掟 (百年文庫 20)

  • ポプラ社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119020

作品紹介・あらすじ

老いた鷹匠の最後の仕事は若鷹「吹雪」を育てあげることだった。厳しい訓練によって鍛えぬかれた生命の力感(戸川幸夫『爪王』)。極寒の地で圧倒的な自然の力に屈していく男の姿を描いたジャック・ロンドンの『焚火』。若さにまかせ気のむくままに旅する男女が訪れた岩山には、「誓いを立てた人」と呼ばれる異様な人物がいた-。浮かれた若者の心に刻印された峻厳なる人生の掟(バルザック『海辺の悲劇』)。自然とは何か、人間とは何か-厳かな問いが物語をつらぬく。

感想・レビュー・書評

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  • 戸川幸夫「爪王」

    秋田県の山中に生まれた孤高の若クマタカと、鷹匠の末裔の老人。
    残り少ない余生をかけて「名鷹」を育てあげんとする鷹匠に捕らえられたクマタカは、
    その気丈さから一度は飢え死にしかけたが、調教を通じて鷹匠との間に絆が育まれていく。
    「吹雪」と名付けられ、立派に狩りをこなすようになったクマタカ。
    ある時鷹匠のもとに、老獪で村人たちを困らせている大赤狐退治の依頼が舞い込んでくる。
    今まで狐をとったことのない鷹匠だったが承諾し、吹雪とともに赤狐の棲む山へ踏み込んでいく…

    ジャック・ロンドン「焚火」

    初めてアラスカの地での冬を過ごす男。零下七十五度で、何もかもが凍りつく寒さの中、
    物事をあまり深く考えない男は、かつてある老人が話してくれた、
    「五〇度以下ではクロンダイク地方を一人で旅してはならぬ」という忠告を軽く見て、
    仲間のいるキャンプへ一人で歩いて向かおうとするが…

    バルザック「海辺の悲劇」

    海辺の町に恋人と共にやってきた主人公は、地元の貧しい漁師から
    洞穴の中にたったひとりで住んでいる男の話を聞く。
    なぜ男はそのような暮らしをするに至ったのか…?

    どれもすごくおもしろかった。
    特に「爪王」が好き。この文に一目惚れして借りてきたようなものだしな!
    絶食を伴う厳しい調教のようすとか、文字通り同じ椀から飯を食うことに現れる
    鷹匠の「吹雪」への愛の深さとか。
    「焚き火」は自然の抗いようもない強大な力、「海辺の悲劇」は主人公達の上から目線ぶりがいい感じ。

    百年文庫、他のテーマにも興味があるから、ちまちまと読んでいきたいな。

  • 戸川幸夫を初めて読んだ。
    子供のころの本を読むイメージが思いだされた。

  • 自然の厳しさ、人間社会の厳しさ、それぞれあるが、ジャック・ロンドン『焚火』は読んでいて苦しくなるほど、状況が胸に迫る。

    90/100

  • ジャック・ロンドンのは柴田元幸の翻訳で読んだことがあって再読なのだが、とにかくうまい。この圧倒的やってしまった感。

    戸田幸夫の鷹の話も面白かった。とんでもないパワハラ上司?

    バルザックのは微妙

  • 厳しい掟の物語三編。
    『爪王』の老鷹匠と若い牝鷹の絆と成長が良かったです。
    『焚火』は読んでいるこちらが息苦しく凍えそうでした。

  • 確かに、「掟」にちなんだお話が3話。

    「爪王」
    気高い鷹の姿が胸を打った。
    厳しく美しい、その姿勢・生き方。
    老人の思いも、赤狐の姿も、生き生きと描かれていて、まるで自分で見ているかのように感じられた。

    「焚火」
    厳しい自然は、容赦がない。
    少しの慢心や甘え、判断ミスに命を取られてしまう。
    その、ささやかな心の隙を、うまく描いている。
    ありそうな話だ。

    「海辺の悲劇」
    あまり利口でない人たちが、バカ息子を育てて、破滅するという話。
    散策している若者たちも、浮ついて軽薄に見えた。
    3つの話の中で、一番しょうもない話だった。

  • 最初の2作が特に自然と動物の峻厳さ溢れるものなので、寒波厳しい今、体感増し増しになれました(寒いって)
    今まで読んだ中では結構楽しめた巻です。

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    底本 / 『戸川幸夫動物文学(一)』(新潮文庫)、『サマセット・モーム編世界100物語3 巧みな語り』(河出書房新社)、『バルザック全集第二十一巻』(東京創元社)

  • 戸川幸夫 『爪王』
    ジャック・ロンドン 『焚火』
    バルザック 『海辺の悲劇』

  • 2013.4.22
    『爪王』戸川幸夫
    鷹と老人の渋いはなし。

    『焚火』ジャック・ロンドン
    寒さは怖いな〜というはなし。

    『海辺の悲劇』バルザック
    初バルザック。いまいち。

    三話とも私のタイプじゃなかった残念。

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著者プロフィール

1912年、佐賀県生まれ。東京日日新聞社(現・毎日新聞社)に入社後、1955年に小説『高安犬物語』で直木賞を受賞。作家専業となり動物小説を次々と発表、「動物文学」をジャンルとして確立。多数の小説や児童文学作品を手掛ける。

「2018年 『新装合本 牙王物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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