

  • 学生のとき、部活の夏合宿が尾鷲にあった青年の家で行われるのが恒例で、毎夏の4回、尾鷲に滞在した。テラスから見えた海は青く、湾の向こう側にある小島に波打つ海を今も憶えている。この作品は伊吹さんのデビュー作とのこと。彼女の作品には三重の香りが漂っていて、とても懐かしい思いがする。登場人物が皆、迷いながらもありたいところに辿り着いて、再び歩き出す。いい作品だと思いました。

  • 大人な恋愛小説。見栄えや収入、学歴なんかじゃなく、素のままの自分でありながら、自然と惹かれ合うようになった哲司と喜美子。だけど、いろんな事情や思いで、なかなか素直になれず、じれったかったけど、最終的にはハッピーエンドでよかったです。でも、理香の気持ちや言動も理解できるなぁ。

  • ボロボロ泣いた。傷つきながら本当に大切な人と出会えて幸せになった二人を想像しながら読み終えた。

  • 心が疲れた2人が、出会いや田舎での生活を通して、自分と向き合い再生していく物語です。
    田舎ならではの閉鎖感や静けさに最初は主人公も怯える一方、一つ一つの要素が魅力に感じられる生活は、羨ましく感じました。
    音楽、自然、優しい人に囲まれて少しずつ元気になる主人公を見ていると、疲れた時に避難することはだいじだし、誰にもそういう場所があってしかるべきなんだろうなと思います。

  • あまりにおもしろかったので一気読み。
    最後、どうなるのかと、はらはらしてしまった。別れてしまうの?と途中思ったが、うまくいってよかった。幸せになってほしい。

    哲さんのお母さんのおうちが素敵。手放したのはもったいないなー、住むわけではないし、しょうがないのかな。
    オペラを見に行くとき、喜美子さんが着た着物が素敵でした。椿姫にあわせた、着物
    。オシャレすぎます。
    哲さんのお母さんのご友人アキノさんたちが来られたときのおもてなしも、歌も音楽も素敵すぎて、情景を想像するとウキウキ、わくわくしてしまいました。

    理香さんも、悪い人ではないが、自分の求めるものがはっきりしていて、今まで努力しており、これからも努力をしていくんだろうなー。気持ちもわからないのではないので、こちらも切ない。

    この方の本は何を読んでも心にしみるお話で、素敵です。

  • ズーズーしくて天然なおばちゃんと、態度も感じも悪い男の人の話し。
    そんなふうに始まるのがだんだんと2人共魅力的な人になっていく。
    人と付き合うってこういう事なのかも。
    でも中々私なら出来ないな。
    また新しい人生を2人で始めていく。やり直しが出来るのはこの2人は今までも人生を懸命に生きてきたから。
    きっとこの2人なら幸せになれる。

  • かなりめんどくさい中年男と同い年の結構いい女のお話。とにかく、めんどくさい男でイライラするが、喜美ちゃんが救ってくれる。お母さんの教え子の話はでも、結構いい。結局は悪くなかったかな

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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