ダイナー

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591112014

作品紹介・あらすじ

ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍する組織の抗争、命がけの恋-。人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。

感想・レビュー・書評

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  • 殺し屋専門の定食屋(ダイナー)が舞台の話。
    殺し屋専門なので、もちろんお客は殺し屋。個性的な殺し屋達が次々に登場&殺されていく。

    みなさんのお気に入りは誰ですか?
    わたしは、炎眉かな。美人の殺し屋カッコいいね。

    一番強いのは誰だろう?
    やっぱりボンベロ?
    菊千代も強いか。

  • 映画を見たので原作も読もうと思った。
    殺し屋の客ばっかりくるイカれたダイナーのウエイトレスになったオオバカナコ。しかし一般人サイドのはずの彼女もかなりイカれている。
    映画では窪田正孝さんの儚げなスキンがすごく魅力的だった。
    本を読むと概ね原作通り映画が作られていたことがわかる。序盤はスキンに、後半はボンベロに。まるで乙女ゲームみたいにドキドキさせられる。
    文章が読みやすくて、ぐいぐい読める娯楽小説だった。

  • 帯に書かれている本谷有希子さんの「平山さんの、人として間違ってるところが好きです。」というコメント素敵すぎです。本当に間違ってます。
    出来心で奇妙なバイトを引き受けたばっかりに、プロの殺し屋が集う会員制の定食屋(ダイナー)で働くことになったカナコ。閉鎖された空間で常に死が付き纏う極限状態におかれます。
    残虐な拷問や殺しの血生臭いグロテスクな描写は痛々しく吐き気すらする程なのに、バーガーやスフレや出てくる食べ物は肉汁や甘い香りまで想像できるほど美味しそうで、相対するものにいろんな感覚が刺激されます。
    この変質的でグロすぎる濃厚な世界が「間違っている」部分ですけど、読後感はよくわからない面白さがあり、グロイのが大丈夫な方にはおススメします。と言いながら、人におススメしてはいけないとも思える本です。

  • 映画を観て原作を拝読。映画では描ききれなかったカナコ、ボンベロ、スキン、キッドの過去と台詞が切ないです。確かにぶっ飛んだ人物だらけですが一気に読んでしまうほどのエンターテイメントです。戦闘シーンは映画より激しくボンベロがカッコいい。ラストは映画とは違いますが、好きなラストが用意されていました。

  • 面白かったです
    グロかったりありえなかったり
    でもドンドン読み進めちゃう
    けっこう厚い本ですが飽きることなく読めました
    終わり方も良かったです
    分厚いハンバーガーが食べたくなります

  • 終盤細かな点で気になるところはあった、けれど、最初から勢いよくぐんぐん読ませてくる爽快感。
    ああおもしろかった。
    よんでいるあいだ、ハンバーガー(¥1200)を2回食べた。
    ラスト周辺だけ映像で観たい。
    映画化してほしいなあ。

  • 舞台は殺しを生業としてギリギリに生きる奴らしか来ないレストラン。曲者だらけの店でウエイトレスをやることになっちゃったオオバカナコと、レストランのオーナーを務めるボンベロを中心にして、奇想天外な殺し屋が続々と来店する。だがそいつらにも過去はあって、カナコは彼らと関わるにつれて殺し屋の考えを理解するようになり……。

    著者のエンターテインメント要素をこれでもかとブチ込んだ最高のノワール小説。平山さんなので、もちろんエグい描写はたくさんある。これはホラー。舞台がダイナーなので、美味しそうな料理が出てくる。これグルメ。殺し屋が来店するのでトラブルだらけ。これアクション、ノワール、サスペンス。カナコの心情変化や、殺し屋に対する気持ち。これは申し訳程度の恋愛。殺し屋やボンベロの過去や謎、背後に蠢く組織。これミステリー。すべてひっくるめてエンターテインメント。ダイナーには、全部が備わっている。
    特に今回で注目なのは料理の描写。なんだ、平山さんに料理書かせたらすげーじゃん! うまそうじゃん! 涎垂れるくらいに美味しそうなのだ。ハンバーガーのこまかーい作り方とか、どこで知る機会があったのかわからん情報も多い。
    基本的に舞台のレストランから外に出ることはないのだが、それでも面白い。ぼくはこの小説を読了して、娯楽を超えた何かを垣間見た気がした。気づいたら夜も明けていた。徹夜本だ。

    やっぱりグロテスクなのが苦手な人にはおすすめできないんだけど、そんなのへっちゃらって人には是非とも読んでほしい。この作者の名が日本に広まりすぎると却ってアブナイ感じがするが、ある程度の知名度はあってもいいと思う。
    『独白する〜』で有名になったけど、最高傑作は疑いようがなくこれで決定だ。

  • 冨樫先生の好きな作家さんと聞いて。
    まず自分じゃ絶対読もうとしなかったような作品。

    …ぐろい。えぐい。でも読んでて無性にお腹が空く。
    店に連れてこられるまでの最初のシーンが痛々しくて何度か諦めそうになったけど、気が付いたら約500Pが終わっていた。
    さて次の客は?と思ったところで、そういえばもうキャンティーンは無いんだったと気づきなんだか妙に寂しくなった。
    殺しに対して独自の美学を持っていて、プロとして仕事をする中で感情とか倫理感をどこかに置いてきてしまったような変人ばかり出てくるけど、彼らにとって美味しい料理を食べて感情を出せる=人間らしくいられる最後の憩いの家だったのかと思うとなんか切ない…あんなに凄惨なシーンがこれでもかと出てきたのに、そんな風に思えてしまうのが不思議。


    あと、ボンベロとカナコの間のもどかしさがもうなんともいえず、王道の恋愛小説よりよっぽどこう…ふたりの今後が気になってしまった。(終わりが描かれないから余韻に浸れるんだろうけど。またそこが良い!)
    甘く楽しい生活とは程遠そうだけど、いつかどこかで二人と一匹でひっそりとお店を開いていてほしい。

  • まさか平山夢明の本で五つ星が出るなんて…(笑)! いや、失礼、怒らないで。「独白するユニバーサル横メルカトル」が受け付けなかったからの発言なんです。「ユニバーサル」を読んだ時も思ったけど、「ダイナー」で確信。この人は絶対欧米で受ける!! 「ユニバーサル」よりも今回はエンターテイメント色が強くて、面白かった。グロさは…まあ、「ユニバーサル」よりかだいぶ大人しいんじゃないかな。頭がいかれたみたいな文章じゃなかったから、読みやすかったのよ。

    あらすじ:
    実家暮らしアルバイトでカツカツの生活をしているオオバカナコは、バイト先のコンビニで立ち読みした雑誌の求人欄に高額報酬の仕事を見つける。軽リスク有とはあるもののいかにもヤバそう、でも…。つい一歩を踏み出してしまった。そしてある失敗から彼女は殺し屋専門の会員制ダイナー(定食屋)で、ウェイトレスをすることになった。コックであり店の主のボンベロにあやうく殺されそうになるが…。それでなくてもやってくる客はみんな危ない奴ばかり。殺されないため、カナコは緊張の日々を強いられる。

    面白いのよ。設定も面白いし、料理の描写がイイ。人物たちも殺し屋だからこその、それぞれの個性が出ていて。その中で怯みながらも大事なところでは引かないカナコと、ボンベロや殺し屋たちが話を盛り上げてくれるの。
    残虐なやり取りにそむけていた眼が、次第に紙面に縫い付けられる。
    まさしくエンターテイメント! 大藪春彦賞っていうのもうなずけるわ。うん、満足。

  • 平山夢明は天才だと思う。どうしても読みたくてハードカバーの新刊を定価で購入してしまった。
    文庫本サイズが好きな自分にしてはおそらく始めてかもしれない。(しかも一気に2回読んだ)
    1つ1つの場面がモロにイメージできて、凄くのめり込んで読んでしまった。

    内容は殺し屋ばかりが客のハンバーガー屋が舞台の純愛(?)長編小説。グロさは結構控えめで、まったりとしている。

    印象に残ったのはボンベロ(マスター)が客の殺し屋にハンバーガーを提供した際、客が「何だこれは?」と聞いたのに対して、ボンベロは「食事というものだ、人はこういうものを食べている」とスットボケた切り返しをした箇所。絶望的な雰囲気の中、突然の小気味良いウィットに思わずニヤリとしてしまった。
    この様なニヤリポイントが随所に散りばめられており、これまた個人的に心地よい感じが残った。

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著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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