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- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591115312
感想・レビュー・書評
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実は、読み始めてすぐにどこかで似たような設定の話を読んだような気がした。思い出したのが、大竹さんの前作「随時見学可」の短編二つ。きっと、あれを発酵させた物語なんだ。人間の住む世界の下に、ひそかに別の生き物たちが営む世界あると想像したことはあるだろうか?これは、東京の都心の再開発地区の地上と地下で起きたニンゲンとネズミたちの同時進行ドラマだ。類まれな発想と想像力で、異なる二つの世界を一つの完成された物語に仕上げた、大竹さんの力量に敬意を表します。舞台は、都心に取り残されたような緑の一角。都心でありながら、崖っぷちの地形に加えて小さな家が密集し、開発が遅れていたエリアとあるので、これは再開発前の六本木界隈のことだろうか?都心の再開発事業がどんどん進んでいく中で、わき起こるネズミ間の民族対立と抗争。そして民族としての歴史観が語られる。擬人化されたネズミの世界が人間世界の縮図のようだ。やがて、ニンゲン世界にも開発工事のツチ音が鳴り響いて、、、二つの世界に幕が下り始める。
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