- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591118870
感想・レビュー・書評
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小さい料理屋を妻あきと営む佐吉は病床から障子を隔てた妻のたてる台所の音に慰められる。音だけで気持ちまでわかる料理人の佐吉に対し病は癒えないと宣告された事を自分一人の胸の内に秘める妻。優しい音と夫婦愛の滲む幸田文『台所のおと』、作家志望の僕は江戸っ子で気っぷのいい寿司屋を営む若後家の元に居候する。程なくして愛し合う様になる2人だが、僕の戯曲が懸賞に当選すると自分は妻として勤まらないと潔く自ら身を引いた女を回想する川口松太郎『深川の鈴』、一面の菜の花の大和路。純朴な娘を描いた高浜虚子『斑鳩物語』の3篇を収録。
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音をめぐる味わい深い3品。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/5 -
幸田文さんのが良かった。
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レビュー書いてる今、本が手元にないので詳しい振り返りが出来ないのだが、
とにかく幸田文「台所のおと」が凄かったと書き残しておく。
小料理屋を営む夫婦。夫は現在病に倒れて療養中、店は妻がかわりに切り盛りしている。
妻が台所に立ち、料理を作る音を、ふすまを隔てて布団の上で聞く夫。
夫は包丁のリズムや立ちふるまいの音から、妻の心情やなんらかの秘められた想いを聞き取る。
料理してる音だけで内心をそこまで聞き取られるんじゃ、うかうか料理もしてられんな!!
って感じだけど、夫婦それぞれのシュッと筋の通ったこころが非常に巧みに、凛として文に表わされていてとても魅せられる。
こんな文章が書けるような人間になりたいもので……。 -
◎幸田文『台所の音』
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110422読了
最初のがすごいよかったなあ
音の描写がとても丁寧なのと、心理描写とかおしとやかでこまやかでとてもよかった
ほか二つも穏やかなかんじで、読んでて心地よかったなあ -
百年文庫。穏やかでとても良質な作品たち。
トントン、コトコトという静かな音が聞こえてくるような、幸田文「台所の音」の書き出しに惹かれて読んでみました。賑やかな大衆娯楽小説とは全く違う良さ・面白さが感じられる。それぞれの「音」が聞こえてくる3篇。高浜虚子の「斑鳩物語」は周囲の美しい情景も浮かびます。小説も書いていたのかというのは知りませんでした。
このシリーズは本と字の大きさ、一作の量共に手ごろなので、通勤通学のかばんに入れて読むのもいい。文豪・名作というものに身構えてしまう人にもハードルは低く読みやすい形になっています。
自分の人格をより良く形成するためにも、名作・良質の作品はやはり読んでおくべきだと思いました。 -
幸田文『台所のおと』
この作品は読むのは2度目だが、それぞれの女が持つ台所の音やその心境変化など、女性らしい濃やかさで実に巧みに書かれている
川口松太郎『深川の鈴』
下町の私小説?人情噺
高浜虚子『斑鳩物語』
虚子に小説のイメージがなかったが、エッセイ的掌品。機の筬の音が響く -
カバーも美しくてタイトルも美しくて、カバーを外しても美しくて。もうどうしてくれよう、この本。
中身は言うまでもなく。文豪の名作を少しかじるにはもってこいです。活字も大きくゆったりとしたレイアウトなので、この手の作品が苦手と思っていた人でもすぐに馴染んで読めるのではないでしょうか。
150頁の本にしては、ちとお値段が。で、星一つ減らしてます。