(023)鍵 (百年文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 44
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119051

感想・レビュー・書評

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  • ≪県立図書館≫

    最初の2話は、扉を開くための鍵を求める話で、最後の1話は、鍵のかかった閉じられた世界から引っ張り出される話だ。と思った。

    「塀についたドア」
    まるで試すかのように現れる緑のドア。
    ウォーレスは、ドアの向こうの世界を熱望するけれど、成長するにつれて現実のしがらみの中で、その憧憬は少しずつ薄れてしまう。
    もう、あの緑のドアは消え失せてしまった。
    そう強く感じたウォーレスの失望と後悔は、いかほどだったろうか。
    最期に、彼はもう一度ドアに出会えたんだろうか。
    彼の最期は、そのドアがどういったものだったのかが暗示されているように感じられる。
    幼き日、気品のあるおごそかな女が、彼をもとの灰色の現実に戻したのは、まだ早すぎる、ということだったのではないか。
    優しく美しき世界。
    私も憧れる。

    「わかれ」
    愛人に恋い焦がれる男の感情がリアルに伝わってくる。
    待つ辛さ、どうしているのか知りたい一心、もう一度会いたいと狂いそうになる気持ち。
    その反動のような最後が、印象に残った。
    リアルだと思った。
    行動がだんだん大胆になっていくところや、一瞬我に返る心理状態など、本当にリアルに描写されている。
    非常によくできた作品だと思う。

    「第六七二夜の物語」
    最期はまるで悪夢のような展開だった。
    とりとめなく、少し異常なことが起こってゆく。
    ぼんやりと靄がかかったような距離感のある文章が、より一層、現実感を薄めている。
    正しく「夜の物語」だ。
    美しいものや気に入ったもので固めた王室のような彼の生活。
    最期は、召使たちに導かれるように死へ向かっていったとは、なんとも皮肉であり、彼は彼のエゴに殺されたという風にも見える。
    どんどん死神に追い立てられるかのような最後は、印象的だった。

  • 2013.5.6
    『塀についたドア』HGウェルズ
    むかし、この作者のタイムマシンを読んで、小さいながらにひどいと思った記憶がある。昔はこれが新しかったのか、というかんじ。
    でもこの話は悪くない。ドアの象徴するものがあからさますぎてやっぱりちょっと古いかんじはするけど。

    『わかれ』シュニッツラー
    女が死ぬ際の愛人の不安と錯乱。
    いまいち。

    『第六七二夜の物語』ホーフマンスタール
    静かで幻想的な中に潜む不安の影がどんどん濃くなり、哀れな最期を迎える。綺麗で繊細な男の話。
    雰囲気と題名が好き。内容が暗いからな〜読み返したくないな。

  • H・G・ウェルズの異世界ものが好きなので「塀についたドア」面白かった。

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