- Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591118993
作品紹介・あらすじ
並はずれた美男子と結婚した「私」は、夫が夜ふけになると床をぬけ土蔵に行くことを怪しみはじめる。闇の中、手探りで梯子段をのぼっていくと-。隠さねばならなかったこの世ならぬ歓楽と哀しみ(江戸川乱歩『人でなしの恋』)。自信に満ちた裕福な学者が、ベッドの下に光る二つの目に神経をかき乱されてゆく(ビアス『人間と蛇』)。放蕩の限りをつくす名門一族の「私」が、同姓同名の同級生に追われる恐怖を描いたポーの『ウィリアム・ウィルスン』。背筋のさむくなる三篇。
感想・レビュー・書評
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乱歩しかり、ポーしかり、一人称の告白はなんとぞくぞくするのだろう。
聞いてはいけないことを聞いてしまったような後ろめたさが、余計に怖さを煽ります。
夫しかいないはずの土蔵から聞こえる愛の睦言、ベッドの下の暗がりに光る2つの目、姿かたちがそっくりで名前も同じ謎の男···。
なにか怖いことが待ち受けていることは百も承知なのだけど、結末を見届けずにはいられない。
「異」の文字にふさわしい3編に、ひやりとした涼をわけていただきました。
なお、ポーの『ウィリアム·ウィルスン』は江戸川乱歩の訳。
少し古めかしさのある分、ムードたっぷりの語り口が臨場感を高めてくれます。
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◆収録作品◆
江戸川 乱歩 『人でなしの恋』
ビアス 『人間と蛇』
ポー 『ウィリアム·ウィルスン』
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江戸川乱歩ならではの、耽美さと異様さが混じった艶めかしさ。
青白い美青年である自分の夫が、毎夜ひとり、蔵の2階で誰かと
ひそひそ語らっている。果たしてその正体とは……。
現代だったら、わりとありそうな嗜癖を持つ夫。
昔はおぞましいと読者に恐れられたのだろうが、今の自分が読むと
「あー、あるある」と思ってしまうあたり、現代の感覚は恐ろしいなあと
苦笑してしまった。 -
悪魔の辞典しか知らなかったので、ビアスの世界観はこれで初めて知った。ポーの話に乱歩のパノラマ島奇談を思い出した。着想だったりして。同じ本に収録されて、乱歩は喜んでいるだろうか。
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新婚の夫が夜な夜な土蔵へ向かい後を追った妻は扉を隔てて睦言を聞く。夫の愛した女性は人形だった、江戸川乱歩の作品中ワタシが一番偏愛する『人でなしの恋』、部屋のベッドの下に光る緑の瞳。その瞳に神経をかき乱され発作を起こして死ぬもその蛇は剥製の蛇だった、ビアス『人間と蛇』、放蕩の限りを尽くす「私」と同姓同名、誕生日も一緒、顔立ち背格好服装まで何から何まで一緒のかつての同級生が、私の行く先々に表れ邪魔をする。この男は何物なのか、葬り去ってしまったのは私の良心なのか、ポーの『ウィリアム・ウィルソン』の3篇を収録。
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この三人の組み合わせがよい!
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古典ってやっぱり難しいなぁ、と思った。でもこのくらいの短編で、読みやすい本になっているので、スラスラとは読み進められなかったけど、面白い!と感じることができた。「人でなしの恋」が一番わかりやすく、楽しく読めた。
シリーズの他の本もチャレンジしたい。 -
江戸川乱歩いい!!人でなしの恋いい!!
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2012/12/17
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現代のホラーの原型がすでにここにあると言えるだろうか。しかしまた原型は原型なので、刺激という部分ではやや物足りない気もする。特に『人間と蛇』については何故そういう結末に至るのか、今ならよほどの追加材料で説得力を持たせない限り成立しないプロットだと思う。95/100
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