- Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591114513
作品紹介・あらすじ
不登校の妹と、出社拒否の姉。
二人暮らしの日々に、ゆっくりと浮かび上がってくる気持ち。
両親の離婚時に独立を宣言した姉と二人で暮らすようになって三年。高三になった菜生は、大学への推薦決定後、学校をさぼりがちになっていた。
そのうち、短大を出て働いている姉までなぜか会社を仮病で休むようになり――青春の一時期に描く感覚を、こまやかに切り取った物語。
感想・レビュー・書評
-
主人公で高等部3年生の菜生は、3年前に両親が離婚し、その時に独立を宣言した姉の花保と二人で暮らしています。大学への推薦が決定した菜生ですが、12月、糸が切れて学校に行かなくなってしまいます。そして姉の花保も仮病で会社を休んでしまいます。12月1日から31日までを切り取り、青春の一時期の心を細やかに綴った、成長と旅立ちのお話です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
姉がいてよかった。妹がいてよかった。きっと、2人ですごした時間があったからこの先もたぶん大丈夫。
一定の距離を保ったままの姉妹の関係って、うらやましい。すごく。
ちょっと風変わりなヒトがでてくるけど、その変わり者の中に、自分と同じ何かを見つけてしまうんだな、いつも。
お姉ちゃん、会えるといいね。長い長い初恋。 -
あー、ここ大事だよね。
とか、そういうポイントがなかった。
主人公の気持ちの変化とかも
分かりづらかった。
なにがどう繋がってるのかも、、、
読みやすかったけど。 -
2012 12/11
-
離婚してそれぞれ新しい家庭を築いている両親から独立し、
生まれ育った家で姉とふたりで暮らしている主人公。
大学の推薦が決定したけれど学校をさぼるようになる。
社会人の姉も会社をずる休みするように。
何か大きな事件や出来事があるわけでなく、ただただ日常を踏み外した姉妹とそれをとりまく人々の日々が、1999年12月1日から次の年がくるまで、1日1日綴られていく。
詩的で情緒的。
気だるくて体に力が入らない感覚をずっと感じているような物語。 -
姉妹のお話。危うい一本の糸みたいな感情表現が素敵。
2012/5/11 -
するっと読める。
自分の心の中であれこれ考えて考えて考えすぎて、ふとした瞬間に「あぁ、」って結論みたいなものを見つける瞬間。ってあるよね。 -
ある日突然、何をどうすればいいのか判らなくなって、何もかも投げ出したくなるってことありますよネ。この物語に登場する姉妹のように。
姉妹は離婚した両親のどちらにもつかず、ふたりで一緒に暮らしています。あるとき高校生の妹は、学校に通うことが億劫になり、登校しなくなってしまうのですが、時を同じくして会社勤めをしていた姉も、出勤しなくなってしまいます。やがて勤めを辞めることになるのですが、同時に結婚間近であった男性との婚約も破棄してしまいます。
人生をリセットして、一からやり直すことができればよいのですが、残念ながら世の中は、そんなに懐が深くありません。
けど、何をどうすればよいのか判らなくなるということは、何かをどうにかしたいという気持ちの裏返しなのかもしれません。大切なのは、思い切って一歩踏み出すこと。先のことは誰にも判らないのですから。世の中の懐は狭いかもしれませんが、世界の懐は思いのほか深く、包容力に満ちているのかもしれませんものネッ。 -
ちょうど12月に一人旅をしようと思って、持って行った一冊だった。
その時の自分の状況が、主人公の姉の心情に重なる所が多々あったからか……短いお話だったのだけど、ぬるい温度が心にまとわりつくような感じで、印象に残っている。
それぞれに停滞して、平坦で、また、それぞれが始動していく感じが結構好きだ。 -
さーっと読んでしまった。
普通に考えたら一大事ってことがサラッと書いてあって、
他人からみたら何してるのって感じだけど、
当の本人は何してるんだかとは思うことはあっても、どこか冷めてる。
そういう脱力を経験したことある人にとっては
なんかリアルかも。 -
短い本であっという間に読んでしまった。
姉妹のある12月の話で、今の季節の話なのに、
あまり寒さを感じなかった。
(菜生はめちゃくちゃ寒い思いをして、インフルエンザにかかったりもしたのに、思えば不思議)
「羽の音」の「音」って、なんのことだろう?
フニクリ・フニクラなら面白いな。
惰性や安全地帯から飛び出したり、わがままになって見たりしてみることを、急かさずに薦めてくる感じ。
たまに出てくる、すごくきれいな表現がよい。