(026)窓 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.35
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119082

作品紹介・あらすじ

冬枯れたリヨンの町を一望できるアパートに、ひとりの老学者が暮らしていた。その生活は驚くほど規則正しく、紳士然として見えたが…。静かな雪景色を背に突如、浮かびあがる人生の哀しみ(遠藤周作『シラノ・ド・ベルジュラック』)。天涯孤独の青年が隣家の窓にはじめて温かい「他者」を見出していくピランデルロの『よその家のあかり』。療養する少女の変化をみずみずしい生命感覚で描いた神西清の『恢復期』。沈黙に秘められた思いが室内楽のように響きあう。

感想・レビュー・書評

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  • ピランデルロ『よその家のあかり』
    もう二度と自分が手にすることは出来なくなってしまったものは、なぜこうも美しく切ないものなのか。
    他の作品も読んでみたくなりました。

  • ピランデルロ「よその家のあかり」は絶品。神西清「恢復期」も、乙女の日記にしては明晰すぎる気がするが、爽やかでいい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ピランデルロはちゃんと読んだことが無いので、気になります(映画「カオス・シチリア物語」が凄く良かったので)。
      百年文庫って良い企画だと思うの...
      ピランデルロはちゃんと読んだことが無いので、気になります(映画「カオス・シチリア物語」が凄く良かったので)。
      百年文庫って良い企画だと思うのですが、売れるかなぁ~私は先ず54巡を読んでみようと思ってます。
      2012/04/05
  • 県立 立山

  • 遠藤周作のシラノ、実在したシラノの手記とその研究者、そしてその私生活を眺める「私」という入れ子構造で語られる生活と文学。39/100

  • 遠藤周作『シラノ・ド・ベルジュラック』
    巻末解説を呼んで、この人テレビドラマにチョイ役で出たりしていたなあと思い出す。フランスに行っていたのか

    ピランデルロ『よその家のあかり』『訪問』
    不思議な作風だ。覗き見・胸元チラ見えがそれぞれ主題

    神西清『恢復期』
    思わせぶりというか何というかよくわからん。百合さんとお父様

  • ビランデルロの「よその家のあかり」が心に残りました。
    人は手に入らないもの、もう二度と戻らないものに憧れて切なくなるのだとつくづく思いました。

  • 「シラノ・ド・ベルジュラック」
    まさに「学者」といったウイ先生。
    文学はレトリックである。
    純粋に文学を味わうためには、作品の言葉のみを素直にかつ正確に受け入れていくべきだ、ということなのかな?と思った。
    私も、作品の時代背景や作者の人生・人柄、事実も加味して作品を味わいたい、と思ってしまう。
    そちらのほうが、より深く作品を感じることができるように思うからだ。
    先生自体が、作品のような存在だ。
    それだけで完結していて、生活の雑味がない。
    それでも、裏には血の通った人間の苦しさを秘めている。
    面白い作品だった。

    「よその家のあかり」
    幸せな家庭を、よくわからない男のために捨てるか?
    しかし、それが恋なのだろう・・・
    この男も、幸福な家庭に憧れてのぞき見をしていたのがきっかけで、女に恋をしたのに、結局はその幸福な家庭をつぶしてしまう、なんて。。。
    自分たちの部屋を、男がのぞいていたら、普通は気持ちが悪い。
    なのに、恋に発展させるなんて、宿屋のおかみさんと娘さんは、どんな話をしたのだろうか。。。
    多分、事実を率直に伝えたのだろうけれど。。。
    少し不思議に思うことはあるものの、全体としてはなんだかリアル、とも感じられるお話だった。
    ニンゲンって、不思議だもの。
    「訪問」
    なんじゃ、こりゃ。
    幻想的すぎて、雰囲気しか入ってこない。
    しかし、最後の女性の言葉が、ややはすっぱすぎて、それまでの上品で美しいイメージが崩れる。。。
    訳が悪いのかもしれないけれど。
    幽霊と思い出の融合か?
    この作品は「窓」の役割が弱いように感じるのは、きっと私の読みが浅いからなんだろうな。

    「恢復期」
    熱にうなされた頭の中や、混沌とした様子を描いているのだろう。
    読み進むにつれて人物の設定が見えてくる。
    しかし、全体を通して、非現実的な感じがして、感情移入しにくい。
    しょっちゅう感じるのだけれど、男の描く女性には、違和感がたっぷりだ。
    男の妄想、という風に思えてしまう。
    そのうえ、気どった文章のように感じた。

  • どれも読むのは初。
    窓、といえばO・ヘンリーの「最後の一葉」とか思いつくけど、そういうのは選ばないのが百年文庫?

    ピランデルロ「よその家のあかり」がよかったかな。
    名前だけはちょっと聞いたことがあるので、読めてよかった。

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    初出 / 『遠藤周作文学全集 第6巻 短篇小説集Ⅰ』(新潮社)、『ピランデルロ短篇集 旅路』(ハヤカワ文庫)、『雪の宿り 神西清小説セレクション』(港の人)

  • 『シラノドベルジュラック』遠藤周作
    人間観察を好むいやな主人公のはなしだけど、小説自体はなぜかそんなきらいじゃないな。
    シラノって、聞いたことある。戯曲、有名なんだな、読みたいな。

    『よその家のあかり』『訪問』ピランデルロ
    明るい向かいの家を見つめる。死んだ女の訪問、白い胸元。二作ともいまいち

    『恢復期』神西清
    日記形式はどうも好きでないよう。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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