風待ちのひと

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 448
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591110218

感想・レビュー・書評

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  • 喪失と再生の物語。ラストは韓流ドラマのよう。
    デビュー作なだけに、伊吹有喜さんの原点を感じられる。

  • 伊吹さんの作品を読むのはまだ3作目。『なでし子物語』が好きで、他の作品も読んでみたいと思いました。
    岬の家に吹く風が気持ち良く感じられる気がして、心地良かったです。不倫を美化している、と言われてしまうとそれもそうなのですが…、不思議と嫌な感じはせず終始爽やかでした。辛い過去を持つ喜美子には幸せになってほしいと思います。
    デビュー作のせいか、まだ荒削りかなと思う部分もありました。他の作品も読んでいきたいです。

  • 心に傷を持った中年二人の一夏。お互いに関わり合う内に心が癒されていく。
    既にひと人生たっぷり歩んできた二人だが、けりをつける。
    熟年の二人の恋は焦ったくもあるが微笑ましくもある。

  • ”心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした
    傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会った…。
    人の心が解け合っていく過程を丁寧に、
    じんわりと描いた、心にさわやかな風が
    吹きぬける、愛と再生の物語。

  •  いい話でした。
     ただ、あそこまで頑なな人が意外とあっさり心開いたなと。きみちゃんが下品なのか上品なのか。話がうまくいきすぎかなと。ちょっと気になります。

  • トラックドライバーの間でこんな噂がある
    『海沿いの町』という紙を掲げた中年女がヒッチハイクをしていたら、
    必ず乗せて丁重に扱え。
    不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの理容師で、乗せると
    そのお礼に必ずドライブインで髪を切ってくれる。
    そうして男ぶりが上がったドライバーにはその後、
    決まって多くの福が舞い込むらしい。

    母を亡くし、妻の不倫を知り、仕事にも行き詰まっていた
    39歳のエリートサラリーマン須賀哲司
    〝心の風邪〟で、休職中
    亡くなった母の家の整理と療養を兼ねて美しい港町美鷲へやって来た。
    そして、ペコちゃんこと福井貴美子と偶然知り合い
    母親の遺品の整理を手伝ってもらう事に…。
    疲れ果てていた哲司は、貴美子の優しさや町の人達の温かさに
    触れるにつれ、自助に心を癒していく。
    少しずつ距離を縮め、次第に二人は惹かれあうが
    哲司には東京に残して来た妻子がいた---。


    貴美子は、地味で自分をオバチャンと言いお喋りで軽い下ネタを言う
    全てに疲れていた哲司にお節介をやく…。
    放っておいてくれ、自分に関わらないでくれ、うるさい…。
    哲司が最初貴美子を鬱陶しく思う気持ちは凄く良くわかりました。
    私も、開けっぴろげで、ずうずうしい正真正銘のオバサンだと思ってた。
    でも、貴美子がお節介なくらい哲司にかまったのには理由があった。
    貴美子自身が癒せない辛い思いを抱えていた。
    だから、哲司の危うさに気付き、温かさで包み込む。
    自分を『知ったかぶったか』と、悲しげに言い
    何度も言ってた『すまんねえ』
    その言葉の裏に隠された貴美子の傷を知ると…たまらなくなりました。
    全然『知ったかぶったか』で、ないのに…。
    癒えぬ悲しみを抱えたまま、明るく振る舞う貴美子だったけど
    哲司と接する事で、次第に自分の思いや諦めていた事に気付いていく。
    二人は結ばれるって思ったのに…
    世界が違うと離れてしまった
    でも、最後は大どでん返しのハッピーエンド(〃'▽'〃)

    人と人との心が解け合っていく過程を丁寧にじんわりと描いていて
    読んでいるこちらの心も優しい気持ちになっている。
    やり直せない人生なんてないんだなぁ。
    素敵な笑顔を持つ貴美子が最高に魅力的
    美しい港町の街並みや風を感じられました。
    美味しそうな料理も…。
    クラッシックに詳しかったらもっと楽しめたのかも…。

    素敵な言葉も沢山
    ・踏み外したんじゃないよ。風待ち中
    良い風が吹くまで港で待機しているだけ
    ・心のバランスが崩れるなんて…モヤシだな。
    モヤシでも雑草でもバラでも、へたれるときはへたれるよ

  • 「ペコちゃん」とか服装、話し方からは、とても39歳のイメージが感じられず、キャラクターの魅力が薄い気がします。

  • 悪かないけど良くもない。設定もキャラも奇を衒うわけではなく、いくぶん凡庸過ぎるかな。ひと歳取った大人のひと夏の出会い。もっとも、そこは大人だから単にひと夏では投げ出さずにけじめはつけるけど。最後までちっぽけなやきもきと、ちっぽけな安堵で終わってしまった。「海の闇には純度があり、山の闇には濃度がある」このフレーズは気に入った。

  • 短く、歯切れがよい文章で、テンポよくするすると読めました。

    ちょっと「あれ~?」と思う展開もあるものの(哲さんの離婚があっさり成立したり、終バスの後、深夜の道で再会したりと)それぞれの新しい道を希望を持って歩んでいくラストで、読後感は爽やかでした。

    ただ、結局すれ違って逢うことができず、最後の夏休みの思い出を大切に人生の秋を生きていく、という切ない終わり方のほうが、よりぐっときたかもしれません。

    ちょっとひねくれすぎですかねぇ、私。

  • オペラ「椿姫」、グールドのピアノ、サンタマリア・ノヴェッラのせっけんの香り、リモンチェッロ、着物と帯。
    好きなものが次々登場して嬉しい。
    人生はいくつからでも、自分が始めようと思ったところから始められるんですね。
    幸せになってほしい人が幸せの第一歩を踏み出せる王道のストーリーもいいものです。ほっとしました。

著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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