(034)恋 (百年文庫)

  • ポプラ社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119167

作品紹介・あらすじ

「おとよさアが省作さアに惚れてる」甥の一言に、省作は顔がほてり胸が鳴る。突如芽生えた恋心に煩悶する農家の青年の胸の内(伊藤左千夫『隣の嫁』)。山奥で炭を焼くことしか知らなかった若者が、桜の花見に来たお嬢さんに触れたことから切ない憧れを抱きはじめる『炭焼の煙』(江見水蔭)。諸国を渡り歩いてきた商人が辰巳芸者に惚れた。深川花柳界に繰り広げられる男と女の伊達と侠気(吉川英治『春の雁』)。かなわずとも潔い恋のあれこれ。

感想・レビュー・書評

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  • 初恋の渦中におる若者は読まないほうがいいんじゃ…。
    編者の恋観はどうなっているんだろう。

  • どれも叶わぬ恋の物語だが、情景が細かく美しく描かれている。しかし、吉川英治のオチは、そりゃ反則じゃないのかね?「お前、結婚して子供もおんのかーい!」
    98/100

  • これも先日メロディあるライブラリーで取り上げられた本。
    恋というにはなんだか問題のある話ばかりかも。
    2番目の『炭焼の煙』を読むために借りたけど、1話目もつい先ごろ取り上げられた『隣の嫁』放送時はちゃんと読んでなかった。
    『隣の嫁』は番組でも言われてたように、もしかしたらもしかすると結末の向こうにハッピーエンドが待っている?
    3番目は、木乃伊取りが木乃伊になる話??いやいや・・
    恋とは思い通りにならないもの・・という話なのかもしれない、たとえそれなりの覚悟を決めていたとしても。

  • 『隣の嫁』の隣家の主人にはもったいない出来た嫁が自分に惚れていると人から言われた途端に意識しだしてしまう主人公の純真さと言うか初々しさが鮮やかでした。結局誰も幸せにならないけれど恋は止められるものでは無いのだな、と改めて感じました。
    『炭焼の煙』の山奥に一人住む炭焼きの男の切ないこと。雇い主の娘を想い続けて老いる姿が哀しかったです。
    『春の雁』は…え?妻子持ち???に尽きました。

  • 隣りに住む人妻に恋心を抱いている青年のどうしようもない気持ちがせまってきた「隣の嫁」。桜の花見に来たお嬢さんをたまたまおぶったことで恋心を抱いた炭焼きの若者の話が一番切なくもどかしく感じた。若者が何故山の中たった一人で炭をやいているのかも哀れだ。全く知らない作家なので百年文庫に入っていなかったら読むこともなかった。最後の「春の雁」は遊女に惚れて見受けしようとしたのだが遊女の母の愛にふれて、自分も故郷の妻子に思いを馳せるという話。えっ、妻子いたんかい?と時代だといえばそれまでだが不快感がぬぐえなかった。

  • 「隣の嫁」
    昔の結婚の辛いところだ。
    おとよさんも、清六のところに嫁いできたからこそ省作と出会えたのではあるけれど、それでも、せつない。
    気の合う2人、思いあい幸せになれる2人なのに。
    どうせ、両方とも破縁になったのなら、くっついちゃえばいいのに。
    でも、お隣さんだから、ややこしいか。

    「炭焼の煙」
    恋は盲目。
    傍から見れば、この男にお嬢様が気を留めるわけもない。
    みな、何気なく戯れの言葉を口にする。
    絶対にありえないことだから、かえって安心して。
    人慣れしていない、素朴・純朴な真次が、疑いながらも信じてしまった真次が、悲しい。

    「春の雁」
    背筋を伸ばした粋な姿の女たち。
    しかし、心の奥に抱えているものは、重くうす穢くすらあるのだ。
    過去と、生活の影が見えたとき、恋は恋の域をでることはなくなった。
    リアルだな、と思う。

  • 江見水蔭『炭焼きの煙』 想像で終わってしまう恋は嫌だ。辛抱強いと言われるのも 山に篭って酒も博打もしないで何が楽しいのと言われるのも 嫌だ。 自分に近いものを感じるからこそ 余計嫌だ。 自分と向き合ってるだけで 相手とのやりとりをしていないじゃない。猿だって 自分の思いを押し付けてるだけじゃん。文のリズムは良かった。 吉川英治 侠侠 cancan

  • 三作品が載っていて、そのうち一番心に残ったのが江見水蔭の「炭焼の煙」。江見水蔭という作家は初めてだが、朴訥な炭焼の真次がよく描けていた。彼の失恋と失望が痛いほど伝わってきた。


    いずれも悲恋物。昔の作品ばかりだけどなかなかよかった。

  • 2013.6.14
    『隣の嫁』伊藤左千夫
    百姓の仕事の描写がよい。隣の嫁のおとよは働き者でとても魅力的である。
    『炭焼きの煙』江見水蔭
    これはいいな。世間知らずな炭焼きの悲しいはなし。娘を思いモミジを待ち、桜を待つ炭焼き。切ない。
    『春の雁』吉川英治
    遊里の女との恋。女に逃げられるとばかり思っていたが逃げたのは男だった。"だまされて いるのが遊び"。

    恋の話三話も読むのしんどそうと思ったけれど、浮かれた恋などなくて、楽しめた。

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