(012)釣 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.19
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本棚登録 : 70
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118948

作品紹介・あらすじ

太陽堂釣具店主人の鑑定によると、私の白毛はテグス糸の四毛ぐらいの太さである-そんな私が渓流釣りの青年たちに味わわされた腹立ちやまぬ珍事件(井伏鱒二『白毛』)。見事な釣竿に目がくらみ拝んで手にしたはよいのだが…江戸の怖い話(幸田露伴『幻談』)。互いに家族を抱え生活に追われながら、将棋を指し、釣りに興じと交友を温めてきた日々。男たちのさりげない友情が胸にしみる上林暁『二閑人交游図』。含羞とユーモア、水面にうつる滋味豊かな人間模様。

感想・レビュー・書評

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  • 井伏鱒二「白毛」親切心を出した若者たちの喧嘩の巻き添えを喰らい、髪を抜かれて釣り糸に使われるという不幸。

    幸田露伴「幻談」山での不思議な話と、川釣りでの奇妙な出来事が読みやすい語り口調で書かれている。旦那と船頭のお互いの気遣いが良い。

    上林暁「二閑人交游図」凄く好み。滝口氏と小早川君の交游がとても楽しげで仲睦まじい。つい深読みしてしまった。

  • 「白毛」
    最初から最後まで、クスクス笑いながら読んだ。
    変な癖だな、と思っていたら、変な体験と結びついていて、もうおかしくって仕方がない。
    しかも最後はメダカを釣るって、そんな馬鹿な!
    実に楽しい作品でした。

    「幻談」
    ちょっと読みにくかった。
    山の怖い話と、海の怖い話。
    死者の心、というか、死者の世界を感じる2つのお話。
    要するに、夏の怪談話なのだなあ。
    そもそも、死んだ人の釣り竿を取る、っていうのが気持ち悪い。
    こわいポイントが、ちょっとずれている。

    「二閑人交游図」
    なんという仲の良い2人!
    逢瀬を待ち焦がれる、まるで恋人のようだ。
    金がないというものの、飲んだり将棋をさしたり風呂に入ったり、あまり生活感がない。
    大学生のような暮らしぶりだ。
    最後に、なんだか言い訳をするかのように金繰りの話がされているけれど、この作品全体には非常に豊かな交遊が描かれている。
    うらやましいほどだ。
    会話に敬語が使われているところから、気持ちのよい距離と、相手を尊敬する気持ちとが思われて、温かくも風通しの良い理想的な関係が感じられた。

  • 井伏鱒二『白毛』
    よくわかんねえシチュエーションだがこの人らしい

    幸田露伴『幻談』
    徳川期の江戸の釣り船での怪談話。よくわからん枕が付いているのはなんなのか。しかし話芸がある。

    上田暁『二閑人交遊図』(「遊」はさんずい)
    しょうもない二閑人なのだが君子の交わりというべきか。

  • 最後の『二閑人交游図』がしみじみとして良かったです。金銭的には豊かでなくとも心の豊かさってこう言うことなのだろうかと思いました。
    『白毛』は思いもよらぬ展開で驚きましたが読んでいてあまり気持ちのいいものでは無かったです。
    『幻談』は怪談の内容よりも釣り人の品のある遊び方に興味を持ちました。しかし水死体から竿を取り上げるのは当時は普通にあることだったのでしょうか…。
    最後、竿を海にかえしたそのあとは…?

  • 井伏鱒二「白毛」
    幸田露伴「幻談」
    上林暁「二閑人交游図」

    読んでも読んでも終わらない。
    釣りに興味ないからかね。
    このシリーズで初めてツライと思った。

  • 2013.4.2
    『白毛』井伏鱒二
    自らの髪の毛を抜き、漁師結びをしていく様がリアル。くだらないことを細々と書くのってたぶん想像ではできない。苦い出来事を彷彿とさせる最後『私はこの手癖を絶対に矯正したいと考えている』の締めくくりもいい。
    でも話に綺麗さがないからあんま読み返したくはないなあ。

    『幻談』幸田露伴
    初露伴と期待して読んだらぴんとこなかった。うーむ。

    『二閑人交遊図』上林暁
    これは好み。文章も内容もずばり好み。先生の鞄のような。題名も良い。たまらない。読みながらにやにりとしてしまう言葉遣いのセンス。良い。
    また読みたい。

  • 井伏鱒二『白毛』、白髪を結ぶ癖のもととなった忌々しい事件と、その後聞いた話から。幸田露伴『幻談』江戸時代、舟釣りの舟の上でのこと、上林暁『二閑人交游図』釣りと将棋の友である二人の作家の交遊記。それぞれの時代が見えてくる三編。
    『二閑人交游図』が作者の気持ちが感じられる私小説でよかった。

  • 井伏鱒二『白毛』
    幸田露伴『幻談』
    上林暁『二閑人交游図』

  • 幸田露伴の怪談が1番良かった!
    語り口も、釣りを遊ぶ極意も、船頭さんと釣り客のやりとりの機微も、…ちょっと怖いお話のワクワク感も。釣竿の勉強にもなったし、ほくほく。冒頭の雪山で見た十字架の幻の話も、いい。プリンセス・トヨトミの富士山の麓の十字架群を思い出しちゃった。

  • 晴釣雨読。
    幸田露伴は釣りというキーワードが無ければけして読まなかったな。
    遊びの「釣り」に対する姿勢というかとらえ方に共感。
     
    魚を獲ろうとすればそれだけ上品でなくなる=その形が粋じゃないという。
    うんうんと読み進める。
    2日連続で坊主、釣り人は粋人で気にしない。
    しかし船頭の方が釣らせなくてはと気を使う。結果は・・
    釣れないのもふくめて「釣り」、と割り切っていても、やはり竿を出す。
    釣人の業か(笑

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著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)、「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『七つの街道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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