トーキョー・クロスロード (ポプラ文庫ピュアフル は 2-1)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591117859

作品紹介・あらすじ

別人に変装して、ダーツにあたった山の手線の駅で降りてみる。これが休日の栞の密かな趣味。そこで出会ったかつての同級生、耕也となぜか縁がきれなくて……。素直になれない二人をジャズ喫茶のバンドマン、一児の母、辛口の秀才、甘えん坊の美少女(すべて高校生!)が支える。「東京」という街の中で、すれ違う人間関係が静かなジャズの音にのせて描かれる極上の青春小説! <作品によせて・新海誠>
第25回坪田譲治文学賞受賞作。

◆著者紹介 
濱野京子:1956年熊本県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。1999年毎日児童小説コンクール優秀賞、2002年同コンクール最優秀賞受賞。『フュージョン』(講談社)で第2回JBBY賞受賞。その他の作品に『その角を曲がれば』、『レッドシャイン』(ともに講談社)、『碧空の果てに』(角川書店)などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 女子高生が主人公のお話
    舞台は東京
    青春小説でした
    登場人物たちがみんなよくて
    物語を盛り上げてくれました

  • 以下ネタバレ含む、注意。



    どんどんと森下 栞を好きになっていく。

    留年してきた二人組、同じ中学の憧れの先輩や、やたら英語の発音がいいサックス奏者とも、スルッと打ち解けてしまう、委員長型懐かれ気質と。

    休日は、変装をしては山手線ダーツの旅を一人黙々と続けているという、変わった趣味と。

    なのに、ふとしたことから一緒に山手線散歩をするようになった月島くんには、まったく踏み込めなくて、友達を紹介してはチリチリしちゃっていたりするのだから。

    彼女の中に渦巻くチグハグさが、ほんとーに素敵で羨ましい。

    ものすごく大きな展開があるわけではなく。
    キャラクターの持つそれぞれの設定が、ストーリーの中できちんと絡み合っていく。
    最近、小説に触れていなかったからか、ただ、それだけのことなのに、生きている感じがして。
    河田さんの涙を読んで、一緒に涙した。

    そりゃあ新海誠も解説書くよ……(笑)

    いいね。この空気感。
    今日は、秋晴のスッキリしたお天気だったし。
    こんな中を栞と月島が歩いているのを想像すると、ふっと微笑ましくなった。

    • りまのさん
      mitsukiさん
      フォローありがとうございます!
      mitsukiさんの、レビューを読み、この本を、読みたくなりました♪
      どうぞよろしくお願...
      mitsukiさん
      フォローありがとうございます!
      mitsukiさんの、レビューを読み、この本を、読みたくなりました♪
      どうぞよろしくお願いいたします。
      2021/01/16
    • mitsukiさん
      りまのさん
      こちらこそ、いいね&コメントくださってありがとうございますー!
      拙いレビューですが、そう言っていただけると嬉しいです!素敵な...
      りまのさん
      こちらこそ、いいね&コメントくださってありがとうございますー!
      拙いレビューですが、そう言っていただけると嬉しいです!素敵な読書時間をお過ごしくださいねー。
      2021/01/16
  • わたしはそこはかとなく悲しい。




    初めて読んだのは恐らくハードカバーのものが出版されたすぐ後だとおもう。一度読んで、栞のキャラクターは私の中にすとんと落ちた。

    普段はコンタクトをして、髪もきちんと結った絵に書いたような委員長体質。たとえば行楽の観光にも資料を持っていくような。

    それが休日になるとメガネを掛け、櫛を通すのもそこそこに、時にはスウェットにジャージという格好で知らない街をただ歩く。
    そこにいる「わたし」は「わたし」であって「わたし」ではない。


    月を失った喪失感を埋めるように、休日の度にトーキョーを歩くのだ。
    トーキョーは狭いようでとてつもなく広い。


    読んでいて、その場に一緒にいるような気分になれる。
    どこからか夏を含んだ生ぬるい風が吹いてきて、なんだか甘酸っぱい気持ちになる。


    図書館の児童書コーナーにあった本だが、忘れられずについに文庫版を買ってしまった(笑)
    大人でも十分楽しめる物語ではないだろうか

  • 恋することってせつなくて、苦しい。
    主人公モリの気持ちがふつふつと伝わってきて
    読んでいるこっちも、きゅっと胸が苦しくなる。
    でも最後はなんだかちょっとにまにましてしまう。

    忘れられないかつての同級生。
    気になっている、なんて知られたくない。
    気づいてほしくない、でも気づいてほしい。
    矛盾する恋心。

    ちょっとツンデレな主人公が可愛いのです。
    そして彼女の周りのクラスメートたち。

    高校生活。
    あの頃って毎日が当たり前のようで
    なんだかその景色の中に自分たちはずっといるような
    そんな感覚があったけれど、でも同じ景色は続かない。
    駆け足で過ぎていって、その瞬間はその瞬間だけのもの。
    そんな青春時代。

    モリとツキシマの関係がもどかしくて
    その距離感がなんだかとてもいいのです。
    二人の何気ない会話とか、
    二人の東京散策。

    読み終わったあとはなんだか爽快で
    恋してたあの頃を思い出す。
    浮かび上がる情景。

    せつなくて甘い素敵な青春小説。

  • 学生の時にこの物語に出会っていれば、折り合いの悪い友人にも少しは優しくできたのかもしれない。

  • 高校生の頃に友だちに貸してもらって読んだんだけど2人でキャーキャー言って読んだ気がする
    山手線に憧れたなぁ

  • ボーイミーツガールの青春もの.瑞々しい感性で高校生の友情や恋愛を描いている.登場人物もみんなそれぞれ個性があるが,ぶつかり合いながらも認め合って,それは主人公のモリの人柄もあるだろうが,とてもいい読後感であった.ダーツで行き先を決めてうろうろする遊び,とっても面白そうなのでやってみたくなった.

  • トーキョー・クロスロード(ポプラ文庫ピュアフル)
    著作者:濱野京子
    発行者:ポプラ社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    極上の青春小説

  • 「眼鏡で変装して、ダーツの当たった山手線の駅で降りてブラついてみる。」これが、栞(高2)の休日の密かな趣味。そこで1年ぶりに再会したかつての同級生、月島耕也と縁が切れなくて…。

    同じもの同じ感じ方しているのに…。強烈に惹かれ合って解かり合える何かがあるのに、彼女という立場にはなれない。恋愛関係になれないのなら、手が届かないのなら、一緒に居る意味なんて無い。自分は恋愛に振り回されるキャラでは無いのだと、理性で割り切りたい。

    それなのに、一緒に居ないと欠乏症になる。

    そんな栞のもどかしさと切なさが、痛いくらいに伝わってきた。だからこそ、「思いはままならなくても、得るものはある。無駄にはならない」のくだりが染みたし、ラストは全ての女子達の良い所が見えて、グっときた。

    青山くんの方が絶対に心穏やかな恋愛が出来るのに、耕也みたいなタイプに惹かれてしまう不思議。強烈な引力を感じるうちは、それでいいんだと思う。

  • 八月六日生まれてきぱき系な高二の栞の日常的青春。普段と違う装いで知らない駅で降り探索する趣味の最中に再会した片恋相手。甘えん坊モテ美少女や理系ハスキー少女との絶妙な三人友情。留年同級生な一児の母の人妻、ジャズ喫茶のサックス少年との交流。多角形的恋模様にも不思議とチャラさがなく全体が落ち着いた眩しさ。

  • 切な甘酸っぱい感じでよかったー!
    やっぱり、坪田譲治文学賞の作品好きだわー♪

  • 別人に変装して、ダーツにあたった山の手線の駅で降りてみる。これが休日の栞の密かな趣味。そこで出会ったかつての同級生、耕也となぜか縁がきれなくて……。素直になれない二人をジャズ喫茶のバンドマン、一児の母、辛口の秀才、甘えん坊の美少女(すべて高校生!)が支える。

  • 綺麗な表現に淡い気持ち、読みやすくて、そしてなんとも言えない私の中の感情が絶妙な言葉で表現されていてとても共感した。久しぶりにこんな素敵な本に出会った。

  • 「私はそこはかとなく悲しい」という冒頭の一文に、一気に物語の中へと引きこまれました。主人公の森下栞が感じる淡い喪失感という「そこはかとない悲しさ」は、誰もが奥底にもっているものだと思います。その感情を栞がどのように埋めていくのか。一人旅に逃げていた栞は初恋にどのように向かいあうのか。鮮やかに色づく景色に映る、栞の心情が印象的な一作です。

  • 一気に読んでしまいました。
    そして泣いてしまった。
    私もふらふら探検してみよっかな。

    再読しました。
    若いっていいなぁーと思いました。
    そしてなんかこのクラスが羨ましい!
    人のことを思い、動くモリさんが自分に向き合えて、良かったなと。

  • アニメーション映画『秒速5センチメートル』監督:新海誠氏のおすすめ本。
    新海氏が勧める本書は「せつなくもまっすぐな」小説。
    高校生になった森下栞は中学の時に同じクラスだった月島耕也に遭遇する。
    そこから色々とあるわけですが、久々に恋愛小説で良いと思った作品。

  • 読んだままに…
    何気ない日々の中にある。
    最後がたまらなく好き!
    あの描写?映像は、今でも記憶に残ってる

    大好きな作品。

  • ――

     丁度山手線目白駅で読了したのは、偶然。



     初見の作家さん読んでみよう週間です。というわけでこちら。そういう意味で新鮮、というのもあったけれど、読み進めていくうちによりあざやかな、爽やかな印象になっていったのは、誰もが持つ青春の色をそっと呼び起こしてくれるからなのかしら。
     単なる青春ド真ん中、とは違う色。

     序盤、どちらかと云うとマイナスイメージに描かれる所謂普通の同級生たちが、それぞれ成長して最後に主人公の背中を押してくれる。それぞれがそれぞれの場所で、という自立と、自立しながら互いを尊重する矜持と。そのあたり、この作品のテーマを体現してるのは俊一さんなのかもしれない。
     そういう転換が出来るのも、それぞれのキャラクタがしっかりと編まれているからなんだろうな。高校生らしい、あの根拠の無い自分らしさ、というか。
     簡単に愚かしいと断じるのもそれはそれで良いし、そういうちぐはぐさ、不安定さを特権と見るのもいいし、未だに抱えてる爆弾に火が点いてもいいし、それはもう、青春なんだからお好きにどうぞ、である。


     しっかし月島くんのバックストーリィとか全然書かれなかったけど、これ世の女子たちはまぁこういうの居るよね、って感じで済むの? ならいいんですけど。小説の中でなら許されるのか? あーはん。
     あまあまなところも含めて、とてもよく纏まっていて良かったです。
     ☆3.7

  • 青春を感じます。

    友達に頼られるタイプの人はなかなか自分が出せず、この主人公のように悩んでる人、多いんだろうなと想います。
    若いときは特に。

    読む前は地味な内容かなと想っていたけどだんだん引き寄せられます。
    登場人物もそれぞれキャラクターがあって、好感を持てます。

    ドラマとかになっても面白いかも。

  • 力のある物語ではなく、するするっと身のうちに入り込むような小説です。
    力強さはないのに、脳内に情景が絶えず流れてきます。
    全編とおして知らない街を歩く心細さとかすかな高揚に満ちていました。
    淡々と日々を過ごす栞と、つかみどころのない元同級生・耕也。
    客観的にみると耕也がけっこう悪い男です。これ社会人とかだったらただゲスいと思うのですが、高校生だから淡い切なさになっています。
    耕也が本能として惹かれる相手は亜子なんでしょうけど、理性として惹かれる相手は栞なんだと思います。
    今作は栞と耕也のその理性のやりとりが心地よく、東京の街と相まって独特な雰囲気となっていました。
    いくらでもすれ違い、一生道が交わらないでも日々を過ごせる大都会東京の中で、2人の道が遠ざかったり近づいて行ったりする様がもどかしく切なく、最後は淡い感動がありました。

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。主な作品に『トーキョー・クロスロード』(第25回坪田穣治文学賞受賞)、『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)、『石を抱くエイリアン』『南河国物語』『Mガールズ』ほか、「レガッタ! 」シリーズ、「ことづて屋」シリーズなどがある。

「2023年 『金曜日のあたしたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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